お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

女の子? 男の子?どうして?

2013-09-13 | with バイリンガル育児

 男女で違う言葉を使う慣習が日本にはあります。いわゆる男ことば、女ことばです。そして、その使い分け、とくに一人称、すなわち男の子の「ぼく」、女の子の「わたし」は、小さい子どもほど、きびしい使い分けを強いられている気がします。

 一方、現代は、性別 (sexual orientation) についての新しい概念や定義が真剣に議論されていて、アメリカでは法制度までがかわってきています。この時代に、日本語のきびしい性差を身につけさせて子どもを育てることは、バイカルチュラルに育つ子どもたちにどういう影響を与えるのだろうか?と考えさせられます。

 英語の絵本には、テキストからも挿絵からも男女が特定できない主人公を扱っている絵本がたくさんあります。英語は、一人称、二人称には性差が示されませんので、テキストもイラストも齟齬なく、ニュートラル、あるいはユニセックスで完成できてしまいます。

 たとえば,日本でも人気のレオ・レオーニの絵本 "Little Blue and Little Yellow" は、英語版では女の子、男の子の区別がありません。絵にも、もちろん性別がありません。

Little Blue and Little Yellow
HarperCollins


 また、大人になっても楽しめる詩の絵本 "The Missing Piece" も、英語版では主人公の、端の欠けた"まる" にも、”かけら” にも性別を特定する手がかりはありません。

The Missing Piece
HarperCollins


 ところが、"Little Blue and Little Yellow" は日本語訳では「あおくんときいろちゃん」で明らかに男の子と女の子。

あおくんときいろちゃん
至光社


  "The Missing Piece" は、日本語版では「ぼくを探しに」と男の子になってしまいました。

ぼくを探しに
講談社


 もちろん、いずれも素晴らしい日本語訳です。娘にも何度も読み聞かせましたし、私も楽しんで読みました。でも、やっぱり、ちょっと納得がいかない。なにか妙案はないものでしょうか?



 
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ファーストネーム社会:絵本で学ぶ英語の常識(002)

2013-09-07 | with バイリンガル育児


 プリスクール(Preschool)をはじめ幼稚園(Kindergarten)や学校(School)などの集団に一人で出るには「自分の名前がわかる」ことが必要。そんなこと、わざわざ考えたこともないくらいあたりまえですが、でも、これ、やっぱり常識のひとつ。集団に出たら「わたし」を象徴するのは名前です。

 プリスクールの3歳児クラスに入るのだったら、名前を呼ばれたらわかるというレベルで十分で、読み書きできる必要はありません。でも、幼稚園の一年間のうちには自分の名前の読み書きができるようになること(つまり小学校入学時点で「自分の名前が読めて書ける」こと)が期待されています。この場合の名前はファーストネーム(First Name)です。アメリカの学校、特に小学校までは生徒は先生からも、友だちからもファーストネームで呼ばれるのがふつうだからです。

 ファーストネームで呼び合うのは幼稚園や小学校だけではありません。中学でも、高校でも,大学でも、さらには職場でも、毎日顔を合わせるような親しい間柄同士は(友だち同士も、先生と生徒も、同僚同士も、上司と部下も)たいていファーストネームで呼び合います。しかも、ファーストネームで呼んでいいというだけではなく、会話をする時には、折々に相手の名前を呼ぶのが,言わば礼儀。だから、知り合った人の「名前」をきちんと憶えることがとても大事です。これは、知っておくべきアメリカの常識のひとつです。

 朝晩の挨拶をするときにも相手の名前を呼びます。
 "Good morning, jamie"
 (おはよう、ジェイミー)
 "Good morning, Dan"
 (おはよう、ダン)
 
 また別れ際や、電話を切る場合などにも、結びの言葉の最後に相手の名前を呼ぶのが丁寧です。
 "Good bye, Gerry"
 (失礼します、ジェリー)
 "Talk to you later, Mike"
 (またあとでね、マイク)

 名前を呼ばないで挨拶の言葉だけ言うのは、通りすがりに見知らぬ人と言葉を交わす場合(こちらでは見知らぬ同士もよく挨拶します)くらいで、よく知っている相手と話しているのに相手の名前を呼ばないと、いささか親しみがないと思われるかも。

