Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

“今ではお目にかかれないモノ”8

2015-07-22 23:19:53 | つぶやき

“今ではお目にかかれないモノ”7より

 「信州戸隠の四季」の奥付には昭和53年8月15日と発行日が記されている。戸隠観光協会発行のもので、表紙とその裏面を除くと28ページというパンフレットである。版板は縦はB5版サイズであるが、横が長い変形版である。

 「戸隠」といえば何といっても戸隠神社といえるのだろう。それを前面に出すのは今も昔も変わらない。この時代のパンフレットの特徴は、以前にも触れたが文学の視点が強い。1ページ目の冒頭には「たけむらすみい(竹村純委)」さんの詩が掲載されている。たけむらすみいさんは1955年生まれ。このパンフレットの発行された時は23歳という若さだ。次の2ページから3ページに「神々の里戸隠」と題してカラー写真が並び、続く4ページから5ページにはガイドマップが。次の6ページには再び文学視線のページが展開される。「戸隠高原の旅」は金子万平さんの記したもの。このようにかつてのパンフレットには、執筆者を記した寄稿ものがよく登場する。「今時文字ばかりのパンフレット等ありえない」と言われるだろうが、だからこそ読み物としても十分な内容をかつてのパンフレットは有していたと言えるだろう。

 そのほか「戸隠高原自然教室」、あるいは「戸隠ひとびとのくらし」といったものも今のパンフレットではありえない内容といえる。かつてはカラー写真を多用すれば印刷費がかなり高額となったのだろう。このように文字が多ければ写真は少なくて済む。20ページには再び金子万平さんによる「戸隠神社と修験道」が掲載され、さらに22ページには「文学散歩」と題した小林英一さんの文が掲載される。

 裏表紙は折込式となっており、そこには「朝焼けの戸隠霊山」という写真が掲載され、裏側は郵便はがきとなっている。ようは切り取れば絵葉書になるというわけだ。今でも絵葉書となるパンフレットを時おり見かけることがあるが、かつてはけっこうこうしたタイプのものが多かった。この時代にはすでに絵葉書を旅先のお土産にするようなことは廃れていただろうが、そんな時代の流れが少しは残っていたかもしれない。

 


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