乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

至福のとき/チャン・イーモウ監督

2006-11-01 | 映画

 

  至福のとき

  満足度 ★★★★☆

  感動度 ★★★★★

  前半   ★★★☆☆

  後半   ★★★★★

  

  2002年  中国  97分

 

  監督  チャン・イーモウ

   キャスト  チャオ・ベンジャン

         ドン・ジエ

 

 前半と後半で話の内容やキャストの表情がころりと変わり、面白い

 

 

 前半は人間の本質や強欲、中国の実態をコミカルに描く。

 

 

 そして半ばからは中年労働者チャオや仲間の労働者の懇親的なまでの盲目の少女ウー・インに対する思いやりにじわりじわりと涙。

 結末で涙は大筋となって流れ出す。

 

 終始一貫して盲目の少女ウー・インはみんなの愛情を心から喜び、しばらくの間は甘んじるが、真実を知っていつことはお首にも表さない。

 

 彼女のまわりの空気だけは現実を受け止めた冷ややかさで、刻一刻と追われるように時を刻む。

 

 

 

 中年労働者チャオがトラックにひかれ危篤状態。

 しかし泥酔しながらも彼は彼女のために彼女の父に成り代わって心の温まる手紙をしたためていた。

 

 

 一方彼女はこれ以上チャオや周りのみんなに迷惑はかけられないと思い、自立の決心。

 大切なテープレコーダーに自分の思いを吹き込んで、泣き泣くチャオのアパートを出る。

 

 

 チャオが危篤状態の中、仲間はテープに吹き込まれた彼女のメッセージに向かって、チャオの変わりにチャオの制作した手紙を読み上げる。

 このテープの声と仲間の声がカブキの掛け合いのようでタイミングが良いのですが、それだけではなくなんともいえないくらいに心が揺れ動かされる。

 私はこのシーンが好きでやはりチャン・イーモウ監督の作品なのだと痛感させられる。

 

 

 ただ驚いたのはチャン・イーモウ監督にしては他の女優群に比べ、 女優のドン・ジエにあまり愛情を感じていなかったように感じるのは私だけでしょうか・・・。

 

 しかし役柄云々から考えると、女としては描いてはこの作品の後に続くべき出来事とつじつまが合わなくなってしまう。

 彼女を下着姿にして二度ばかり描き出したが、まだ青い硬い果実といった被写体を客観的に冷静に描くい外になかったのでしょう。

 

 家族や親族から冷たく扱われ、皆に捨てられた盲目の少女がきっかけはともあれ途中からは労働者みんなでシアワセに騙されていた・・・まさしく『至福のとき』だったのである。

 

 少女期から大人の女性に成長する転換期を考えると、盲目の少女が今後待ち受ける過酷な運命は想像を絶するくらいにつらいものでしょう・・・

 

 チャン・イーモウ監督は彼女を大人になる前の子どもとして扱うことにろり、この作品は出来上がったように思われます。

 

 

 

 最後になりましたが、 チャオ・ベンジャンという役者さんの優しく深みのある演じ方は気持ちの良いものでした。

 

  『最後の恋、初めての恋』(中国・日本)ドンジェ出演の感想です  ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/2a257ecab99c9a189f9a9da0a767ac39

      至福の時 ↓

http://www.foxjapan.com/movies/happytimes/story/index.html 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グリム童話のなかの呪われた... | トップ | わが家の犬は世界一/ワン・チ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事