平成18年3月20日(月)
2月に敗退した奥秩父の朝日岳だったが、今回スノーシューやピッケルを新調したので、再度ここに向かうことにした。
ところが、峰の越林道のゲートが開いて雪もなかったので、アプローチを短縮できると上ったところ、急に増えた積雪の吹きだまりに車がスタックしてアウト。ここを脱出できたら既に10時を回り、あえなく再度敗退となってしまった。まったく、ここは鬼門なのか?朝日岳に縁が無いのかなあ。
時刻は11時に近い。川端下の集落付近でこの時間でも登れそうなところ…と思案した。今回は、もしものために周辺の未登の山の資料を持参していた。横尾山や高登谷山なら登れそうだが、車で30分くらい移動しなくてはならない。と、そこから見上げる大原平の頭が、おいでおいでをしている。ああ、ここにしよう。大原平の頭は一応念願の山の筆頭格だし、2時間ほどで登れるらしいからここしか無い。
長峰から大原平の頭の山並みが千曲川に下りきって無くなる台地には、高原野菜の畑が広がっている。25,000図によると、その畑から川端下の谷と町田市市民休暇村のある谷の丁度真ん中辺りを、林道が大原平の頭のピークの直ぐしたまで伸びている様に記載されている。この日持っていた地図は、その拡大コピーだったから、取り付きの林道入り口の位置が良くわからなかった。
山並みが一気に千曲川に下る辺りには、顕著な岩峰があった。エアリアマップには大岩と記名されてある。この岩峰と町田市の施設がある谷の間辺りの沢を南に上る道が大原平の頭に繋がる林道ということなので、台地状の高原野菜畑に縦横に走る道をきょろきょろしながら車で進んだ。まだ畑は堀り返されたばかりで、農作業は始まっていないようだ。人の姿は無かった。
畑の奥にブーメランを立てた様な形の鋭鋒が聳えていた。そこに向かって沢が奥に向かい、道が延びていた。ここに違いない…(これが、大間違い)
畑の脇の広いスペースに車を停めて、早速支度をして出発した。持参したスノーシューやピッケルはもちろん不要。ストックだけ一本持っていくことにした。
畑の外れまで来ると、ここは北側なので沢の奥に雪の急斜面が広がり、その上に近寄りがたい雰囲気の岩峰が聳えている。シカよけのネットと電柵をくぐり、雑木が茂る山の斜面に取り付く。積雪は5㌢程度だが、雪の下は凍っているところもあるので良く滑る。一気に上り詰めて、岩峰に繋がる尾根の上に出た。そこからは、いよいよ乗しかかる程に岩峰が高かった。松の木が沢山生えているのか、尾根は一応木に覆われていたが、北面も南面も不気味なほど切り立った絶壁だった。リョウブやツツジの多い岩混じりの尾根をしばらく進むと、見晴らしの良い岩場に出た。直ぐ下に、岩山と記名されている岩峰が、もう低い。朝日岳から金峰山に繋がる奥秩父主稜線が青空の下で、黒木と雪のコントラストを見せていた。(あんな事が無かったら、今頃あそこを歩いているんだろうな…)男山・天狗山から御稜山と繋がる千曲川右岸の山並みが延々と伸びて、蟻ヶ峰に辿り着いて終わっていた。そこからは三国峠から甲武信に伸びる県境稜線がまた、延々とうねる。素晴らしい眺め。岩峰の東側(川端下側)は絶壁で、遙か下に落葉松の植林された雪の緩斜面が広がっている。
岩尾根を辿ると、次第に幅の狭い岩稜になって、直登は不可能になった。東に回り込んでルンゼを上ったが、氷の滝になって登れなかった。更に東側に回り込むと、こちら側も岩壁だったが、その基部を木に掴まりながらトラヴァースして南側の岩稜に回り込んだ。足元は木が生えてはいるが、直ぐ下はやはり絶壁だ。
ブーメランのような岩峰はもう真上にある。東側にもう一つ、それより低い岩峰があったが、この岩峰もなかなか立派な眺めだ。この時点で、どうもこの岩山は大原平の頭では無い様に思われた。大体下から近すぎる。地図で見る大原平の頭は西側に岩壁の岩記号があるが、この岩峰は四周を岩壁と岩稜で鎧っている。ちょっと取り付く島のない雰囲気。
南岩稜は比較的容易に登れた。しかし、足元はすっぱり切れて、100㍍くらいの高さの大きな崖の縁だった。松の木が疎らに生えた頂上に這い登り、そこでこの岩峰は終わった。頂上からは全く素晴らしい眺めだったが、これがもはや大原平の頭で無いことは明らかだった。南に高く、木の生えた大きな鋭峰があった。ちっとも岩山ではないが、これが大原平の頭のようだ。しかし、ここからこの山へ辿ることは不可能だった。数十㍍の高さの完全な絶壁でそこへ繋がる稜線には行けそうもない。
帰りは慎重に下ったが、あっという間に下に降りてきてしまった。途中沢に下る手前を少し進んだ所に盛り上がった岩頭があって、そこから見上げる二つの岩峰は見事だった。ちょっと西上州の雰囲気。名前が無いのは惜しい…。
結局朝日岳は敗退するし、大原平の頭も登れ無かった。厳しい無名岩峰はそれなりに楽しかったから、まあ薮岩山遊びをしたと思えばいいんだけど…。
また、いつかあらためて大原平の頭と朝日岳に登ろう。でも、大原平の頭は、見た目と違って岩場もなく、樹林の斜面を詰めれば容易に頂上に立てそうなので、少し登る意欲が後退したのだった。
帰りは定番、南相木村の滝見の湯に寄って帰路についた。
