地上というのは騒がしすぎるし、理
屈の分からない見当違いが多いので、
樹の上に登る機会があると嬉しくなる。
剪定の手を止めて見渡すと、植木屋と
しての実感に包まれる。笑
まあ、樹の上に登るのは山師か植木屋
か物好きぐらいだ。
今時の子供は木には登らない。50歳
を過ぎたおっさんが木になんて登ろう
ものなら、アホの烙印を押されてしま
うぞ。
さて、庭木にも理屈がある。
一般的なお庭に植えられている庭木は、
元々は自然に生える木に過ぎないもの
を長い経験から選別して庭に持ち込ま
れて来たもの。
生垣には、刈り込みに耐える樹勢の強
い木を、仕立物の刈り込み物は誰でも
同じ様に作業ができる。
多くのお宅にあるナンテンの葉や実は
天然の薬でもあった。
三大庭木なんて言われる庭木に、モク
セイ・モッコク・モチノキがあり、多
くのお庭に植えられていますが、昔の
人が好んだ名残ですが、何故だかは知
りません。
庭木が一本欲しいなら、キンモクセイ
は害虫も少なく10月に良い香りの花
が咲き、年中青い葉をつけているので、
お勧めではあります。樹高を2m程度
までと決め、樹幹内部の小枝整理と根
元から出る不要な芽を取る。剪定は花
後すぐ10月中にすればいい。
いちいち植木屋を呼ぶ迄もありません。
しかし、現代人の好みは大きく変わり、
園芸書や建築屋が流行りの木を作り出
して宣伝するので、見知らぬ庭木が増
えましたが、成長が早くて大きく成り、
面倒なので処分してくれという声も増
えました。
剪定屋さんとしては仕事の種ではあり
ますが、「何でそんな所に植えたんで
すか?」ということは少なく無く、
樹高が10mになる木は、樹幅は5m
幹は直ぐに20cmを超えますよと。
だから、樹勢を抑えるために「剪定は
して下さいね」と言いますと「え~そ
うなんですね」というのは最近の人の
口癖みたいなようですが、ちょっと考
えれば解るだろうという感じです。
ところで先日、木を伐ったら「バチ」
が当たるのかと質問を受けました。
貴方の親が勝手に庭に木を持ち込んで、
貴方がその木が邪魔で仕方が無いと。
仮に伐ったとして誰が誰にバチを与える
のかということですが、自己都合で神々
を引っ張り出す不遜な根性は、日本人の
悪い面だ。
もう嫌で嫌でそればかり考えているから、
自分の根性で自分の身を焼くというバチ
に似た顛末が起こる。所謂、病気ですが、
木一本伐ることで解放されるなら、余程
に身のため心のため。
伐る時は、新品のノコギリで躊躇せずに
根元から一気にやるべし。
ではでは。