うらくつれづれ

折に触れて考えたこと ごまめの歯軋りですが

消費増税ではなく円に課税を

2012-08-27 22:44:12 | 経済
3党合意により消費税増税がきまった。ただ、実施までには、いささか時間的余裕がある。今回の消費増税は、財政再建のためという。しかし、ただでさえ生活苦にあえいである国民を苦しめるのみならず、消費を落ち込ませ、企業活動を更に停滞させ、失業率を悪化させる。まさに、日本経済を奈落の底に追い込むものだ。
小生は、財政再建論者だ。誰が見ても、現在の財政の現状は、サステナブルではない。借金は、将来の国民からの増税で支払うほかはない。今後生まれる赤ん坊は、生まれながらにして借金を背負うことになる。子供の幸福を考えれば、生まれてこないほうがいいわけだから、さらに少子化が進むことになるだろう。現在の福祉享受世代のわがままにも程がある。福祉の改革も待ったなしだろう。しかし、現時点での消費増税には、反対だ。
現在の苦境の根源は、デフレにある。デフレを解消しなければ、あらゆる財政再建努力は水泡に帰するであろう。消費増税は、経済の縮小をまねき、税収をさらに落ち込ませるからだ。まず、デフレを解消し、その上で財政再建に取り組むべきなのだ。このあたりに事情は、武者氏が、小生よりはるかに説得力のある議論を展開しているので参照願いたい。http://column.ifis.co.jp/market/musha/10543
デフレは、金融現象だ。逆立ちしても、日銀シンパがいうように人口現象ではない。日銀は、円の価値を増すデフレが好きなのだ。経済活動を犠牲にしても、円の価値を守る。それこそが日銀の使命を思い込んでいる。そうしている間に、国富を生み出す活動は停滞し、国民は窮乏化している。シャープも、デフレと円高を放置した日銀の犠牲者といっていいだろう。日本産業の競争力低下は、日銀が倒錯した目標に縛られていることによるが、そのことを一向に自覚しない。
ここに、デフレ・円高解消と財政再建の両方に有効な奇策がある。円に課税するのだ。具合的には、日銀が保有する国債の日銀による償却、あるいは政府通貨を発行し日銀に購入させる。これにより、政府債務は減少し、且つ同額だけ、円が希薄化する。政府通貨の場合は、石ころに金額を書き、日銀の金庫に永久保管すればいい。まあ、償却よりは、日銀資産に計上される政府通貨の方がやりやすいだろう。どちらにしろ、これは、実質的には、円資産に対する課税と同義となる。
これに対する弊害は何か。外国人に円債投資から逃げ出すことくらいだろう。あと、円の国際化も詐害されよう。しかし、デフレが解消し、円高が是正され、株価があがり、金利も正常化し、国にお債務も削減されるという利益のほうがはるかに大きい。円の国際化というような日銀と財務省の面子だけのメリットなどに拘泥する必要はさらさらない。日銀は、常套句のハイパー・インフレの虞を挙げるかもしれない。しかし、ハイパー・インフレは、ギリシャのように追い込まれてから調整インフレ手段をとることから起きる。余裕のある段階では、ハイパー・インフレは起き難いだろう。
具体策として、800兆円のマネーサプライに対し年2.5%、20兆円を課税すればよい。
もちろん、これは消費増税と同じく劇薬だ。しかし、デフレに直接働きかける特効薬でもある。デフレを悪化させる消費増税は、断固阻止すべきだ。なお、デフレ脱却の折には、この処置は直ちに停止すべきことはいうまでもない。その段階で、福祉改革と消費増税による財政再建を目指すべきだろう。