urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

note "しがみついたまま時は流れる"

2006年02月06日 | other
OPBF東洋太平洋タイトルマッチ

マルコム・ツニャカオ(フィリピン) v.s 大場浩平(WBC世界Sフライ級13位)

結果はドローにより、ツニャカオの防衛が果たされました。チャンピオンはその結果に憤っていましたが、確かにチャンピオン優勢と見えた試合でしたね。以下テレビ観戦でのレポート。
名古屋では「弱気なアーティスト」なんて特集番組もやってましたが、大場は試合前から、「今度は自分が噛ませ犬」「絶望に近い状況」などと言っていました。しかしいざ試合が始まってみると、非常に堂々とした立ち振る舞い。左のガードを下げる独特のスタイルは、世界相手には封印しているようです。ガード固めて前進するここ二試合の彼のスタイルは、性格も含めて某ボクシングマンガの主人公を彷彿させるような…。
相手は世界チャンピオンの経験もある実力者、序盤3Rぐらいは防戦一方。チャンピオンの一発一発が重そうな、しかし手数の出るジャブ、上下のコンビネーション、大場のサンデーパンチである右アッパーに合わせる左ストレートのタイミング、どれを取っても素晴らしく、これはさすがに冒険マッチだったかと思わされました。しかし4Rあたりからボディ中心に大場も手が出始め、ラウンドによっては互角以上の打ち合いを見せる場面も。しかしサウスポーのチャンピオン相手に大場はやややりにくそうで、攻撃が単発に終わるシーンが多かったですね。リングサイドに長谷川の姿が見えましたが、彼とのスパーなどの対策もやや不十分だったように思えました。
確かに手数では明らかにチャンピオンでしたが、大場もフルラウンド打ち合って、カウンターの狙い合い、双方のディフェンス技術など見所の多い試合を演出してくれました。確実に自信になった試合だと思います。まあ勝てれば一番良かったんでしょうけど、大場はまだ二十一歳。本格派相手の試合でも十分にできることを示してくれて、ますます彼に対する期待が膨らみました。

そして、この日のタイトルマッチはもう一試合。
玉砕戦術で開始当初から突っ込んだ杉田竜平。しかしチャンピオン、ランディ・スイコは重いパンチを一発ずつ、冷徹に打ち込んで、その一発一発で確実に杉田の意思を削り取っていきました。そして、それが折れたのが4R。それは誰もが待ち望んだタオルであったでしょう。
杉田は試合中、笑みさえ浮かべていましたが、タオル投入と同時に号泣。これはもう引退のための試合であったかもしれませんね。その意味で、いい相手だったと思います。
正直に言って哀しい試合でしたが、胸が熱くなるものがありました。
おつかれさまでした。