春秋
2012/11/15
ここぞというとき、家宝の刀を抜き放つ。すると閃光(せんこう)きらめき、難局を一気に切り開く。首相だけに与えられた衆院の解散権は、伝家の宝刀にたとえられる。その刀の柄(つか)に手をかけたまま「近いうちに」と言い続けていた野田佳彦首相が「16日に解散する」と決断した。
▼宝刀を抜いたのは、党首討論の場だった。年内解散を迫ろうと、自民党の安倍晋三総裁は満を持して質問を始めたはずである。その機先を制するように、野田首相が「2日後解散」を切り出した。いや、持ちかけたというべきであろうか。党首討論で解散の日取りを言い出すのは異例のことだが、そのまま一気に固まった。
▼伝家の宝刀を振るえば、民主党が選挙で返り血を浴びることは間違いのない情勢である。前のめりなそぶりを見せる総大将に、党内はこぞって「抜くな、抜くな」の大合唱を繰り返していた。まなじりを決して戦闘モードに突入したのはいいが、まずは身内の結束を固め、戦意を高めていくことから始めなければなるまい。
▼真剣を振るうとき、わずかな心の迷いやためらいがあると刃筋は乱れる。じらしにじらしはしたが、この点で野田首相の抜きっぷりは驚くほど鮮やかであった。だが、本番の合戦はこれから始まる。首相がついに抜いた伝家の宝刀。その切れ味や剣さばきは、どれほどのものだろうか。年末の総選挙で試されることになる。
2012/11/15
ここぞというとき、家宝の刀を抜き放つ。すると閃光(せんこう)きらめき、難局を一気に切り開く。首相だけに与えられた衆院の解散権は、伝家の宝刀にたとえられる。その刀の柄(つか)に手をかけたまま「近いうちに」と言い続けていた野田佳彦首相が「16日に解散する」と決断した。
▼宝刀を抜いたのは、党首討論の場だった。年内解散を迫ろうと、自民党の安倍晋三総裁は満を持して質問を始めたはずである。その機先を制するように、野田首相が「2日後解散」を切り出した。いや、持ちかけたというべきであろうか。党首討論で解散の日取りを言い出すのは異例のことだが、そのまま一気に固まった。
▼伝家の宝刀を振るえば、民主党が選挙で返り血を浴びることは間違いのない情勢である。前のめりなそぶりを見せる総大将に、党内はこぞって「抜くな、抜くな」の大合唱を繰り返していた。まなじりを決して戦闘モードに突入したのはいいが、まずは身内の結束を固め、戦意を高めていくことから始めなければなるまい。
▼真剣を振るうとき、わずかな心の迷いやためらいがあると刃筋は乱れる。じらしにじらしはしたが、この点で野田首相の抜きっぷりは驚くほど鮮やかであった。だが、本番の合戦はこれから始まる。首相がついに抜いた伝家の宝刀。その切れ味や剣さばきは、どれほどのものだろうか。年末の総選挙で試されることになる。