お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

犬は友だち、猫はヒーロー

2013-09-14 | my Anthology


 世の中は犬好きと猫好きに分かれるとか、ひとには犬型と猫型がいる・・・とか、なんといっても身近なペットは犬と猫。

 では、絵本の世界の猫と犬は? 
 敢えて大胆に言いきってしまうと、絵本の中で、犬は友だち、猫はヒーローです。

 猫の方から見てみましょう。

 古いところでは「長靴をはいた猫」の民話があります。お父さんの遺産としてもらった猫。「猫じゃ食べられないよなぁ」と嘆く男の子に「そう捨てたもんでもないぜ。養ってくれたら、後悔はさせないよ」とうそぶく猫。すでにして猫にリードされていますが、そのまま猫のアドバイスにしたがった結果、男の子はめでたく王女様と結婚。今ならさしずめ「逆玉の輿」というところ。英語版は "Puss in Boots" 。いろいろなバージョンがあるようですが、私は Fred Marcellino が絵を描いている、カルデコット賞を受賞した本が好きです。どうです!この賢そうな猫!

Puss in Boots
Square Fish

 
 次の猫は、これもほぼ古典。ドクター・スースの人気シリーズの1冊 "Cat in the Hat" です。

 お母さんはお出かけ。外は雨降り。きょうだい2人だけの退屈なお留守番だったはずが、次から次へと奇想天外なパフォーマンスで楽しませてくれる猫が登場し、退屈どころかスーパー・エンタテイメントな時間が展開します。ところが、タイミングを心得た猫は、退場しつつ、きれいに後片付け。帰って来たお母さんに「なにしてたの?」と聞かれても・・・「え~と・・・」。

The Cat in the Hat
Random House Books for Young Readers


 現代の猫もヒーローです。

 すでにご紹介した" Pete the Cat" シリーズは、最近のニューヨークタイムズ紙の「今週のベストセラー」の常連。同様に "Splat, the Cat" も、やはり長くニューヨークタイムズ紙のベストセラーの常連だったシリーズ絵本です。マイペースでカッコいいPeteは子どもの憧れ、甘えん坊でときどき引っ込み思案なSplatは言わば
子どもの分身。PeteもSplatも、ともにアメリカ人の子どもなら誰でも知っている猫のヒーローです。

Pete the Cat: I Love My White Shoes
HarperCollins


Splat the Cat
HarperCollins


 一方、犬は,常にひとと一緒です。

 クラシックなところでは、ディズニー映画「101匹わんちゃん大行進」の絵本 ”101 Dalmatians”があります。全篇ほとんど犬たちだけの冒険物語ですが、飼い主の元からさらわれたという想定で、最後はちゃんと飼い主の家に戻ります。

101 Dalmatians (Disney 101 Dalmations) (Little Golden Book)
Golden/Disney


 まったくの余談ですが、このお話に出て来るぽっちゃりした家政婦さんを見て、子どもの頃の私は、なんて愉快に誇張された姿なんだろうと思っていました。ところが、アメリカに来てみて、子犬を両脇に抱えて階段を上って行く後ろ姿の、あの大きなお尻が、誇張でもなんでもない、よくある姿だと知ったときの驚きは忘れられません。

 さて、これもクラシック "Harry, the Dirty Dog" (日本語版は「どろんこハリー」)では、泥んこ遊びに興じたハリーが真っ黒になって飼い主にハリーだとわかってもらえない・・・というお話。ハリーが1人で遊び回るのですが、でも、お話の伏線は飼い主との関係。やっぱり飼い犬です。

Harry the Dirty Dog Board Book
HarperFestival


 かつてアメリカ中の子どもが知っていた犬は、大きな赤い犬 "Clifford" でしょう。シリーズ全篇を通じて、いつも飼い主の女の子と一緒です。

Clifford the Big Red Dog (Clifford, the Big Red Dog)
Cartwheel Books


 同じように、大きな犬と女の子が主人公の絵本を、日本のアーティスト奈良美智さんが英語で出版しています。

The Lonesome Puppy
Chronicle Books


  犬たちは、絵本で主人公になるときも、いつもひとと一緒です。冒険しても、最後は飼い主のところに戻ってきます。英語では犬の別名は「ひとの最良の友だち (Men's best friend)」ですが、なるほど、むべなるかな。一方、猫たちは独自の世界を構築し、むしろ1人で活躍するヒーロー。飼い主はそもそも登場しないことの方が多い。

