海外メディアによる安部政権バッシングが続いている。 南ドイツ新聞によれば、安部氏は、「過去を夢見る極右主義者」だそうだ。同じ論調は、ニューヨーク・タイムスでも見られる。まあ、いずれも慰安婦問題を捏造した(池田信夫氏の慰安婦報道の検証ブログhttp://blogos.com/article/45082/?fb_action_ids=444650265581814&fb_action_types=og.recommends&fb_source=aggregation&fb_aggregation_id=288381481237582 等参照)朝日新聞と提携している在外メディアだ。
朝日を発信源とする極右報道は、残念ながら世界のメディアの支配的論調になっている。とりわけ、女性の人権無視のイメージが一人歩きし、国外では繰り返し事実検証なしのレッテル張りが横行している。国内では、論理破綻が明確な朝日は、海外から反安部包囲網を展開するつもりなのだろう。
この事態にどう対処すべきか。単純な考えは、日本からの情報発信を強化し、バッシングが根拠なきものであることを訴えるというものだ。例えば、慰安婦問題に関し、アメリカの地方新聞に、桜井よし子氏らが意見広告を出したことは一定の効果が見込まれるところだ。しかし、戦後60年以上にわたり、諸外国における事実無根の主張を放置してきたつけは、こんなことでは解消しないだろう。安部政権が不用意に河野談話などを見直せば、更なるレッテル張りが跋扈するだろう。
人間の認知能力には、大きな制約があり、自らの認知枠組みに適合しない言説にはそもそも関心を向けない。仮に、向けたとしても、その言説を認知しない。この現象は、selective attention, selective perception と呼ばれる。見れども、見えず、言われても認識しない。(逆の状態が、あばたもえくぼという状態。)いくら、広告を出しても、読まれもしないし、ましてや説得することはほとんど不可能ということだ。だからこそ、初期の段階での対応が重要だ。
さて、事ここに至った歴史問題をどうするか。ここは迂遠なようでも、誠実な欧米人歴史研究者による地道な国際的視野をもった戦時歴史研究プロジェクトを発足させる以外にないと思う。
南京事件、慰安婦問題等、戦争中の日本の行動に関しては、国内では、多くの研究が行なわれているが、これらは、主に国内の議論に留まっており、海外ではほとんど知られていない。南京事件については、事件前後の南京の人口変動、死体処理体制、国際保護地帯に逃げ込んだ国民党の兵士の日記からも虐殺の事実は伺えない。一方、虐殺情報を流したドイツ人神父は、国民党の宣伝工作員の疑いが浮上している。
また、チャイナが非難する三光作戦(殺し尽くす・焼き尽くす・奪い尽くす)は、兵站の現地調達に頼った日本軍の方針とは相容れず、むしろ日本に物資を与えないようにした国民党軍が自国人に対し行なった戦術(清野作戦)だ。(もちろん、戦争だから、日本軍にも行き過ぎは多く発生しただろう。アメリカ軍もベトナムで多くの過ちを犯した。そういう事象にたいしては、誠実に向き合わねばならない。)
戦争中の日本の行動については、客観的な国際的研究は、ほとんどなされていない。世界の多くの人は、日本は、ヒトラーがそうであったように、戦争指導者が、虐殺や女性の虐待を指令したと信じている。チャイナや韓国は、事実究明をする気は全くなく、自己の主張を日本に認めさせるのが国際研究だとしている。日韓の共同歴史研究が如何に不毛かは、参加者が痛いほど認識したはずだ。
ここは、事実に誠実な欧米の歴史学者に、たとえば、盧溝橋事件、日本の対チャイナ政策、対米戦争決定過程、日本軍の戦争遂行体制、将兵管理体制、チャイナにおける日本の占領地行政、軍属管理体制、慰安所管理制度等々、個別且つ包括的に、詳細な研究を依頼してはどうか。もちろん日本人学者との対話も十分行なう。
日本の国力低下と共に、欧米における日本研究者の地位は低下している。資金も潤沢には回らない。国際交流基金などから、大々的に研究資金を拠出して、大規模な研究プロジェクトを立ち上げる。資金の配分や研究者の選択は、透明性を持たせ客観性を担保する。
それらの研究成果は、日本人自身にも自らの歴史認識を新たにする機会を与えてくれる筈だ。 戦勝国の一方的な宣伝活動に過ぎなかった東京裁判は、仮に相当程度の真実が含まれていたとしても、日本人には信用できない面がある。 日本の歴史は、日本人のイニシアティヴで国際的な観点も考慮の上で究明・評価する必要があるだろう。それで初めて、戦争は真の意味で、日本人の歴史となるだろう。さらに、その研究をもとに政治的発信力を強化すれば、日本の主張が通り易くなることが期待されよう。
日本の経済を取り戻すことは、重要だ。それは、現在の我々の生活を取り戻すことだ。しかし、歴史を取り戻すことは、もっと重要だ。未来永劫の日本人の精神を守ることだからだ。目前の経済的利益のために、国の名誉をないがしろにする大使がいた。一時の利益と未来永劫続く利益の比較すらできないお粗末な人間だ。
日本の歴史を戻せ。