循環型社会って何!

国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

全国で灰溶融炉廃止の動き?

2011年01月10日 | 灰溶融炉
先週6日、中日新聞の記者(生活部)から連絡が入り、灰溶融炉について取材をしたいという。とりあえず持っている資料を提供したところ、さすが新聞記者で、全国の自治体に片端から電話取材、目ぼしいところへは出向く準備に入った。
 ついさきほどその記者から中間連絡があり、休止中のところ、廃止を決めたところ、などを知らせてくれた。概要は以下の通り。
《休止しているのは、横浜市、群馬県太田市、千葉県我孫子市、茨城県潮来市、衣浦衛生組合(碧南市、高浜市)、兵庫県篠山市。高知市。滋賀県長浜市も休止の雰囲気。廃止方針を決定したのは、仙台市、城南衛生管理組合(京都府南部)。廃止を検討中なのが安達地方広域行政組合(福島県)。他にも休止中のところはありそう。城南衛生管理組合は取材を受けてくれるという》。

なんでバタバタとそんな動きになったのか。それは去年(2010年)3月19日付で環境省が各都道府県知事あてに送りつけた文書「環境省所管の補助金等に係る財産処分承認基準の運用について」が発端である。
 むろんこのタイトルだけでは何のことやら分らないし、例によって回りくどい官庁用語の羅列だから、理解するだけで日が暮れる。

◆国の政策が変わった?
 要はこれ以上灰溶融施設を使うことは好ましくない。むしろ温室効果ガスの削減という見地から廃止の方向をとった方がいい。しかし施設を建てるときに環境省(旧厚生省を含む)は多額の国庫補助金を支出してきた。施設を廃止するならそれを返還すべきだが、わが国環境政策の最重点課題に協力してもらうのだから返還する必要はない、といっているわけだ(注:対象となる国庫補助の期間は1997年から2003年まで)。
 では環境省はどんな見解から、手のひらを返したように灰溶融炉の必要性が薄れたといっているのか。前記文書から全文引用すれば以下のとおりである。
①ダイオキシン対策の推進に伴う排出削減効果の発現(飛灰及び焼却灰のダイオキシン濃度の著しい低下)により溶融固化処理の 必然性が著しく低下していること、
②3Rの推進により最終処分場に残余年数が増加していること
③温室効果ガスの削減は、我が国の環境政策の最重点課題の一つであり、灰溶融固化設備の廃止による燃料等の削減により温室効果ガスの削減に寄与すること

◆ずいぶんな話
これなら辛うじて分かる。つまり国が進めてきたダイオキシン対策が成功し、3Rの推進で処分場も余ってきた。だからこれ以上灰溶融炉を動かすことは我が国の環境政策に反してCO2を増やすことになる、といっているのだ。
 このあと文書は[財産処分承認基準における適用]とか[対象設備、承認に必要な条件等]が事細かに記載されているが、考えてみればずいぶんな話ではないか。なぜ「ずいぶん」かは中日が記事を載せたあとでまた書かせてもらう。中日だから当然東京新聞にも載るだろう。
 問題は中央防波堤灰溶融施設(400t)をはじめ、金食い虫施設を7つも抱える東京都23区だ。

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