 やっぱり犬と猫はキャラクターがだいぶ違いそう。ひとが犬派と猫派に分かれるのも、無理はないですね。

 
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そして みんな 大きくなった

2013-01-01 | my Anthology


今日は、おとなになっても『懐かしい絵本』の数々をご紹介。 アメリカ育ちの知人たちに「子どもの時、どんな絵本が好きだった?」と聞き回ってみました。

断然の一番人気は『The Very Hungry Caterpillar』 この本が”嫌い”と言う人には、いまだ会ったことがありません。世界50カ国語に翻訳され、既に3000万部以上も売れている超ベストセラー/ロングセラーです。今でもほぼ毎分一冊売れていると聞けば、なるほど誰でも知っているはず。世界中の愛読書ですね。セレブあおむしの誕生日(出版日;1969年3月23日)にはグーグルも敬意を表しましたし、赤ちゃん用ヨーグルトのデザインにもにもなっています。

人気の秘密は、赤ちゃんあおむしが『食べた』ところに次々と『丸い穴』があいていくデザイン。「あの穴に指を突っ込んで遊んだよ」との声、多数。作者のエリック・カールが、ある日「パンチで紙に穴をあけていて思いついた」というアイデアは、世界で始めてのコラージュ絵本(1969年出版当時)になり、数々のグラフィックデザイン賞を受賞しました。

斬新なデザインというだけではありません。あおむしが、サナギになって蝶になるまでのプロセスを、幼い子にもわかりやすく描いた『科学絵本』として、イギリスの昆虫学会(Royal Entomological Society of London)から“お墨付き”をもらっています。さらに、簡潔で読みやすいテキストなのに、食べ物の名前から一週間の曜日までが無理なく盛り込まれていて実に教育的。たくさんの児童文学賞に輝いたのもうなづけますね。(ブログ記事;『にほんご、えいご、併読のパワー』)

また、バーバラ・ブッシュ前大統領夫人が米国全土の文盲撲滅キャンペーンに利用し、息子の前ブッシュ大統領が学校訪問する時には、読み聞かせに持参した絵本としても有名です。お母さんに読んでもらった絵本は「おとなになっても大好き!」というわけでしょうか?

さて、そのブッシュ前大統領は「愛読書は?」とのインタビューに『Goodnight Moon』をあげ、「大統領は絵本しか読まないのか?」とメディアに揶揄されたことで知られていますが、これはベッドタイムの読み聞かせ定番の一冊。大統領ならずとも、アメリカ人なら誰でもどこかで一度は読んでもらった経験があると言っても過言ではない人気絵本です。友人たちも「『Goodnight Moon』はよく読んでもらったなぁ」と実にみんな懐かしそうでした。

ベッドタイムの読み聞かせといえば『Bedtime for Frances』も皆が懐かしむ一冊です。「さぁ、もう寝る時間ですよ」と言われ、ベッドに入って眠りにつくまでのフランシスの行動と心象風景は、ようやくひとりで寝るようになった年頃の子どもたちから圧倒的な共感を得ること請け合い。お孫さんへの読み聞かせをシリーズでアップしているおばあちゃまのYouTube『Grandma’s Bedtime Stories』にも含まれていますので、ご試聴されてはいかがでしょうか?

