
<懐素(かいそ・唐時代の僧)の「苦筍帖(くじゅんじょう)」>
下の書は、懐素の「苦筍帖」である。懐素(725?‐785?年)は唐時代の
僧で、「狂草(きょうそう)」という革新的な書風を得意とした。
「狂草」というのは、王羲之の書風を形だけ真似る堅苦しい風潮を打破し
ようとして生まれたもので、筆致は自由奔放であるが、二王(王羲之、王
献之)以来の草書を充分に学んだ上のことである。
苦 筍 及 茗 異 常 佳 ・・・・・
なかなか力強い、雄大な、美しい書体であると思う。

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<高閑(こうかん)筆の草書千字文>
高閑は、生没年未詳であるが唐時代後期の僧といわれている。
始めに懐素(かいそ)の書を出したのは、高閑は懐素の書風から影響を
受け、特に楷書、草書を得意としたといわれているため、比較する意味で
載せた。
下の書は、高閑筆の草書による千字文であるが、南宋時代(470‐521年)
の「周興嗣(しゅうこうし)」の「千字文」を書いたものといわれているが、現
存するものは243文字のみで、しかも高閑の現存する肉筆の唯一の書と
言われている。
この書の前に同様のものが二枚あるが、最後の二枚を載せた。

この書の一番左側に、「呉 興 高 閑 書」と書いてあるのが読み取れる。
その右隣りの雄大な文字は「乎 也」である。

ものすごく力強く、気宇壮大な文字としか言いようのない、圧倒されるよう
な、すばらしい草書体である。
中国の言葉では、「神采超逸」「情意秀発」というらしいが、実によく文字
の雰囲気を表している。
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<参 考>
下の書は、智永筆の、楷書(真)と草書が並べて書いてある
<真草千字文>である。同じ「千字文」を書いてもこのように
大きく異なるところが、書が奥深く、楽しいところである。
書も最高のレベルになると絵画と同じで、後は好みの問題で
あると実感する。

書の至宝展<智永筆・真草千字文>はここをクリック
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