記録だけ
2008年度 83冊目
ひとり暮らしの骨董三昧
『ときめき老後術』
上坂冬子 著
海竜社
2007年12月28日 第1版発行
210ページ 1524円+税
昨日図書館から本が入ったと、電話連絡があった。
私は宮田登全集をはじめ、今7冊ばかりの書物をお願いしているので、どの本が届いたのかはわからずじまいで図書館に行く。
頂いた電話で確認しても良いのだが、そこは開けてびっくり玉手箱・・・という お調子者。
こういった小さいな 心のときめきは、日々大切にしたいものである。
この本の著者である 上坂冬子さんは 古稀というお歳ながらも、バイタリティにあふれていることこの上なし。
私が二十年たった頃、このようにいっぱしのご託を並べていられるか否かは、少々不安である。
著者の骨董のご趣味においては、人それぞれの好みもありますので、何も申しますまい。
少しだけ載せられた写真の中には、好きなものも無かったとはいえない。
ただ、人によって、こんなにも好みが違うのかといった 発見のできる楽しい本だったといえる。
気になった点が一点。
気に入ればそれでよしとしたがいいのでしょうが・・・著者はあまりにも金額にこだわりすぎの嫌いがある。
作家や内容、時代性などの記述は欲しいところがだ、骨董にしては半端な金額を 大々的に表に出してくるところなどは、少々品位にかけるのでは無いかと、感じてしまった。
この方、結構ちゃっかりとしていて、関西人顔負けであった。
関東から関西の展覧会に寄った際、招待券を忘れたとのこと。
係員にその旨を伝えたが、
「それは残念でしたね・・・。」
の一言にショックを受けたらしい。
ちなみに入場料六百円也。
こういった状況では、大阪をはじめ関西人でも、何も言わずに入場券を購入することが多いのではないだろうか・・・。
係員の思いやりで、東京の美術招待券(六百円)を手に入れ、悦に浸っているチャッカリさは、結構可愛いともいえるか・・・?。
わかる客がきたときだけ京都の老舗の饅頭をさりげなく 高価な骨董の皿にのせると、客はさりげなく食べて、わかってもらえない・・・(要約)などの記述が多く、読み終わる頃には、私、何だかへきへきとした気分で後味が悪い。
では彼女は嫌いかといえばそうでもない。
柏餅味噌餡などといった記述もあり、けっこいスパイシーな人生を送る、味のある人間であるともいえる。
自らの人の良さとデリケートな部分を、上のような悪態を隠れ蓑に、独り強く生きているといった演技をしているようにうつる。
私は言葉とは裏腹の突っ張った生き方に興味を覚えるし、そういった彼女の弱さや女らしさに魅力を感じる。
彼女は成功は手にした者の、想像以上に孤独な老人なのかも知れない。
今回も、記録だけにて失礼申し上げます。
上の記述は、あくまでも私一個人の感じた内容であることを、ここに付け加えておきます。
不適切な表現があれば、お許し下さい。