テラビジアにかける橋
監督 ガボア・クスポ
2008年2月6日(水)
大人の世界では「人と違うということ」は個性として認められるし、時にはそのことが原因で他人から疎まれることもあるけれど、面と向かって直接攻撃されることは少ない。
だけど子供の世界は残酷で「人と違う、ちょっと変わった子」は容赦なく攻撃され異分子として排除されてしまう。
兄弟は皆女の子ばかりで家はとても貧しく、生活のため家を空けることが多い父親に「仕事をするように」を命じられる毎日。
学校ではいじめの標的にされ、家でも学校でも自分の居場所が無いと感じるジェス。
そんなある日、風変わりだけど明るく想像力豊かな少女レスリーが隣に引っ越して来る。
お互い自分と似た匂い感じとり、次第に打ち解け絆を深めていくジェスとレスリー。
2人は偶然見つけた近所の森に空想上の王国「テラビシア」を築く。
それによって今まで暗くくすんでいた現実の世界が、美しい「テラビシア」の森のように次第に色付いていく。
しかし、やがて悲劇的な事件が起こってしまう。
再び心を凍らせ始めたジェスだったが、今まで敵だと感じていた大人たちやいじめっ子によってその心は次第に融けてゆくのだった・・・・・・。
大人は大人で大変なことがあって、子供も子供なりに大変で、子供は大人に対して「自分たちのことが分かるはずが無い」と思っているけれど、大人だって昔は子供だったのだから想像力を研ぎ澄ませばやがて見えてくるものがある。
そして子供はその立ちはだかった壁を乗り越えるたびに一歩一歩大人への階段を上っていく。
後半の展開はあまりにも切なく、えぐえぐとハンカチがぐしょぐしょになるほど号泣してしまいました。
「テラビシアにかける橋」という題名にこれほど深い意味があったとは。
なんといっても、主人公の2人の繊細な演技が素晴らしくて心に沁みます。
ジェス役のジョシュ・ハッチャーソンくん。
子供だからみずみずしいのは当たり前なんだけど、先生への淡い恋、異性への恋に似た友情、父親との関係、妹への複雑な心情など、少年の多感な時期の揺れ動く気持ちを見事に表現していると思います。
レスリー役のアンナソフィア・ロブちゃんは「チャリチョコ」でトロフィーコレクターのいけ好かない女の子を演じていましたが、いけ好かないながらもどこか印象が残るような輝きがありました。
今回はまったく逆で、明るいけれど、どこか孤独感も漂う不思議な少女を演じています。
つり目がちのちょっと気の強そうなきらきら輝く瞳がとても魅力的で、キーラ・ナイトレイみたいな私好みの美しい女優さんに成長しそうでとても楽しみです。
空想の王国「テラビジア」は実は誰の心の中にも存在している。
だからこれほど共感できるのかもしれませんね。
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