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世田谷国公法事件-宇治橋さんに不当判決 東京地裁-

2008-09-21 01:31:46 | 憲法裁判
世田谷国公法事件
ビラ弾圧に屈しない
宇治橋さんに不当判決 東京地裁

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 厚生労働省職員だった宇治橋眞一さん(60)が休日に職場から離れた場所で「しんぶん赤旗」号外を配り、国家公務員法違反の罪に問われた事件の判決公判が十九日、東京地裁でありました。小池勝雅裁判長は、ビラ配布が「公務員の政治的中立性に抵触する、強い違法性を有する行為」だとして、求刑通り罰金十万円の実刑判決を言い渡しました。宇治橋さんは不当判決として控訴します。

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 公判で検察側は、郵便局職員の選挙活動を違法とした猿払事件最高裁判決(一九七四年)に全面的に依拠して、宇治橋さんの行為の違法性を主張していました。

 この日の判決は猿払判決について「有力な学説からも厳しい批判が加えられている」としながらも、「合理性を欠くとはいえず、同種事案の解決の指針として確立している」と論述。「下級裁判所としては同判決を尊重すべき立場」だと述べました。

 その上で、宇治橋さんの行為を「政治的偏向の強い行為」だと指摘。こうした行為が「自由に放任されると、公務の運営に党派的偏向を招くおそれがあり、行政に対する国民の信頼が損なわれる」と、猿払判決の論理をほぼ踏襲して述べました。

 弁護側は公判で「勤務時間外に私服でビラを配っただけ。なんら犯罪行為ではなく、行政の中立性を損なう危険もなかった」と無罪を主張していました。

 この点について判決は「公務の中立性が具体的に害されなかったとしても、(政治的行為を禁じた)国公法の規定を適用することは違憲ではない」と断言。国家公務員の表現の自由が制約されるとしても「間接的、付随的なものに過ぎない」としました。

 この事件では、警視庁公安総務課が捜査の主体になりました。弁護団は「日本共産党を対象とした違法捜査だ」と指摘しましたが、判決は「(本件が)捜査機関の日本共産党に対する差別的な取り扱いに基づくとはいえない」と述べ、公安警察の捜査を追認しました。

“検察の言いなりだ”
 「不当判決に抗議する」「ビラ配布の権利を守れ」―。世田谷国公法弾圧事件で「不当判決」の垂れ幕が掲げられると、東京地裁前に怒りのシュプレヒコールがこだましました。

 毎回のように傍聴に訪れ、裁判を支援してきた元国家公務員の女性は、「ビラ配りが犯罪なんてどう考えてもおかしい。勝つまで応援していきます」と話しました。

 判決後、地裁前で行われた抗議集会では、宇治橋眞一さんが「検察官の言いなりの恥ずかしい判決です。裁判所の良識が問われます。無罪判決を勝ち取るまでがんばります」と力強く訴えました。

 弁護団の小部正治弁護士が「血も涙もない最悪の判決だ」と判決内容を厳しく批判しました。

 参加者の一人、東京都品川区の男性(62)は「判決は政治的なビラまきを委縮させることが狙いです。絶対に負けるわけにいきません。みんなでどんどんビラをまいて、きたるべき総選挙にも勝利し、不当判決をはね返したい」と語りました。

主張
世田谷国公法弾圧事件
国民のビラ配布の権利守ろう

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 集合住宅へのビラ配布で、また不当な判決が出されました。東京・世田谷での国家公務員法による弾圧事件です。

公務員ゆえの不当判決
 政党や政治団体の構成員や支持者などが、集合住宅や一戸建て住宅の郵便受けにビラを配ったり、駅頭や街頭でビラを配布したりすることは、日本中で普通に行われている政治活動です。とくに住宅へのビラ配布は、まわりから見て配っている人がどんな職業なのかなどは、全く関係ありません。

 ところが、ふつうの人が配れば何でもないことが一般の国家公務員が配れば犯罪だというのが、今回の国公法事件で厚生労働省職員の宇治橋眞一さんに東京地裁が言い渡した判決の論理です。一般の国家公務員には憲法に認められている表現の自由や政治的権利がないなどということはありません。