パジャマパーティのベッドタイムに「歌ってはしゃいだなあ」と懐かしむ手遊び歌が『Five Little Monkeys』です。「ベッドでふざけちゃだめよ!」とお母さんがドアを閉めた途端にがばっと起きて枕を投げっこしたり、飛び跳ねたり……。遊んでいるうちに一匹ずつベッドから転げ落ちて頭を打ってしまう……というおサルさんの歌です。幼稚園のサークルタイムなどでは、全員がお猿になって、実際にベッドで飛び跳ねては、転げ落ち(る真似をし)ます。YouTubeに楽しい映像がありますのでご覧ください。

次はおなじみ『Curious George』 これも”知らない人はない”人気絵本で人気キャラクターです。数々のシリーズ絵本が刊行されて読み継がれ、テレビや映画になり、ありとあらゆるキャラクターグッズが発売され、ジョージ専門の本屋さんまで登場……とマルチな人気者。人気の秘密は、ジョージが子どもなら誰でも「一度はしてみたい!」と思っていることをやってのけるから。悪気はないのだけれど、とにかく好奇心のおもむくままの行動で”いたずら”をしてしまうジョージ。読み手はハラハラドキドキ! でも「消防車に乗ってみたい」「壁にペンキを塗ってみたい」と思わない小さい子はいないのでは? 娘と私のお気に入りは「空港の荷物受け取りのターンテーブルに乗ってしまう」お話。映画『Toy Story2』には主人公たちがジェットコースターのような速くて複雑なバゲージラインに乗って冒険する場面がでてきますが、あれもきっと制作者がジョージから得たインスピレーションでは?と考えるのは穿ち過ぎ?

続いてドクター・スース。アメリカ人は、子どももおとなもドクター・スースが大好きです。絵本が読まれているだけでなく、学校の演劇やミュージカルの題材に取り上げられたり、映画になったり、イラストを専門に取り扱うギャラリーもあります。『One Fish Two fish Red Fish Blue Fish』はたいてい誰でも読んだことがある一冊でしょう。男の子と女の子がさまざまな(時に奇想天外な)生き物に出会って、友達になったりペットにしたりするお話です。ライムが耳に心地よく、楽しんで読める絵本ですが、単純なテキストには文字を覚えるのに適したさまざまな工夫が凝らされていて教育効果も満点です。

ドクター・スースの人気のほどを示すのは、彼の作品にパロディが非常に多いこと。『One Fish Two fish Red Fish Blue Fish』もそのひとつで、子ども向けのTVアニメやゲームはもとより(シンプソンズにもポケモンにもあります)、学術出版物でさえタイトルの元ネタに使っています。例えば、National Geographic誌の2005年5月号に掲載された『One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish, Why are Coral Reefs so Colorful?』は珊瑚礁の生物に関する学術記事ですし、また、お堅いスミソニアンから刊行された『One Fish, Two Fish, Crawfish, Bluefish』と題されたおとなのための料理本は、ただのレシピ集ではなく「持続可能な環境に配慮した魚の食べ方ガイド」で、且つ漁業問題の入門書。いかにもスースのパロディ向きですね。

パロディと言えば、そんなことをしたら次々限りなく問題や要求が出てくるよ……という、時に警句的な引用で使われる絵本もあります。『If You Give A Muse A Cookie』ですが、これも、パロディ絵本が多い、人気の元ネタ絵本です。

絵本はアメリカ人の基礎教養。お子さんに読み聞かせながら、是非ご一緒に楽しんでください。



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クリスマスに読みたい絵本

2011-12-20 | my Anthology

ホワイトハウスに飾られるツリーは、サンクスギビングの翌日に飾り立てた馬車で運ばれてくるのが恒例。今年はウィスコンシン州の農場で育てられたモミの木が選ばれました。 Source: The White House

もうすぐクリスマス!

感謝祭を過ぎると、ベイエリアのラジオ局はどこもクリスマスの曲を流し始めます。幅広いファンを持つKOIT局では、一日中まさにクリスマスソングのみ。皆にあきれられるくらいクリスマスソングが大好きな私は、自宅でも車でも、カフェで書き物をしているときも流しっぱなしで聞いています。歌詞は子育て中にWee Sing Christmasなどの子どものビデオ(ブログ記事『クリスマスは歌に乗ってやってくる』)を見て覚えましたが、これが今でもパーティでけっこう役に立っています。赤鼻のトナカイやジングルベルなど、お子さんと一緒に大きな声で是非どうぞ!

