urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

DVD『FIFAワールドカップ1982 イタリアvsブラジル』

2006年03月25日 | soccer
1982年スペイン大会2次リーグ。
名将テレ・サンターナと、ジーコ、ソクラテス、ファルカン、ヒゲ(顔変わってないのに大爆笑)。「黄金の四人」で中盤を構成するブラジルは、サッカー史上最も美しいとして評価される向きも多い伝説のチームです。そしてこの試合は、その絶対の優勝候補が、突如覚醒した一人の傑出したストライカーによって粉砕される、これも伝説のゲーム。イタリアの⑳、「神の子」パオロ・ロッシがその人です。

イタリアの相も変らぬカウンターサッカーに対して、ブラジルの流動的な中盤、タッチ数の少ない流れるようなパスワークは確かに「美しい」ものです。ソクラテスの判断のいい侵出も見事ですが、何よりジーコ、ヤバいですね。明らかに体格で劣る、細身で小柄なナンバー10の足元から次々と繰り出される、創造的でクリティカルなパス。前半11分のソクラテスへのアシストなど、やや涙ぐんでしまいました。僕はこれから、彼の監督としての仕事への不満を飲み込んでしまうかもしれません。
ブラジルの2点目のファルカンの左足の強振、その後のガッツポーズもものすごくかっこよかった。⑪エデルも、寡聞にして知らない選手でしたが、そのパワフルな左足はさらにこの選手の映像を見てみたいと思わせられる魅力がありました。
ブラジルはこの試合、二度リードを追いつくことになります。二点目までは余裕が見られましたが、ロッシの三点目を許して以降、チームに焦りが見られ、創造性が失われていく様は見ていてなんだか寂しくなるものでしたね。支柱となる⑩も、その中で徐々に「消えて」いってしまうのでした。

伝説のチームから輝きを奪ったのが、イタリアのエースの伊達男。ハットトリックはどれも割とイージーなゴールですが、ストライカーとしての天分に疑いの余地はないでしょう。ブラジルのCF、⑨セルジーニョが、まったくなんの仕事もできなかったのとは対照的。コンティ、グラツィアーニといった前線の選手の献身、セレーゾのミスやブラジル両SBのエゴイズムといった要素はあるにせよ、この両CFの出来の対照が、結果になってしまったような印象でした。

ともあれ、美しきジーコは堪能できました。ナイスゲームです。

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