うらくつれづれ

折に触れて考えたこと ごまめの歯軋りですが

日本の株式市場

2008-07-30 14:38:46 | 経済
いまに始まったことではないが、株価がさえない。日本の株価は、アメリカの株相場の、鏡である。アメリカが冴えなければ、日本も冴えない。そんな、常識はいつからできたのだろうか。

歴史的な詮索をする能力はないが、現在、日本の株式売買の60%以上が、外国人によるものだという。アメリカの年金基金やヘッジファンドが、日本の株式相場を支配している。ソニーやキャノンは、既に外資といっていい状態だ。トヨタにとってだって、これは、対岸の火事ではないでしょう。

問題は、この事態に対して、こともあろうに経済担当大臣が、株価低迷は日本の株式市場は閉鎖的なためで、もっと開放しないと株価はあがらないと、まじめに発言することだ。東証や外資系の証券界者などもこれに呼応する。

チャイナの株式市場は、日本よりはるかに閉鎖的だ。劣悪な国営企業の業績好調な部分だけを切り出し株式上場する。政府による利益吸い上げや価格操作はやり放題だ。しかし、チャイナへの株式投資は活発だ。チャイナの株があがらないのはチャイナの株式市場が閉鎖的だからとは、誰も言わない。

要するに、株価と閉鎖性とは関係ない。儲かるがどうかだけが問題だ。

バブル崩壊後、日本で違法すれすれの行為を含めやり放題だった外国金融機関は、さらにやりたい放題のことをしたい。それを、グローバル化だの透明性などと、とってつけた理由をつけて、大臣が代弁してくれる。外資にとって、こんなにおいしく、かつ軽蔑に値する国はないでしょう。いったい、かの大臣は、外人が日本株式の何%の売買シェアをとれば満足するのでしょうか。

外人の言っていることがでたらめなのは、最近のアメリカの空売り規制をみれば、わかる。日本の株価下落過程で、外人の相場操縦目的の空売り悪用が跋扈した。日本は、それを感受することが、国際化の道と甘受した。しかし、今回のアメリカの空売り規制をみよ。アメリカは、自国の都合で勝手にルールを変える国だ。

実は、こういうことをするのは、アメリカだけではない。世界のすべての国がそうだ。残念ながら日本のノー天気のメディアは、こういう事実に対し判断停止となる。いや、認識能力がないというべきであろう。

まず、認識すべきは、自国の運命を切り開けるのは自国だけだということだ。そして、自国の生存を図る手を着実に打っていくしかない。

株式市場についていえば、これまでの経営者全体の株主軽視の行動が責められなければならないだろう。個人が安定株主になるには、安定した利益配分が必要だ。大多数の企業が、30%以上の配当性向を維持していたならば、国民の株式に対するイメージは大幅に変わった筈だ。いま、配当利回りだけで3%をこえる優良企業の株が相当ある。リスクのある外国為替取引よりはるかに有利だ。それでも、株が買われないのは、過去の低配当政策のつけだろう。

政府は、公正な取引市場育成の努力を怠った。ライブドアの例にもあるような山師が暗躍する錬金術の場にしてしまった。アメリカ式のルールを導入したのであればアメリカ式の監視システムも同時に導入しなければならない。アメリカの証券監視機関SECは、もっとも優秀な弁護士が集まるところでだ。日本の監視委員会とは、規模も運営も段違いだ。特に、規則制定能力を持ち、あらたな事態に臨機に対応する能力は見習わなくてはならない。

国民に対する金融教育も重要だ。資産運用技術は、人生における必須項目だ。昔、家庭科で、目玉焼きを習った。しかし、いまは、コンビニで手にはいる。今、家庭科で教えるべきは、投資理論だ。

最後に、いまの株価低迷の実態的な根本原因は、政府財政の赤字にあると思う。いわば、日本不信だ。800兆円にものぼる政府債務は、いずれ税金の形で回収される必要がある。企業にとっては将来の利益縮小、個人にとっても所得減少、これが日本経済の重しになっている。にも、拘わらず、最近財政再建路線を放棄する動きが自民党内にあるようだ。選挙が戦えないというのである。しかし、この動きは、将来の国民生活を破滅させるに等しいと思う。あるいは、国民は、破滅を望んでいるのだろうか。


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1 コメント

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コメントありがとうございます。 (Orwll)
2009-07-08 23:05:27
コメントありがとうございます。南方の島島の源流とする黒潮文明について、多少神がかりで書いています。色々ご教示を賜りますよう。
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