子どもの歌以外でよく流れるのは、「サンタが街にやってくる」、「ホワイトクリスマス」、”So this is Christmas、And what have you done...”と始まるジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」、"Last Christmas"、"Santa Baby"など。ご当地ソングの定番は、"Christmas in San Francisco" と"It's Christmas Once Agan in San Francisco"です。が、今年のKOITからは、定番にまじって、ちょっと怪しげな歌声がしょっちゅう聞こえています。おなじみドクター・スースの"How the Grinch Stole Christmas!"のミュージカル・ナンバーです。今年はクリスマスにサンフランシスコで上演されるので、そのプロモーション。グリンチは、大人にも子どもにも人気のドクター・スースの代表作のひとつ。クリスマスには毎年読みなおしたい絵本の一冊です(ブログ記事『わたしの「クリスマス絵本」は、これ!』)。原作の絵本も楽しいのですが、コスチュームからセットまでが色鮮やかで美しい映画もおすすめです。

クリスマスと言えば、もう一つの定番はバレエの「くるみ割り人形」。プロのダンスカンパニーから街のバレエ教室の発表会まで、毎年たくさんの公演があります。伝統的なものから斬新な振り付けの新作まで、バラエティに富んだプロの公演も楽しみですが、子どもたちだけでなく先生までが総出で踊る街のバレエ教室の上演もアットホームで楽しめます。わが家も、あの不況の年に奮発して高いチケット買ったのにインフルエンザで行かれなかったねとか(ブログ記事『「くるみ割り人形」と遠くへ行った友だち』)、ニューヨークのときは雪で開演に遅れちゃったねとか、バークレーで見たマーク・モリスは衣装はよかったけど……などなど、思い出しては家族で語り合うなつかしい思い出があります。

クリスマスは、当日もですが、実は、何日もかけて少しずつ準備を進めていくのが楽しい行事でもあります。家の軒先に電飾の飾りを張り巡らし、ツリーを買いに行き、買って来たツリーを飾りつけ、ドアにはリースをかけ、暖炉にストッキングを吊るしたり、友達から届いたクリスマスカードを棚に並べたり……。贈る人の顔を思い浮かべながら一つずつプレゼントを選ぶのも、ちょっと工夫したラッピングをしてツリーの下に並べるのも、ついでに「何が入っているのかな?」と自分宛のプレゼントを耳のそばで振ってみたり……するのも楽しいものです。

娘が小さいころのわが家の人気絵本は「ゆうびんやのクマさん」でした(ブログ記事『郵便やさんのいちばん忙しい日』)。イブの夕方まで、村中の人々にプレゼントやカードを自転車で届ける郵便配達のクマさんのお話を始めて読み聞かせた時、娘の質問は「ママ、クマさんのところにもプレゼント来るの?」でした。お話の途中で、実に心配そうに、おそるおそるたずねた娘の顔が忘れられません。大丈夫!最後にクマさんがお家に帰ると、彼のツリーの下にもちゃんとプレゼントが置いてあります。

うちの娘だけではありません。クリスマスのプレゼントを楽しみに待っている子どもたちは、よそにプレゼントをもらえない子どもがいると聞くとほんとうに心配します。アメリカには、そんな子どもたちの思いを、必要な子どもに届ける仕組みがあります。クリスマスの伝統は、知らない人にもプレゼントすることなのです。クリスマスシーズンに学校で始まるのがギビングツリー(ブログ記事『もうひとつのギビングツリー』)。ホームレスシェルターやいろいろな保護施設にいる子どもたちが「クリスマスに欲しいもの」を書いた短冊をたくさん下げたツリーを、学校のロビーや事務室に立てます。生徒たちはそれぞれに短冊をとって、書いてあるプレゼントを買い、きれいにラッピングしてツリーの下に並べます。箱には短冊を貼って中身がわかるようにしておきます。イブが近づいてもツリーに短冊が残っていると、子どもたちはやきもき! 親は子どもにつきあって、2度目3度目の買い物に行くことになります。ギビングツリーの語源は同タイトルの絵本です(ブログ記事『12月の定番絵本 ギビングツリー』)。一見クリスマスとは関係がなさそうなお話ですが、毎年このシーズンには必ず学校で読まれ、また書店でも定番として目立つところに飾られる絵本です。