 そもそも一般の国家公務員に政治的行為が制限されているのは、「行政の中立性」を守る必要があるからだというのが当局側の説明です。一般の公務員を指揮する首相や各省大臣、副大臣、政務官なども、こと行政にかかわるかぎりは、「行政の中立性」を守らなければなりません。憲法第一五条に、公務員は「全体の奉仕者」とされているとおりです。しかし、彼らは特別公務員として、政治的行為は何ら制限されていません。

 一方で政治家として全面的な政治活動をおこなっていても、「行政の中立性」は守っているし、守れるというのでしょうか。実際に彼らが「行政の中立性」を守っているかどうかは別としても、制度としては指揮をするトップは限りなく政治活動をしても行政にあたっては中立性が守れて、指揮される一般の公務員は時間外に職場とまったく離れた場所で、国家公務員だということを誰にも知られずにビラを配布しても違法だ、犯罪になるというのは、まったく納得できない不思議な理屈だといわなくてはなりません。

 この不思議な理屈は、裁判所の判例としては一九七四年の猿払事件など三事件の最高裁判決で出されたものですが、憲法などの学会ではきびしく批判されているものです。そういうこともあって、その後、この政治的行為の規定(人事院規則)では、ほとんど取り締まりがなされてきませんでした。

 そういう時代錯誤の規定を、〇六年の国公法堀越事件につづいて、また判決でよみがえらせ、正当な言論行為、表現の自由をおさえつける武器にしようというのは、絶対に許されることではありません。政治的行為の規定による国家公務員への刑事罰攻撃は、適用してはならないだけでなく、規定そのものの廃止こそ、いまなされなければならないことです。

言論の自由守るために
 言論の自由にたいする攻撃であるビラ配布裁判では、もうひとつマンションへのビラ配布を住居侵入罪で起訴した東京・葛飾事件もあります。国政を民主的に改革し、政治の中身を変える活動のなかで、言論の自由を守り、拡大することはいよいよ大切になっています。

 日本共産党は、国公法堀越事件の控訴審、葛飾ビラ配布事件の上告審とあわせ、国公法世田谷事件の控訴審での勝利めざして、世論と運動を広げ、国民と力を合わせて、いっそう奮闘する決意です。

 世田谷国公法事件
公務員の権利を無視
時代錯誤で不当な判決
日本共産党 市田忠義書記局長が談話

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 日本共産党の市田忠義書記局長は十九日、国公法世田谷事件の東京地裁判決について、次の談話を発表しました。

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 国公法世田谷事件で、東京地裁は本日、宇治橋眞一氏にたいして、罰金十万円の有罪判決を言い渡した。

 世田谷事件は、厚生労働省職員の宇治橋氏が、二〇〇五年総選挙の最終日に、世田谷区内の警察官官舎に「しんぶん赤旗」号外を配布したもので、配布場所では住居侵入という別の容疑で検挙されたものが、宇治橋氏が国家公務員だと判明すると、住居侵入は不問に付して国家公務員法違反(政治的行為)で起訴していたものである。

 国家公務員法にもとづいて人事院規則として制定されている政治的行為の禁止規定は、すべての国民に表現の自由などを保障している憲法二一条や国際自由権規約に反する違憲・違法の規定であることは、ひろく学会や言論界から指摘されていることである。今回の判決は、各方面から批判をあびて事実上もちいることのできなかった一九七四年の猿払事件の最高裁判決を、〇六年の国公法堀越事件につづいて復活させようとする時代錯誤のものである。

 裁判では、住居侵入での逮捕の違法性、そもそも国公法と人事院規則の政治的規定による規制の違憲性、業務時間外に職場と無関係の場所で、かつ国家公務員の外見のまったくない状況のもとでの政治活動が人事院規則にさえまったく抵触しないこと―などを明確にしてきたが、裁判所はこれらの主張を一顧だにすることなく、有罪判決を下したことは、きわめて不当である。

 日本共産党は、公務員の市民的政治的自由を確立するために、世田谷事件と堀越事件の二つの国公法事件の裁判を、当事者と弁護団、労働組合や諸団体、個人と協力して、世論と運動を発展させ、当事者の無罪をかちとるとともに、国家公務員の政治的行為の規制そのものを打ち破るために、全力をあげていきたい。

(出所:日本共産党HP  2008年9月20日(土)「しんぶん赤旗」)
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