 初対面の人に紹介されたときでも、相手の名前を先に聞いたら、挨拶を返すときには、さっそく織り込みます。
 "I am Mary, nice to meet you."
 (メアリーです。はじめまして。)
 "Nice to meet you Mary, my name is Kate."
 (はじめまして、メアリー。私はケイトです。)

 でも、実はこれ、なかなかむずかしくて、私は苦手です。

 どうして上手にできないのかな?と考えてみると、やはり、「あえて主語を省き、敬語、謙譲語の使い分けで話す」のが礼儀正しいとされる日本の文化に慣れているせいではないかと思えるのです。日本語では、面と向かって二人称を使うことも稀ですし(目上の方に「あなたは・・・」なんて決して言いませんよね)、話している相手の名前をわざわざ何度もあげつらって呼ぶこともしません。挨拶するときにも「おはようございます」などの挨拶の言葉だけを言っても特に不自然ではありませんし。

 そんなわけで(と、つい言い訳したくなるのですが)、私は「会話の途中で何度も相手の名前を呼ぶ」というアメリカの風習に、いまだにうまくなじめず、困っています。でも,アメリカではさりげなく名前が呼べるとお互いにぐっと親しみが増しますから、会った人の名前をさっと憶えて、すぐにさりげなく会話に織り込んで話す会話の技術は是非身につけたいものです。

 さて、今日の絵本は "Goodnight Moon" です。小さなうさちゃんが、寝入り際、まわりの皆に「おやすみなさい」を言います。「おやすみなさい、ねこちゃん」「おやすみなさい、お月さま」。そう、「おやすみなさい」を言うときにも、挨拶する相手の名前を呼ぶのですね。

Goodnight Moon 60th Anniversary Edition
HarperCollins


 



 
 


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おしっことウンチの話

2013-09-06 | with バイリンガル育児

 おっぱい飲んでねんねして・・・と歌われる赤ちゃん。でも、実はもうひとつ大事なことがあります。そう、おしっことウンチですね。子どもが使う英語では"Pee"(おしっこ)と "Poop"(ウンチ)です。

 赤ちゃんは一日中、飲んで、食べて、寝て、そして「出して」います。生命の根源は(摂食ー消化ー排泄)の活動に尽きるのだなぁと納得させられます。食べなくても、出なくても一大事。命に関わりかねません。それに比べれば、あとのことは・・・いわば二の次、三の次と感じられるくらいです。

 生命体としての基本が、食べてー出すことだとすれば、ヒトとしての基本はトイレット・トレーニング。 おむつがとれて、おしっことウンチがちゃんとトイレでひとりでできるようになったら、一人前の子どもです。

 が、トイレの自立は子どもによって個人差があり、早く教えるようになってさっさとおむつがとれてしまう子もいれば、いつまでもおもらししてお母さんを悩ませる子もいます。どうせ遅かれ早かれとれるのですが、でも、よその子との数ヶ月の差が、実に悩ましいもの。 アメリカの親も悩みは同じ。だから、子どものトイレット・トレーニング応援する絵本がいろいろあります。

 たとえば ”The Potty Book"(おまるの本)。女の子篇と男の子篇が出ています。

Potty Book for Girls, The
Barron's Educational Series


The Potty Book for Boys
Barrons Juveniles



 なんといっても決定打は五味太郎さんの「みんなうんち」でしょう。「おおきなぞうは大きなうんち・・・」からはじまって、「いきものは、たべるから、みんな,ウンチをするんだね」の最終ページまで、いまだに暗唱できるくらい、さんざん読まされた絵本です。

みんなうんち (かがくのとも傑作集―どきどきしぜん)
福音館書店


 実は、この絵本、アメリカでも大人気です。でも、英語版があることを知ったのはまったくの偶然でした。たまたま観ていたテレビ番組で、主人公のひとりが職場の同僚の出産祝いにこの絵本をもって行く場面があったのです。思わず「あ~!」と叫んで、翌日すぐに買いに行きました。英語版もタイトルはズバリ "Everyone Poops"です。

 ドラマのために絵本を選んだのはその俳優さん自身で、実生活でも愛読書だったと、後で雑誌の記事で読み、すごく嬉しかったのを憶えています。なにしろ日本には優れた絵本がたくさんあるのに、あまり翻訳されていなくて残念だと、常々思っていましたので。

Everyone Poops
Turtleback Books


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まりーちゃんとひつじ:なつかしい絵本(001)

