警視庁警部補が「事件は捏造」と証言 起訴取り消し国賠訴訟
軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反で起訴され、約1年の勾留後に起訴を取り消された化学機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の社長らが、違法な逮捕・起訴があったとして国と東京都に約5億6500万円の賠償を求めた訴訟の口頭弁論が30日、東京地裁であった。捜査に携わった警視庁外事1課の男性警部補が証人として出廷し、「(事件は)捏造(ねつぞう)だと思う」と証言した。
一方で、6月23日にあった別の証人尋問では、警部補の上司に当たる警部が「逮捕手続きは間違っていない」との認識を示しており、事件を巡って警視庁内部の見解が食い違う展開になっている。
事件では、大川原正明社長(74)ら3人が2020年3月、生物兵器の製造に転用可能な噴霧乾燥装置を国の許可を得ずに中国に不正輸出したとして逮捕・起訴された。東京地検は21年7月、生物兵器の製造に転用可能か疑義が生じたとして起訴を取り消した経緯がある。
30日の証人尋問で、男性警部補は、生物兵器の製造に転用可能かを確認する捜査段階の実験で、データが不十分との指摘が内部であったのに、追加の実験が実施されなかったと指摘。「大きな事件を挙げて『上に行きたい』という欲が捜査幹部にあったのだと思う。逮捕する必要はなかった」と述べた。別の警部補も「捜査幹部が不利になる証拠に目を向けなかった」と同調した。【巽賢司】
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