THE READING JOURNAL

読書日誌と雑文

「祈りの場に和の心を見よ」

2008-11-04 | Weblog
「長崎の教会」 NHK「美の壺」制作班 編

壱のツボ 祈りの場に和の心を見よ、コラム 世界遺産の暫定リストに

長崎で教会は、古くは天主堂と呼ばれていた。その中で現存するカトリックの教会としては、もっとも古いものは「大浦天主堂」である。
当時の教会は、宣教師が設計し、日本の大工が作ったのだが、日本の大工は教会とはどんなものだか見たこともなかった。

その結果、大浦天主堂は日本の伝統的な技術が生かされた、見事な洋風建築に仕立て上げられた。

大浦天主堂の天井は、西洋の教会の天井と同じ、リブ・ヴォールト天井なのであるが、全部石で作る西洋の様式と違い。その曲線を竹で描き漆喰で固め、日本の伝統技術の粋が込められている。

五島列島にある「青砂ヶ浦教会」は、一九一〇年(明治四十三年)に建てられた美しいレンガ作りの教会である。現在、三代目のこの教会は、五十戸あまりの信者が貧しい暮らしの中で建築費を捻出し、労働奉仕をしたのち完成したものである。
同様に、「頭ヶ島教会」も貧しい住人の奉仕と熱意で建築された。石づくりのこの教会は、近くの島から石を船で運んで建てられた。

資金難で工事が中断した頭ヶ浦教会は、建築に十一年を要し、完成したのは神父の死後五年後のこと。神父、大工の棟梁、そして信者の夢と情熱が、長崎の各地に独自の美を放つ教会を作り上げていった。

この長崎の教会群は、二〇〇七年「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として、世界遺産の暫定リストに登録された。