お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

”先進国”で読まれる文盲撲滅の絵本

2010-01-07 | about 英語の絵本

Corduroy

ドン・フリーマン(Don Freeman)作の「コーデュロイ(Corduroy)」は1968年の出版以来のロングセラー。「読んだことがない」という人がまずいないと言ってよい絵本です。親子3代読んでいるという友人が少なからずいるくらい。お誕生日やクリスマスのプレゼントとしても大いに人気があります。

コーデュロイはぬいぐるみのクマです。デパートの売り場で、誰かが買っておうちに連れて帰ってくれるのを、今か今かと待っていました。ある日とうとう可愛い女の子(リサ Lisa)と目が合いました!次の瞬間、リサはおかあさんにコーデュロイが欲しいと言ってくれました!とうとう!でも、コーデュロイがショックだったことには、お母さんはコーデュロイを一瞥して「これはだめよ。お洋服のボタンが取れちゃっているもの」と一言。リサを連れて帰ってしまいました。コーデュロイが見下ろすと、あ!彼の着ているオーバーオールのボタンがひとつ、とれて失くなっています。

その晩、売り場中のおもちゃが寝静まった深夜、コーデュロイはデパート中をかけめぐって失くしたボタンを探します。ボタンがないと誰も買ってくれない・・・ずっと待っていたのに、誰にも買ってもらえないなんて・・・悲しすぎる・・・。でも、エスカレーターで上の階に行ってベッドやランプの間を探しまわっているうちに、夜警のおじさんに見つかって、売り場に連れ戻されてしまいました。

でも、でも、次の日、リサがまたやってきたんです!大事な豚の貯金箱(Piggy Bank)を持って!そうなんです、コーデュロイを買いにきてくれたんです!リサはコーデュロイを連れ帰って、オーバーオールに新しいボタンをつけてくれました。そればかりか、リサのベッドの隣にコーデュロイのベッドまで作ってくれたんです!コーデュロイはそおっとつぶやきました「ずうっと友達がほしかったんだ・・・」。

ぬいぐるみのクマって、たいていの子どもがひとつは持っているおもちゃ。だからコーデュロイの物語は、きっと、どの子にとってもなんとなく他人事とは思えないお話のはず。永年の人気の秘密はそのあたりにもありそうです。

「コーデュロイ」はNPO団体 Jump Start によって、昨年度の『Read for the Recordキャンペーン』の絵本に選ばれ、アメリカ中の恵まれない子どもたちへの読み聞かせに、そして英語学習の教材に使われました。Jump Startはアメリカ国内の恵まれない子どもたちの文盲撲滅のために闘い、読み書き能力の向上に尽力している組織です。

全米で3,500人以上の大学生を、低所得層の集まる地域の学校やアフタースクール施設などに派遣し、およそ13,000人の子どもたちに、読み聞かせを始めとする学習指導(および補助)を提供しています。

21世紀もすでに10年が過ぎた今日でも、アメリカには少なからぬ数の戸籍もない子ども、学校にも行かせてもらえない子どもがいます。アメリカという国は、いわゆる発展途上国が抱えるのと同様の問題を山のように内包した"先進国"なのです。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする