うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY  60点

2015年01月24日 | 映画感想

遥か神話の時代よりこの地上を守る女神アテナと彼女の戦士、聖闘士。
現代、人の傷を癒やす自らの力に悩む城戸沙織のもとに聖闘士があらわれ、彼女こそアテナの化身だと告げる。
だがアテナが君臨するはずのサンクチュアリは、沙織を消そうと刺客を放ってきた――
80年代に大ヒットを飛ばした聖闘士星矢がなぜかフルCGアニメとして復活。



なんでいまさら星矢なの?
なんでフルCGなの?
十二宮編までを90分に収めるとか無理でしょ?
などの見る前からわかっていたツッコミどころを超えて、想像以上にツッコミどころしか存在しなかった。

全体的には「あれ?今度のFFの新作ちょっと星矢っぽいね」という仕上がりになっていた。
ホストみたいな顔をした聖闘士たち。
なんかむかつくヒロイン。
謎空間に浮かぶラスダンと化したサンクチュアリ。
色のついたかめはめ波を撃ちあうバトル。
なぜかモンスター化して巨大化するラスボス。
どう見てもFFです。本当にありがとうございました。

ただ八十年代の、まだゲーム文化が定着していなかった時代だったゆえに成立したともいえる、あの現実を意識しているのかしていないのかさっぱりさじ加減のわからない原作のテイストを、現代の完成された非現実的オタ作品の世界に落としこむとこうなるんだなあ、というのがそれはそれでけっこう面白かった。だって原作のサンクチュアリ、あの巨大アトラクションがギリシャにあって雑兵とか普通に仕えているのが冷静に考えると正気を疑う感じだったからね……。いっそSFじみた謎空間で謎の民を統治する謎女神のほうがアテナにまだある種の統一感があるよ……。

で、基本的にはテーマパークのアトラクションと化した十二宮を尺に急かされてちゃっちゃかと回っている展開だった。
メガネっ子になっていたムウさん。
原作に比較的近い安定のアルデバラン。
存在すら無視された双児宮。
ジャック・スパロウのミュージカル会場になっていた巨蟹宮。
ひげと唇ピアスのせいでガイアにささやかれてそうなちょい悪イケメンになったアイオリア。
やはりとばされる処女宮。
老師が一瞬も出てこないまま飛ばされる天秤宮。
女体化してオークにレイプされる要員と化したミロ。
原作のアスレチックジムがなかった人馬宮。
瞬を0コマで倒し、もったいぶって登場した一輝も瞬殺するシュラ最強伝説。
人気キャラが軒並み配慮された中でガチでブロンズに負けて死んだカミュ最弱伝説。
こいつはどうでもいいだろという扱いで瞬殺されるアフロディーテ。
ライフストリームの力をとりこんで真の姿をあらわすセーファ・セフィロス。
そして全編を彩る沙織お嬢さまの棒読み――。

原作を知らずに観るにはストーリーが原作ありきの省略をしすぎで、かといって原作ありきで観るには大事な部分まで改変しすぎており、どう観ればいいのか扱いに困る作品になっていた。いやまあ、有り得ない改変部分がくるたびに「そりゃねーよwwww」とツッコミ入れて笑いながら観るのが正しいんだと思うし、ぼくもそうしていましたが。
ただCGの映像自体は悪くない。特にアトラクションと化した十二宮はそれぞれの特徴が出ていて綺麗だし面白かった。「トランスフォーマーだよね?」といいたくなるブロンズクロスもそれはそれでカッコよく、ゴールドクロスにいたっては原作のケレン味あるデザインを活かしたまま厨二感あふれるリファインがされていて、黄金の質感とともにここがこの作品の命だとばかりの頑張りを感じることが出来た。
演出やキャラなども、デスマスクとか原作の面影もないことを除けばこれはこれでキャラが立っていた。声がタイバニの虎徹なので悪い虎徹にしか見えなかったけど、それはそれでいい演技をしていた。でもこの短い尺の中でデスマスクの異様な優遇はなんなの……。監督がタイバニの人だから虎徹の人のキャラを優遇したかったの……?あと氷河もバニーちゃんにしか見えなかったです……。

良いか悪いかでいえば確実に悪いが、しかし素直に原作をなぞられるよりはユニークであったし、これはこれで良かったんじゃないかという気がする。ただしネタとして。
問題はそのネタにいくらかけちゃったのかしらって不安になるところかな……。金だけはかかってるのわかるから、これ赤字じゃなかったらすごいよね……。






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