ちよさんの病気は癌だったので、あらゆるケアが必要になった。
それがちよさんにとってよかったのかどうかはわからないが、
飼い主であるわたしがいかに快適にケアできるかってことでもある。
まず工夫が必要になったのはごはんで、
口の中が腫れていたので、舐めて食べられる柔らかいフードが必要になってきた。
すでにペーストやスープになっているフードも売っているけど
やっぱりそれはちょっと割高になってくるし、しかもちよさんはそういったフードをあまり好まなかった。
で、私はちよの好みのフードをプロセッサーにかけてペーストにして与えたのだが
これはよく食べてくれた。
うちにプロセッサーがあって本当によかったと思った。
洗いやすいし便利。毎日のように使った。
人間用のお料理にももっと活用しようと思った。
顔の腫瘍が大きくなってきて、掻いて血だらけになるのを防ぐためにエリザベスカラーを着けた。
ネットで探して注文したけど、緊急性があった最初はクリアファイルを切って手作りした。
大急ぎで作ったので、マスキングテープびりびりでかっこわるい。
でも、キルティングの布を首回りに着けてあたりを柔らかくしたり不器用なりに頑張ってこさえたのだよ。
で、結構これでカラーに慣れてくれたので、その後届いたカラーにはすぐに慣れてくれた。
軽くて可愛いカラーがあったの。
カラーにしてはちょっと高いなと思ったけど
プラスチックの硬いのだと、長く使うにはしんどそうだったから、軽くて着け心地の良さそうなこれにした。
これはよく作ってあって、値段に似合ってると使っててわかった。
ピンクとブルーを買って、汚れたら洗って、2枚を交互に使った。
ただ、サイズを調整するマジックテープが3本着けてあって、
使わないところのマジックテープのギザギザが直に傷に当たりそうで、
最初はテープを貼ってカバー(下の画像ではテープを貼って対応してる)していたけど
結局使わないサイズのマジックテープを縫い付けてある糸をチマチマ切って取り外した。
専用のマジックテープ部分のカバーも売っていたので使ってみたけど、
これも結局いちいち洗ったりするのが面倒になってきて、取り外したほうがよっぽど使いやすくなった。
これが小さなパラボラアンテナみたいで可愛かったし、よく似合ってたよ。
しまいにはちよさんの体の一部のように感じて、実は未だに棄てられない。
汚れてはいるんだけど、なにかの時に役立つかもしれないから、とか色々自分に言い訳して保管してる。
エリザベスカラーを着けると、食事やお水をとるのに多少不便が出てくるので
お皿やお水入れはある程度高さと安定が必要。
ちよはごはんはわたしがスプーンで直接食べさせていたので使わなかったのだが、お水入れは色々使って考えた。
器の幅が広いとカラーがお水に浸かってしまって濡れるので幅が狭い器がいいのだが、
それだと結果的に小さな器になるので首を下げて飲むのが辛そうだった。
なので、高さもあったほうがいいので、100均で買った寸胴の(底とふちの幅が一緒のやつ)マグカップが活躍した。
100均のマグカップは重いので、安定感があって役に立った。
腫瘍が自壊して膿が出るようになるとかなりな悪臭が出る。
これがもうわたしの食欲がなくなるほどの匂いで、これには精神的にも参ってしまった。
病院で相談したが、癌の化膿は飲み薬が効かないので外部を洗浄したり消毒するしか方法がないと言われた。
病院ではヨーチンで消毒する方法を教えてもらった。
それでも、なんとかならないものかと考えたのだが、
ふと、わたしの祖母が晩年床ずれを起こした時に介護施設の方が「床ずれ部分を緑茶で洗浄をする」というのを思い出した。
祖母の褥瘡とちよの化膿の匂いがよく似ていたからだ。
カテキンの殺菌効果で匂いも抑えられるし、普通にお湯で洗浄するより効果的なんだと聞いたのだ。
緑茶洗浄のお茶はなんでもいいんだけど、2番煎じのお茶でもいいそうなので人間が飲んだ後のお茶っ葉でもいいみたい。
カテキンを抽出するには80度以上で15分ほど煮出す必要があるそうだ。
わたしは家で眠らせて消費期限が切れてしまった緑茶があったので、それをグツグツにて洗浄用の緑茶を作った。
使う時は少し温めてスプレーボトルに詰め替えてから患部にシュッシュとあてて洗浄した。
ごはんの後は必ずそれで洗浄した。
それと、色々調べて購入してみた消臭剤がある。
レビューの評判もよかったので、すがる気持ちで買ってみた。
ごはんの後、まずは緑茶でフードのベタベタや膿を洗い流し、仕上げに『きえ~る』をスプレーした。
どっちか一方だけより、この合わせ技の方がより悪臭に効果があったように思う。
そして最後にヨーチンを患部に塗った。
塗るときは球状になった綿が使いやすかった。
ピンセットでもってぬりぬりと、お医者さん気分で。
化膿臭は完全には消臭できなかったけど、これらのケアである程度は抑えられた。
物言わぬ猫、これらのケアがちよさんにとっては苦痛だったかもしれない。
それでも、ケアする側が快適でないと心が折れてしまうのだ。
「ごめんな、ごめんな」と言いながらケアした。
幸い、ちよは亡くなる直前まで歩けていた。
エリザベスカラーのせいでトイレに奥まで入れずにしょっちゅう場外におしっこしちゃっていたけど
それはペットシーツを敷いておけば問題なかった。
わたしはいずれちよは寝たきりになって、下の世話も必要になってくるだろうなーと覚悟はしていたんだけど
ちよは最後までトイレは自分した。
ご飯も強制給餌になるだろうと思っていたが、前日まで食べてくれていたし
ちよは小さいのにガッツのある猫だった。
今思うと、わたしはちよに救われてばかりだったな。