その昔、アメリカでは「子どもは、18歳(義務教育の修了)で親の家を出て自立/自活するもの」と信じられていました。が、そんな逸話も今は昔、ふるきよき時代の "アメリカ神話" に転じてしまった感があります。
アメリカの若者が自立しなくなりました。成人しても親の家を出て行かない若者が急増し、社会問題となっています。きっかけはリーマンショック後の不況。大学をでても職に就けない、若齢の失業者が大量に出現した2008年あたりからです。以来、学卒後の親元へのUターンが急増したまま,景気は徐々に回復しているのに、親元へのUターン率は高止まりしたまま、子どもの自立が進まない・・・という現象が起きています。
2012年現在、18歳から34歳までのいわゆる若いアメリカ人の2260万人が親と同居していました。親の13%が「すでに成人した子ども」とひとつ屋根の下に同居していると言われ、ところが、そのような子どもたちに家計費の一部を担うよう求めている親はわずか25%:4組に1組だけ。逆に、子どもが戻って来たのでリタイアするのを遅らせて生活費のために働いているという親が半数を占めていました。
新聞の「身の上相談」には「息子(娘)を自立させるにはどうしたらいいか?」という相談が頻々と寄せられるようになり、全国紙も折々「Uターン居候組の子ども問題(をどう解決したらよいか)」の特集を組んでいます。
ウォールストリートジャーナル紙から読者へのアドバイスは(1)自分の生活費を家計に入れさせる(2)滞在期限を設定する(3)とにかく働かせる(正規の仕事が決まらなくても、アルバイトでも)(4)子どもの連帯保証人になることにはとにかく慎重に、の4点。そして「それでも出て行かなかったら」パラサイトの成人した子どもに自立を促す方法を伝授してくれる専門家に相談すべし、と結んでいます(Mother, can you spare a room? : 2013年5月4日)。
さて、今日の絵本は "Zagazoo" です。親には "悲喜こもごも" の子育て。ある日、おとなになった子どもが親元を訪ねてみると・・・。
娘がまだ小さい頃にこの本に出会い、娘には読んでやったことがありませんが、いつか私が私のために読もうと思って、大事にとってあります。
子どもを育て上げた親御さんに、そして成人した子どもたちにもおすすめです。
Zagazoo | |
Red Fox |