2月に敗退した奥秩父の朝日岳だったが、今回スノーシューやピッケルを新調したので、再度ここに向かうことにした。
ところが、峰の越林道のゲートが開いて雪もなかったので、アプローチを短縮できると上ったところ、急に増えた積雪の吹きだまりに車がスタックしてアウト。ここを脱出できたら既に10時を回り、あえなく再度敗退となってしまった。まったく、ここは鬼門なのか?朝日岳に縁が無いのかなあ。
時刻は11時に近い。川端下の集落付近でこの時間でも登れそうなところ…と思案した。今回は、もしものために周辺の未登の山の資料を持参していた。横尾山や高登谷山なら登れそうだが、車で30分くらい移動しなくてはならない。と、そこから見上げる大原平の頭が、おいでおいでをしている。ああ、ここにしよう。大原平の頭は一応念願の山の筆頭格だし、2時間ほどで登れるらしいからここしか無い。
長峰から大原平の頭の山並みが千曲川に下りきって無くなる台地には、高原野菜の畑が広がっている。25,000図によると、その畑から川端下の谷と町田市市民休暇村のある谷の丁度真ん中辺りを、林道が大原平の頭のピークの直ぐしたまで伸びている様に記載されている。この日持っていた地図は、その拡大コピーだったから、取り付きの林道入り口の位置が良くわからなかった。
山並みが一気に千曲川に下る辺りには、顕著な岩峰があった。エアリアマップには大岩と記名されてある。この岩峰と町田市の施設がある谷の間辺りの沢を南に上る道が大原平の頭に繋がる林道ということなので、台地状の高原野菜畑に縦横に走る道をきょろきょろしながら車で進んだ。まだ畑は堀り返されたばかりで、農作業は始まっていないようだ。人の姿は無かった。
畑の奥にブーメランを立てた様な形の鋭鋒が聳えていた。そこに向かって沢が奥に向かい、道が延びていた。ここに違いない…(これが、大間違い)
畑の脇の広いスペースに車を停めて、早速支度をして出発した。持参したスノーシューやピッケルはもちろん不要。ストックだけ一本持っていくことにした。
畑の外れまで来ると、ここは北側なので沢の奥に雪の急斜面が広がり、その上に近寄りがたい雰囲気の岩峰が聳えている。シカよけのネットと電柵をくぐり、雑木が茂る山の斜面に取り付く。積雪は5㌢程度だが、雪の下は凍っているところもあるので良く滑る。一気に上り詰めて、岩峰に繋がる尾根の上に出た。そこからは、いよいよ乗しかかる程に岩峰が高かった。松の木が沢山生えているのか、尾根は一応木に覆われていたが、北面も南面も不気味なほど切り立った絶壁だった。リョウブやツツジの多い岩混じりの尾根をしばらく進むと、見晴らしの良い岩場に出た。直ぐ下に、岩山と記名されている岩峰が、もう低い。朝日岳から金峰山に繋がる奥秩父主稜線が青空の下で、黒木と雪のコントラストを見せていた。(あんな事が無かったら、今頃あそこを歩いているんだろうな…)男山・天狗山から御稜山と繋がる千曲川右岸の山並みが延々と伸びて、蟻ヶ峰に辿り着いて終わっていた。そこからは三国峠から甲武信に伸びる県境稜線がまた、延々とうねる。素晴らしい眺め。岩峰の東側(川端下側)は絶壁で、遙か下に落葉松の植林された雪の緩斜面が広がっている。
岩尾根を辿ると、次第に幅の狭い岩稜になって、直登は不可能になった。東に回り込んでルンゼを上ったが、氷の滝になって登れなかった。更に東側に回り込むと、こちら側も岩壁だったが、その基部を木に掴まりながらトラヴァースして南側の岩稜に回り込んだ。足元は木が生えてはいるが、直ぐ下はやはり絶壁だ。
ブーメランのような岩峰はもう真上にある。東側にもう一つ、それより低い岩峰があったが、この岩峰もなかなか立派な眺めだ。この時点で、どうもこの岩山は大原平の頭では無い様に思われた。大体下から近すぎる。地図で見る大原平の頭は西側に岩壁の岩記号があるが、この岩峰は四周を岩壁と岩稜で鎧っている。ちょっと取り付く島のない雰囲気。
南岩稜は比較的容易に登れた。しかし、足元はすっぱり切れて、100㍍くらいの高さの大きな崖の縁だった。松の木が疎らに生えた頂上に這い登り、そこでこの岩峰は終わった。頂上からは全く素晴らしい眺めだったが、これがもはや大原平の頭で無いことは明らかだった。南に高く、木の生えた大きな鋭峰があった。ちっとも岩山ではないが、これが大原平の頭のようだ。しかし、ここからこの山へ辿ることは不可能だった。数十㍍の高さの完全な絶壁でそこへ繋がる稜線には行けそうもない。
帰りは慎重に下ったが、あっという間に下に降りてきてしまった。途中沢に下る手前を少し進んだ所に盛り上がった岩頭があって、そこから見上げる二つの岩峰は見事だった。ちょっと西上州の雰囲気。名前が無いのは惜しい…。
結局朝日岳は敗退するし、大原平の頭も登れ無かった。厳しい無名岩峰はそれなりに楽しかったから、まあ薮岩山遊びをしたと思えばいいんだけど…。
また、いつかあらためて大原平の頭と朝日岳に登ろう。でも、大原平の頭は、見た目と違って岩場もなく、樹林の斜面を詰めれば容易に頂上に立てそうなので、少し登る意欲が後退したのだった。
帰りは定番、南相木村の滝見の湯に寄って帰路についた。
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