誰でも簡単にチャリティに参加できる仕組みができているのは、アメリカのよいところだと思います。例えばスーパーマーケットではフード・ドライブ(食料品限定の寄付集め)をやっています。店舗の入り口に大きな入れ物が置き、そばに「特にこんなものを希望します」というリストがあります。寄付したい人は、先にリストを眺めておき、買い物のついでにリストの品物も一緒に購入して、帰りがけにフード・ドライブの容器に入れるだけ。衣類などの寄付が欲しい団体は、各家庭に希望品リストと寄付の出し方(たいていはきれいなゴミ袋に入れて、リストの紙を付けて、所定の日に玄関先に出すだけ)を書いた紙を配布し、所定の日にゴミ回収の要領でトラックでとりに廻ります。いずれも簡単です。

クリスマスは夜長。子どもたちは明るいうちからサンタさんを待って、だんだん待ちくたびれてきます。そんな長い夜に小さな子と楽しめる探し絵ゲームの絵本が"I Spy Christmas" です(ブログ記事『クリスマス休暇に楽しむ「隠し絵ゲーム」』)。おなじみ”I Spy...”シリーズの一冊ですが、テーマはズバリ!クリスマス。オーナメントなどの写真もきれいです。さて、「サンタさんが来るまで起きてる!」と言い張る子どもたちと読む本は?というと、定番の一冊は"The Snowman"。字のない、絵だけの絵本ですから、家族で眺めて、お話をつくりあって、語り合って、楽しめます(ブログ記事『雪だるまと出かける冒険旅行』)。ちょっと変わったお話では、クリスマスツリーになりたかったのになれなかった‥‥‥と嘆くもみの木を動物たちが慰めてくれるお話(ブログ記事『念ずれば‥‥』)や、眠らなくちゃいけないのに眠れないでいる冬眠クマさんのお話(ブログ記事『眠りたくないイブの夜は‥‥』)など、いかがでしょうか?

娘が大きくなるにつれ、わが家の絵本は、年下のお友達や幼稚園や図書館に寄付してしまいました。でも、私が娘からクリスマスプレゼントにもらった絵本は大事にとってあります。”The Gift of Nothing”。さんざん考え迷ったあげく、親友の犬に、空っぽの箱をきれいにラッピングしてプレゼントに持って行く子猫のお話です。「君とボクがいれば、ほかには何にもいらないよね!」というメッセ-ジ付き。私の絵本にも娘のベアハグ(大きな抱擁)がついてきました(ブログ記事『バイカルチャラルでよかったな!と思うとき』)。

Merry Christmas!


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そして みんな 大きくなった

2011-11-01 | my Anthology


今日は、おとなになっても『懐かしい絵本』の数々をご紹介。 アメリカ育ちの知人たちに「子どもの時、どんな絵本が好きだった?」と聞き回ってみました。

断然の一番人気は『The Very Hungry Caterpillar』 この本が”嫌い”と言う人には、いまだ会ったことがありません。世界50カ国語に翻訳され、既に3000万部以上も売れている超ベストセラー/ロングセラーです。今でもほぼ毎分一冊売れていると聞けば、なるほど誰でも知っているはず。世界中の愛読書ですね。セレブあおむしの誕生日(出版日;1969年3月23日)にはグーグルも敬意を表しましたし、赤ちゃん用ヨーグルトのデザインにもにもなっています。

人気の秘密は、赤ちゃんあおむしが『食べた』ところに次々と『丸い穴』があいていくデザイン。「あの穴に指を突っ込んで遊んだよ」との声、多数。作者のエリック・カールが、ある日「パンチで紙に穴をあけていて思いついた」というアイデアは、世界で始めてのコラージュ絵本(1969年出版当時)になり、数々のグラフィックデザイン賞を受賞しました。

