ギャラップ「世論調査」で米国人の価値観・心情の変化が明らかに…少子高齢化で「日本病」に罹る可能性
米国でもますます進む少子高齢化
米疾病管理予防センター(CDC)は6月1日、「米国の2022年の出生率は前年に比べ横ばいだった」と発表した。
2022年の出生率は1.7人。現在の人口を維持するためには、2.1人が必要とされている。出生数は366万1220人で2021年より約3000人減少したが、新型コロナのパンデミック2年目に当たる2021年の出生数は7年ぶりに増加していた。
米国の出生率は今後も減少することが懸念されている。
住居費や学費の高騰などのせいで、米国の若者の3分の1が親と同居するようになっているからだ。日本や南欧など親との同居率が高い国は出生率が低い傾向があり、米国でもこれらの国と同様の現象が生ずるとの指摘が出ている(5月29日付日本経済新聞・28日付ウェブ版)。
2010年以降、米国では高齢化も進んでいる。主な要因は、ベービーブーマー(1946年から1959年までに生まれた世代)の大部分が65歳を超えたことだ。
国勢調査によると、65歳以上が占める割合(高齢化率)は2010年が12.8%、2020年が16.8%。1990年以降、12%台で安定的に推移してきたことにかんがみれば、驚きの変化だ。
米国の高齢化に歯止めがかかっていた理由には、移民の存在がある。しかし近年は、移民に対する風当たりが強くなっており、高齢化はますます進むことになるだろう。
米国もいわゆる「日本病」に…兆候は「保守傾向」
少子高齢化は米国の社会にどのような影響を与えるのだろうか。
英誌「エコノミスト」(6月3日号)は「少子高齢化が進めば、社会から『流動性知能』が失われる恐れがある」と警告を発している。
流動性知能とは、問題をまったく新しい方法で解決する力のことであり、心理学者によれば、若者が多く保有している。これに対し、高齢者はリスクを取ることに抵抗が強く、革新的なアイデアを採用することが少ない。少子高齢化社会ではイノベーションが起きにくく、経済は停滞するというわけだ。
このような指摘は日本では当たり前の感があるが、米国もいわゆる「日本病」に罹ってしまうリスクが生じているのだ。
既にその兆候は現れている。米国人が社会問題に対してより保守的になっていることが、米国の世論調査・コンサル企業ギャラップの世論調査で明らかになった。
ギャラップは6月8日、毎年5月に実施している価値観・信条に関する調査の結果を発表した。昨年まではリベラルと保守がほぼ並んでいたが、今年は保守が38%、リベラルが29%だった。
注目すべきは、自身を「社会的保守」とする共和党支持者が、昨年60%から74%に急増していることだ。州別に見ると、共和党が主導する州の人口が増加している一方、民主党が主導する州の人口は減少している。米国の保守化がさらに進む可能性がある。
年齢別に見ると、「社会的保守」と回答した割合は中年層で高く、30歳から64歳までの平均が12%上昇したことも今年の調査の特色の1つだ。
保守化を追い風にして次々と可決される法案
15年前、オバマ元大統領を勝利に導いた当時の若い有権者(ミレニアル世代)は現在40歳前後になっているが、歳を重ねた彼らの多くは右傾化したと言われている(6月12日付クーリエ・ジャポン)。
「貧すれば鈍する」ではないが、その理由は日々の生活の厳しさだろう。
米国では高額な配達料を節約するため、注文した商品を自ら飲食店に取りに行く客が増えているという(6月9日付ビジネスインサイダー)。
「弱り目に祟り目」ではないが、住宅所有者のホームエクイティ(住宅価格からローン残高を差し引いた持ち家の正味価値)は、今年第1四半期に前年比0.7%低下。2012年以来初の年間ベースでの減少となった。マイホームの資産価値を元手に生活費をやりくりしている多くの米国人にとって大きな痛手だ。
社会の保守化を追い風にして、共和党が主導する州では中絶やトランスジェンダーの権利を制限する法案の可決が相次いでいる。
米国の性的少数者の権利を推進する団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」は6月6日、創立以来初の全国規模の非常事態を宣言した。LGBTQ(性的少数者)の生活を規制することが狙いの法案が各地の州議会で次々と可決されているとするものだ。
反ESG(環境・社会・企業統治)運動も米国で広がっている。
フロリダ州で今年初め、ESG活動を制限する「反ESG法」が成立した。それを皮切りに、共和党が主導する州では同様の動きが生じており、来年秋の大統領選挙では争点の1つになることが予想されている(5月24日付日本経済新聞)。
バイデン政権は銃規制強化を訴えているが、過去1年をみてみると、規制を緩和する州法が規制を強化する州法より多かったことがわかっている(5月25日付日本経済新聞)。
人口動態の変化に伴い、米国社会の保守化は着実に進んでいる。国際社会はこのことにもっと大きな関心を払うべきではないだろうか。
米国の医療費が高いのは貧困層を出しわざと志願制の徴兵に出すためだったんです
ようは戦わずに勝てばいいだけなんです
それには新しい会計に変えて
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