わたしは 怪 ある 身の上
もののけ にて ございます。
どうか わたしの姿を 見ないで下さいまし。
けして 見ないで下さいまし・・・
わたしは かなしゅう ございます。
あんなに 見ないで下さいましと 申しましたのに
あなたは 見ようとなさいます。
わたしは この世のものではございません。
彼方から この世に参りました。
わたしは元の世界に 帰りとうございます。
わたしの生まれた星に 帰りとうございます。
姿をみられてしまいますと、
星に帰ることができなくなってしまうのです。
見て下さいますなと 申しますものを・・・
あなたは お聞き入れ くださいませぬか。
かなしい。
わたしの魂が 離脱いたしまするに、
どうか 見て下さいますな。
手が・・・
わたしの 手が
こんなに 変わりはじめて参りました。
あなた様がわたしを見ようとなさいまするに
手が 腫れてまいりました。
今に憑きものが わたしの身を奪い取ることでしょう・・・
もう 止めはいたしません。
お好きに なさいまし
あなたさまの お好きに なさいまし
わたしは 所詮 独りの身の上
悲しむものなど おりませぬゆえ
どうぞ わたしの姿を 見て下さいまし
しっかりと
心に焼き付けて 下さいまし。
わたしは 嬉しゅう ございます。
あなた様が いて下さる。
もう わたしは 独りではないのですね。
わたしの身と魂が二分する姿を
しっかりと見て下さいまし
そうして
わたしがこの世に在りし日のことを
時々
思い出して下さいまし
いけません。
わたしには もう 時間がない。
もう お話できなくなって参りました。
離れまする
魂が、離れまする。
さようなら
おさらばで ござりまする。
そして 女の魂は去り・・・
後に残ったのは
わ・た・し
キョロちゃん