斬新なデザインというだけではありません。あおむしが、サナギになって蝶になるまでのプロセスを、幼い子にもわかりやすく描いた『科学絵本』として、イギリスの昆虫学会(Royal Entomological Society of London)から“お墨付き”をもらっています。さらに、簡潔で読みやすいテキストなのに、食べ物の名前から一週間の曜日までが無理なく盛り込まれていて実に教育的。たくさんの児童文学賞に輝いたのもうなづけますね。(ブログ記事;『にほんご、えいご、併読のパワー』)

また、バーバラ・ブッシュ前大統領夫人が米国全土の文盲撲滅キャンペーンに利用し、息子の前ブッシュ大統領が学校訪問する時には、読み聞かせに持参した絵本としても有名です。お母さんに読んでもらった絵本は「おとなになっても大好き!」というわけでしょうか?

さて、そのブッシュ前大統領は「愛読書は?」とのインタビューに『Goodnight Moon』をあげ、「大統領は絵本しか読まないのか?」とメディアに揶揄されたことで知られていますが、これはベッドタイムの読み聞かせ定番の一冊。大統領ならずとも、アメリカ人なら誰でもどこかで一度は読んでもらった経験があると言っても過言ではない人気絵本です。友人たちも「『Goodnight Moon』はよく読んでもらったなぁ」と実にみんな懐かしそうでした。

ベッドタイムの読み聞かせといえば『Bedtime for Frances』も皆が懐かしむ一冊です。「さぁ、もう寝る時間ですよ」と言われ、ベッドに入って眠りにつくまでのフランシスの行動と心象風景は、ようやくひとりで寝るようになった年頃の子どもたちから圧倒的な共感を得ること請け合い。お孫さんへの読み聞かせをシリーズでアップしているおばあちゃまのYouTube『Grandma’s Bedtime Stories』にも含まれていますので、ご試聴されてはいかがでしょうか?

パジャマパーティのベッドタイムに「歌ってはしゃいだなあ」と懐かしむ手遊び歌が『Five Little Monkeys』です。「ベッドでふざけちゃだめよ!」とお母さんがドアを閉めた途端にがばっと起きて枕を投げっこしたり、飛び跳ねたり……。遊んでいるうちに一匹ずつベッドから転げ落ちて頭を打ってしまう……というおサルさんの歌です。幼稚園のサークルタイムなどでは、全員がお猿になって、実際にベッドで飛び跳ねては、転げ落ち(る真似をし)ます。YouTubeに楽しい映像がありますのでご覧ください。

次はおなじみ『Curious George』 これも”知らない人はない”人気絵本で人気キャラクターです。数々のシリーズ絵本が刊行されて読み継がれ、テレビや映画になり、ありとあらゆるキャラクターグッズが発売され、ジョージ専門の本屋さんまで登場……とマルチな人気者。人気の秘密は、ジョージが子どもなら誰でも「一度はしてみたい!」と思っていることをやってのけるから。悪気はないのだけれど、とにかく好奇心のおもむくままの行動で”いたずら”をしてしまうジョージ。読み手はハラハラドキドキ! でも「消防車に乗ってみたい」「壁にペンキを塗ってみたい」と思わない小さい子はいないのでは? 娘と私のお気に入りは「空港の荷物受け取りのターンテーブルに乗ってしまう」お話。映画『Toy Story2』には主人公たちがジェットコースターのような速くて複雑なバゲージラインに乗って冒険する場面がでてきますが、あれもきっと制作者がジョージから得たインスピレーションでは?と考えるのは穿ち過ぎ?

