【産経抄】11月20日
古今亭志ん朝さんは昭和37年、入門わずか5年、23歳という異例の若さで真打ちに昇進している。父親が「昭和の名人」志ん生だったゆえに、「親の七光」との陰口もたたかれた。終生のライバル立川談志さんからは、面と向かって辞退を迫られたそうだ。
▼もちろん雑音はすぐに消え、やがて人気、実力ともにトップに上り詰める。志ん生襲名の話が出たとき、誰よりも強く勧めたのが、談志さんだった。亡くなってから11年たつ今も、CDやDVDが売れ続けている。
▼民主党は、総選挙に向けた街頭演説で自民党に対して、「親の七光」、つまり「世襲」批判を繰り返している。民主党は、3親等以内の親族が同じ選挙区から立候補することを禁じている。確かに自民党の公認候補を見ると、かつて同じようなルールを検討したのを忘れたかのようだ。
▼もっとも民主党にだって、政権交代への国民の期待を見事に裏切った鳩山由紀夫元首相はじめ、世襲議員は少なくない。世襲は古くて、新しいテーマだ。他分野から政界への人材登用の道を閉ざすリスクがある一方、ポピュリズムに流されない信念をもった政治家が育つメリットもある。
▼そもそも今回の選挙では、尖閣諸島問題をはじめ、消費増税、原発、TPPと大きな争点がめじろ押しだ。「そこしか攻めるところがないのか」などと、自民党から皮肉られても仕方がない。
▼世の中の動きにも敏感だった志ん朝さんには、国民の政党離れについて、こんなコメントがある。「自分が表舞台に立てないから、ちょっと気の合ったもんで、党をつくろうよってえのがみえちゃった」。こんな浮ついた議員が淘汰(とうた)されないのは、世襲のせいだけではあるまい。
古今亭志ん朝さんは昭和37年、入門わずか5年、23歳という異例の若さで真打ちに昇進している。父親が「昭和の名人」志ん生だったゆえに、「親の七光」との陰口もたたかれた。終生のライバル立川談志さんからは、面と向かって辞退を迫られたそうだ。
▼もちろん雑音はすぐに消え、やがて人気、実力ともにトップに上り詰める。志ん生襲名の話が出たとき、誰よりも強く勧めたのが、談志さんだった。亡くなってから11年たつ今も、CDやDVDが売れ続けている。
▼民主党は、総選挙に向けた街頭演説で自民党に対して、「親の七光」、つまり「世襲」批判を繰り返している。民主党は、3親等以内の親族が同じ選挙区から立候補することを禁じている。確かに自民党の公認候補を見ると、かつて同じようなルールを検討したのを忘れたかのようだ。
▼もっとも民主党にだって、政権交代への国民の期待を見事に裏切った鳩山由紀夫元首相はじめ、世襲議員は少なくない。世襲は古くて、新しいテーマだ。他分野から政界への人材登用の道を閉ざすリスクがある一方、ポピュリズムに流されない信念をもった政治家が育つメリットもある。
▼そもそも今回の選挙では、尖閣諸島問題をはじめ、消費増税、原発、TPPと大きな争点がめじろ押しだ。「そこしか攻めるところがないのか」などと、自民党から皮肉られても仕方がない。
▼世の中の動きにも敏感だった志ん朝さんには、国民の政党離れについて、こんなコメントがある。「自分が表舞台に立てないから、ちょっと気の合ったもんで、党をつくろうよってえのがみえちゃった」。こんな浮ついた議員が淘汰(とうた)されないのは、世襲のせいだけではあるまい。