うらくつれづれ

折に触れて考えたこと ごまめの歯軋りですが

事業仕わけの茶番

2010-11-19 14:22:23 | 政治・行政
マスコミが事業仕わけではしゃいでいる。税金の無駄使いが、派手に宣伝宣伝され、国民は、これに溜飲を下げる構図だ。政治家には、なにかをやっているパーフォーマンスができ、支持率回復の絶好の機会と映る。

仕わけ自体は常識的な内容で、くだらない支出が野放しにされていたこと自体問題だ。しかし、このような無駄使いの個々の詳細な内容について、議員自身が乗り出してチェックすることは、漫画的状況といっていいだろう。

アメリカには、会計検査院がある。この検査院は、行政権の一部というより、議会の手足と認識されている。職員は、会計士にみならず、政策科学の専門家がおり、単に会計上の適正さのみならず、政策上の妥当性をも審査する。さらに、政策提言までも行う。職員の質もお極めて高い。議会は、検査院報告を受けて、大所高所から、政策・法案作成を行う。

日本の検査院もアメリカに習って憲法に根拠をおいて設置されたが、任務は、会計上の適法性のみに審査が限られる。検査院報告は、無味乾燥で、決算委員会が注目されることは、ほとんどない。検査院の職員の質もそれなりだ。政策決定権限は、財務省・予算委員会が一手ににぎっている。

日本の会計検査院の権限が弱いには偶然ではない。弱めたには、大蔵省の官僚の権限欲と予算の無駄使いから甘い汁を吸おうとした与野党の政治家だ。そして、国民は何も言わなかった。需要がないから、政策科学も発展しなかった。

いま、お金がなくなって、しかたなく事業仕訳なるものを始めてみた。しかし、素人の議論には限界もある。蓮舫の有名なお粗末発言がそれを物語る。専門家による論点整理と各選択肢の利害得失の分析をもとに、素人が最終判断を行う。これが、行政のあるべき姿であろう。

行政は膨大であり、いくら議員が時間を使っても隅々まで目を光らすことは不可能だ。その意味で、今の仕訳は議員の時間の無駄使いだろう。すみやかに、会計検査院法を改正して、アメリカ流の検査と政策提言を実施させるべきであろう。職員には、民間の会計士やシンンクタンク職員を大量に採用する。外交国防以外分野では、民間会計事務所に検査を委託してもいいだろう。

政治家が、末端の検査官の仕事を喜んでやっている状況は、日本の国家制度のお粗末さを示すものだろう。しかし、民主党は、嬉々として仕訳にいそしんでいる。仕訳は、今や民主党の唯一の人気政策になってしまった。これは、日本のマスコミのお粗末さの証明でもある。