続いてドクター・スース。アメリカ人は、子どももおとなもドクター・スースが大好きです。絵本が読まれているだけでなく、学校の演劇やミュージカルの題材に取り上げられたり、映画になったり、イラストを専門に取り扱うギャラリーもあります。『One Fish Two fish Red Fish Blue Fish』はたいてい誰でも読んだことがある一冊でしょう。男の子と女の子がさまざまな(時に奇想天外な)生き物に出会って、友達になったりペットにしたりするお話です。ライムが耳に心地よく、楽しんで読める絵本ですが、単純なテキストには文字を覚えるのに適したさまざまな工夫が凝らされていて教育効果も満点です。

ドクター・スースの人気のほどを示すのは、彼の作品にパロディが非常に多いこと。『One Fish Two fish Red Fish Blue Fish』もそのひとつで、子ども向けのTVアニメやゲームはもとより(シンプソンズにもポケモンにもあります)、学術出版物でさえタイトルの元ネタに使っています。例えば、National Geographic誌の2005年5月号に掲載された『One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish, Why are Coral Reefs so Colorful?』は珊瑚礁の生物に関する学術記事ですし、また、お堅いスミソニアンから刊行された『One Fish, Two Fish, Crawfish, Bluefish』と題されたおとなのための料理本は、ただのレシピ集ではなく「持続可能な環境に配慮した魚の食べ方ガイド」で、且つ漁業問題の入門書。いかにもスースのパロディ向きですね。

パロディと言えば、そんなことをしたら次々限りなく問題や要求が出てくるよ……という、時に警句的な引用で使われる絵本もあります。『If You Give A Muse A Cookie』ですが、これも、パロディ絵本が多い、人気の元ネタ絵本です。

絵本はアメリカ人の基礎教養。お子さんに読み聞かせながら、是非ご一緒に楽しんでください。



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ハロウィンで大はしゃぎ

2011-10-27 | my Anthology


10月になると、急に日暮れが早くなって、風が冷たくなって……そんな街のそこここを鮮やかなオレンジ色のカボチャが彩ります。そう、10月はなんといってもハロウィン!

ハロウィンと言えばカボチャ。子どもたちの楽しみはパンプキンパッチのカボチャ狩りです。郊外の農場に出かけて、持ちきれないほどの大きさやユニークな形のカボチャを選ぶのも楽しみですが、学校のファンドレイジングのために校庭に設けられたパンプキンパッチでカボチャを売るのもまた楽しみです。近所の八百屋さんでは店頭にかかしやトウモロコシをアレンジし、ディスプレーがてらに売り出すカボチャでハロウィン気分を盛り上げます。シリコンバレー発のユニークなガラスのパンプキンも年々人気上昇中。GODIVAの季節限定チョコレートはカボチャのクリーム入り。

気に入った形や表情のカボチャを手に入れたら、当日に間に合うように「ジャック・オー・ランタン (Jack O Lantern)」を作ります。手をべたべたにしてどろんこ遊び気分で楽しむカービングには、子どもはもとより、おとなも大はしゃぎ。学校や職場で、また最近はオンラインでもデザインコンテストがあり、みんなで盛り上がります。

カボチャの絵本で私の一番のお気に入りはエリザベス・キングの『The Pumpkin Patch』です。表情豊かなカボチャの写真集は、どのページを開いても、いつまで眺めていてもあきません。

もっとも、ハロウィンのカボチャは魔法のカボチャ。だから、突然消えてしまったり『The Vanishing Pumpkin』、止まるところを知らずに大きくなりすぎたり『Big Pumpkin』、庭に入りきらないくらいたくさん実ったりして『Too Many Pumpkins』、子どもたちをハラハラドキドキさせます。でも、気分満点のカボチャのお話はいずれも"怖くない”絵本なので、小さな子にも、そしてベッドタイムにも、安心して読み聞かせられます。

