宇野ルーツだより

ご先祖のルーツを探す旅

水前寺のり

2011-11-28 18:56:45 | 日記
  一時期積もっていた雪も消え、今のところは「暖かい初冬」となっています。
 このままいけばいいのですが、そうはならないでしょうね。今年も、残すところあと1か月。
 早いですね。ともすれば大震災の記憶が遠くなりがちですが、できることはしっかり継続
 していかねばなりません、微力でも。宇野ゆかりの皆さま、お元気でしょうか?

 築山順子さんの著作「最新和洋料理」の内容をチェックしていると、地域独特の用語・食材
 などが登場して、興味深いものです。その中の一つで次のようなものがありました。

 「かば焼き豆腐」を作る時の食材に「阿蘇のり・水前寺のり」を使用するのが最も適当である、
 というのです。これらの「のり」の名前を目にするのは初めてでした。熊本の地名が入った
 「のり」ですから、近くの海で採れた「海苔」の名前だろうと思っていましたが、「阿蘇」
 「水前寺」に引っかかっていました。どちらも「海」ではなく、むしろ「山」だったからです。

 少し調べていくうちに、意外なことが分かりました。「水前寺のり」は、いわゆる海で採れる
 「海苔」ではなく、川で採れる「藍藻」だというのです。しかも、今は絶滅が危惧され、国の
 天然記念物。水前寺の江津湖(えづこ)ではすでに絶滅したものとされ、福岡県朝倉市の
 黄金川でも天然のものは少なくなっているといいます。養殖はされているようですが。

 本が出された明治の末期、この頃は「水前寺のり」は熊本では珍しい食材ではなかったの
 でしょうね。国の天然記念物に指定されたのが大正14年ですから、明治以後の環境の変化
 などで稀少になったのかもしれません。

 一方、「阿蘇のり」も調べてみましたが、こちらは有用な資料は見つけられませんでした。
 阿蘇山中のどこかの清流で「藍藻」が育っていたのでしょうか? 今でもあるのでしょうか? 
 ご存じの方がいましたら、情報をお知らせいただければ、と思います。それにしても、どんな
 味、食感なのでしょうね。この「のり」を使った「かば焼き豆腐」を食べてみたいものです。

  イチョウの落ち葉に積もった雪が融け残っていました。いずれ雪の下になってしまう
 ものと思います。清源院の旅日記、やっと完結。最終日に、宇野甚五郎さんが登場して
 いました。遅くなりましたが、来週にはお届けできるものと思います。


浅間山の噴火と旅日記

2011-11-15 10:57:07 | 日記
  昨夜(11月14日)、札幌で初雪を観測。過去3番目に遅い記録だそうです。
 でも、ほんのちょっと舞っただけのようで積もってはいません。今日は晴れました。
 宇野ゆかりの皆さま、本格的な冬に向かいますね。どうぞ体調管理にご注意を!

 清源院の旅日記「青葉の山路」を最終チェックしていて、あることに気づきました。
 5月23日(旧暦)に松井田宿(群馬県安中市)を出た清源院は、途中念願の浅間山を
 見ます。その時の様子を次のように書き残しています。

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  「四方を見渡せば、空ものどかにうちかすみ、遠近の山々の中にけぶりの立のぼる
   こそ、浅間山なるらめ」 そして、次のように詠みました。
       立のぼるけぶりにぞしる浅間山今朝は高根に雲のかからで

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 山頂付近に雲がなく、立ち上る煙で浅間山だと分かったというのです。この日、
 浅間山は、かなりの噴煙を上げていたことがうかがえます。浅間山の噴火の歴史を
 探ると、清源院が旅した天明3年(1783年)に大噴火があり、多数の死者を出して
 いました。

 この年の4月9日(旧暦)に活動を再開した浅間山は、5月26日(旧暦)に爆発的噴火が
 あり、その後7月6日から8日にかけて、溶岩流などで大災害となりました。清源院が
 見た5月23日は、まさに噴火直前の浅間山だったことになりますね。

 活動を再開した4月9日は、清源院は瀬戸内海の舟の上、知る由もなかったでしょう。
 しかし、浅間山に近づくにつれて噴火のうわさが伝わってきたのではないでしょうか。
 「ほら、噴火しているよ」と地元の人に教えられたのかもしれません。大災害になった
 のは、清源院が江戸に戻った後でしたが、伝え聞いた彼女はどう思ったでしょうね。

 このような何気ない紀行文の記述からも、科学的な事実を補強することがありえるもの
 と思います。地震・津波・噴火など、過去何度も大災害を経験してきた日本。「想定外」
 で済ますのは簡単ですが、もっと史実を掘り起こして検証する必要がありそうです。

  晩秋の豊平川です。この日は暖かだったので、河川敷をランニングしたり
 ウォーキングしたりする人の姿が多く見られました。先日送った「ルーツだより」への
 さまざまな感想をいただきありがとうございました。遅れ遅れとなっていますが、また
 続きを送ります。旅日記、築山さんの本、宇野騏八郎さんの業績など、残しておかなけ
 ればならないことが、まだまだ多い!
 

「最新和洋料理」入力完了!

2011-11-09 19:17:57 | 日記
  いよいよ寒くなってきましたが、札幌の初雪はまだです。でも、もうじきの気配。
 宇野ゆかりの皆さま、どうぞ体調管理にはお気をつけくださいね。

 先日紹介した「最新和洋料理」(築山順子著)、やっと入力が完了しました。明治37年の教科書、
 やはりすごい。こんな内容を当時の女子学生が読んで実習していたかと思うと、びっくりです。
 擬古文? の上に旧字体、さらにまったく初めて見る固有名詞もあって、興味はつきません。
 当時の尚絅高女のみなさんはすごい!

 ひっかかったいくつかのワードを紹介しておきます。読めない、知らないのは私だけかも。

  ・篩子 ・蒸籠 ・姫糊 ・牛蒡 ・水仙鍋 ・青粉 ・慈姑 ・橙油 ・毛水嚢
  ・章魚 ・庖刀 ・麵包 ・玉菜 ・暖爐  ・檮肉 ・火腿 ・苹果 ・牛酪

 まだありますが、このくらいにしておきます。それにしても、国立国会図書館に収蔵されると
 いうことは、それだけの価値があるはず、ということでしょう。本の内容がすばらしいなどは
 差し置いても、当時の文化を知る上で確かに意味がありますね。コンピュータがない時代、
 紙のデータは簡単に失われかねません。当時の物価、熊本独特の食材などの記録は貴重です。

  またまた、「お宝」が出てきました。宇野家がお世話になった中頓別町の池田金物店の
 「マッチ」のようです。初めて見ましたが、昭和初期のものでしょうか。同じものが残っているかは
 疑問ですね。貴重な情報を提供いただいた東京の澤田さま、ありがとうございました。