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やさしい日本人

2008年05月30日 07時37分59秒 | 政治
中国・四川大地震の救援物資輸送に自衛隊の輸送機を使う計画が、一転して民間チャーター機を利用することに変更された。

一見すると、また日本の弱腰外交、救援してもらうにも関わらず我儘で強気な中国政府――と映るが、筆者の見方はちょっと違う。
福田康夫という政治家、首相としては不適格だと思っているが、外交は結構うまい。外務大臣としては有能と感じる。
今回の自衛隊機派遣が明らかになると、インターネットを中心に議論が沸騰したという。「救援だろうと日本軍を再び領土に入れるな!」という反対論が数多かったが、中には「前回は侵略に来たが、今回は救援に来てくれるのだから歓迎するべき」という賛成論も出たという。
自衛隊機を派遣するといえば、中国国内でこうした議論が起きるのは事前に予想できることだ。弱腰外交で中国に気を遣うならば、最初から自衛隊機使用などと言わずに民間機を利用するべき。にも関わらず「自衛隊機で輸送」と最初に発表するところが福田のしたたかな外交戦術と見る。そして中国国内から反対論が上がると、それに配慮した格好で民間機に変える。いかにも日本が中国に遠慮したイメージを与える。
「今回は受け入れるべき」と主張していた賛成派の中国人には「救援に来てくれるのに、さらに中国に配慮してくれる日本」が好印象に映ったことだろう。
そもそも反日感情が強いのは中国でも南部のほう。サッカーのアジアカップで重慶での凄まじい反日行為は記憶に生々しい。第二次世界大戦でも激戦地となったのは、そっちの地方だからね。うまい具合にといえば被災民には悪いが、今回、こちらの地方に「やさしい日本人」のイメージを強く植え付けられれば、今後の日中外交にとって大きなプラスになる。
政治家というのは、どんな非常時でもそういう計算を働かせなければならない。もしもキムタクが総理として失敗すれば「根は良い人」だろうし、成功したら「腹黒な人間」ということになろう(笑)。
ともかく「自衛隊機から民間機への変更」は、右翼思想を持った日本人にすれば「情け無い弱腰」と映るかもしれないが、国内では四面楚歌の福田康夫も、なかなかどうして外交ではやり手だと評価する。


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