そしてカボチャに並ぶハロウィン・キャラは魔女とオバケ。

魔女には善い魔女と悪い魔女がいるんだよ……と、子どもたちは教わります。そう言えば、「眠り姫」にも「オズの魔法使い」にも両方の魔女が登場しますね。善い魔女のおばあさんは病気を治してくれたり、なくした物を捜し出してくれたりします『Strega Nona』。善い魔女はお人好しなだけでなく、実はちょっと間が抜けていたりもして、そこが”可愛い”と相場が決まっています。そんな気のいい魔女が猫をホウキに乗せて仲良く飛んでいたら、どっと風が吹いて、あ!魔女の帽子が……杖が……飛ばされてどこかへ行ってしまいました! さぁ大変! 猫と魔女が落し物を探しに行くと……。落し物は見つかるのですが、逆に拾いものが……。動物たちが皆そろって「ねぇホウキに乗せてくれる?」気のいい魔女は、もちろん乗せてあげました。こんな愉快なお話は『Room on the Broom』。読み聞かせがYouTubeにアップされていますので、お楽しみください。

でも、やっぱりハロウィンには、ちょっと怖いお話もなければおもしろくありませんよね。うす気味悪いストーリーを書かせたら天下一!のロアルド・ダールの『Witches』はいかがでしょうか? 男の子をネズミに変えてしまうという魔女のお話は、絵本ではありませんが、素晴らしい挿絵がたくさんついた子ども向きのお話で、世界中で大人気です。一人で読むのは、たぶん3年生くらいから。でも読み聞かせるのであれば、学齢前の子でも十分に楽しめます。

さて、次はオバケです。オバケの絵本もたくさんありますが、私のいち押し絵本は『The Ghost's Dinner』。イラストレータでもあるジャック・デュケノイの作品です。登場するのはオバケだけ。まさにハロウィンにぴったりな絵本ですが、でもそれだけはもったいない、一年中楽しめる絵本です。お化けが集まってディナーを楽しみます。たくさんのご馳走が次々に出てくると.......お化けたちはそれぞれのお料理に影響されて色や形が変わってしまいます。グレープジュースを飲んだらぶどう色になり、トマトのスープを飲むとちょっと赤くなって……。最後にあるミルクを飲むと? あぁ結末も書きたいけれど、それは読んでのお楽しみ! ジャックは、このお話以外にも、可愛いお化けを主人公にした絵本をたくさん描いていて、どれも一年中いつでも楽しめるお話です。

もう一冊、ユニークなオバケの絵本があります。日本人アーティスト(版画作家)が始めて描いた絵本『The Ghosts in the House』です。アマゾン始めあらゆる読者評は「ともかく絵が素晴らしい!」 まったく同感です。ハロウィンカラーの黒と白とオレンジだけを使っているのに、色調と言い、実に品の良いきれいな仕上がりです。町はずれの家に少女が猫を連れて引っ越してきました。少女はその家がとても気に入りましたが、困ったことに……そこはオバケ屋敷でした。初めてオバケに遭遇した時はびっくり仰天。でも、大丈夫。少女はオバケの扱いを心得ています。オバケを捕まえては洗濯し、アイロンをかけ……そうして、猫も、少女も、オバケたちも、その家で、末永く幸せに暮らしましたとさ……というお話。この、あどけない少女は、きっと魔女なんですね。そういえば、ちゃんと黒い猫も連れています。決して過剰におしゃべりではないのに、なかなか含蓄のある絵本で、ニューヨーク・タイムズ紙のブックレビューで絶賛されたのもよくわかります。そう!魔女は意外なところにいるのです。もしかしたらあなたのお母さんも魔女かもしれません……。『My Working Mom

子どもたちにとって、ハロウィンのハイライトはキャンディハント! 暗くなるのをいまかいまかと待って、工夫を凝らしたコスチュームを身につけて出かけます。何日を前から準備する衣装選びには、子どもだけでなく、おとなも本気になります。会社のミーティングでミッキーマウスとスーパーマンが魔女を挟んで座っていたり、大学街では学生が近所の子どもたちを招待してキャンディを配ったり……アメリカ中がパーティ会場です。さぁ、扮装をばっちり決めたら、いよいよキャンディハント。"Trick or Treat?"、"Trick or Treat?"と声かけながらご近所を回ります。でも、そんなキャンディハントで謎めいた経験をした男の子もいますので、ハロウィンの夜にはくれぐれもご用心!『Trick or Treat

Happy Halloween Everyone!

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