2013-09-04 | with バイリンガル育児


 初めに日本語の絵本を読んで、それから英語で読んだ、という絵本が何冊かあります。いずれも、赤ちゃんだった頃の娘の愛読書で、なつかしい絵本ばかりです。

 「まりーちゃんとひつじ」はそんな1冊です。

まりーちゃんとひつじ
岩波書店


 日本の児童書のクラシック「岩波子どもの本」シリーズの1冊です。やさしい色合いで、マリーちゃんがネッカチーフをかぶっているところなど、表紙からしていかにも昔なつかしい雰囲気いっぱいの絵本。まりーちゃんが仲良しの羊のパタポンとお話ししながら、空想しています。パタポンに赤ちゃんが生まれたら・・・と。

 子羊が1匹だったら、2匹だったら・・・まりーちゃんの空想はどんどん広がって、ついには7匹まで。かなり長いお話なので、赤ちゃんだった娘にわかったのかしら・・・?と、今になって、あらためて思っているのですが、私が好きだったからでしょうか何度も読みきかせ、また娘も挿絵に見入って聞いていました。

 この絵本が、英語では "Jeanne-Marie Counts Her Sheep" という本だとわかったのは、実は、アメリカに引っ越してからかなり経ってからのことです。アメリカ人のママ友に聞いても、あまりにクラシックだった故か誰も知らず、一般書を売っている大きな本屋さんでも見つからず、ある日おじいさんとおばあさんが経営している街の小さな児童書専門店に日本語の本を携えて行き、「マリーとパタポンの本を探しているんだけど・・・」と聞きましたら、「あぁ羊のパタポンね」とおばあさんがニッコリ。お店の奥からちょっと色あせた本を探し出してくれました。

英語版は表紙が違うんですね。

Jeanne-Marie Counts Her Sheep
Omnibus Pub
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おとなになってもABC:絵本で学ぶ英語の常識(001)

2013-08-24 | with バイリンガル育児


 アメリカの子どもなら誰でもきっと一冊は持っている「ABCの絵本」。数えきれないほど出版されていますので、「平凡だけど単語がわかりやすい」とか、「作家が好き」とか、「ぬり絵もできちゃう」とか、「キャラクターがユニーク!」とか、「動物の子どもばっかり集めた写真集」とか、「ついでに数字や色も教えちゃおう」とか、「ABCの本とは思えない!」とか、いろいろな選び方ができます。

 "My Big Alphabet Book" (わたしの大きなアルファベットの本)はしっかりした厚紙でできた”カードボード”絵本(cardboard books)です。まだ字の読めない小さい子が、なめたり、かじったり、投げたりしても大丈夫!

 内容も小さい子向き。輪郭のくっきりしたリンゴの絵に、アルファベットのAとa、Appleという単語がはっきりと読みやすく書かれています。AはApple、BはBoy、CはCarで、幼い子がよく知っていることばが選ばれています。敢えてちょっとむずかしいかなと思われる単語を探しても、せいぜいXのXylophone(楽器のシロフォンです)やX-Ray(レントゲンのこと)くらい。小さい子向きの配慮がよく行き届いた絵本です。

My Big Alphabet Book (Big Tab Board Books)
Dk Pub


 さて、ところで、今日の話題は「ABCの絵本」をおとなが活用する方法。

 日常生活で「ABCの絵本」的常識が一番役に立つのは、単語を口頭で綴るときです。たとえば電話などの会話で、名前や地名のスペルを聞かれたとき。日本語で言えば、たとえば「ナニヌネノの『ナ』です」などど説明するような場面です。

 こういう場合、英語では"A as Apple"あるいは"A for Apple" (AppleのAです) と言いますが、こういうときには、誰でも知っている,わかりやすい単語が一番。そう!まさに「はじめてのABC」に登場する"絵本レベルの単語"こそが最適なのです。

 アルファベットの中には、とりわけ(私たち日本人に)聞き分けにくく、言い分けにくい文字があります。たとえばBとV、NとM、RとLなどですが、ちなみに「BはBoy」で「VはViolin」、「NはNose」で「MはMouse」、「RはRainbow」で「LはLion」あたりの単語が一般的でわかりやすいようです。

 また日本語でも「東京都の『と』です」などと誰もが知っている地名を使って説明しますが、アメリカでも "N as New York" ."T for Texas" などはよく使われます。よくある人名を使うこともあります。たとえばNとMでいえば、"N as Nancy"、"M as Mary" です。

 
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