Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「分水工を探る」其の14

2011-01-23 23:01:43 | 分水工を探る

「分水工を探る」其の13より

 ■松島8号乙

 西天流幹線水路が岡谷市川岸の頭首工で取水して15キロを下ると松島8号乙分水工がある。深沢川を渡ってすぐ南側で、西天竜幹線水路は中央自動車道と交差する。この交差する部分は中央自動車道の建設時に、当時の日本道路公団が付け替え水路を造ったものである。昭和51年ころのことと思う。中央自動車道を走っていると、とても水路橋とは気がつかないが、ここを毎秒5トン余の水が流れている。この区間かなり勾配ないようで、流れがとても緩やかなところだ。当然のことだろう、かつては現在の水路橋を渡ったところと深沢川サイホン出口を直線で結んでいたものを迂回させたのだから。もともと勾配のない水路だからやりとりの中では直線で結んで欲しいという話もあったのではないだろうか。しかし、これを直線で結ぶと水路橋の長さは150メートを超える。現在の水路橋は斜めではあるが道路と直角でもない。駆け引きもあったことだろう。

 中央自動車道西天竜水路橋を渡ったすぐにこの分水がある。分水工そのものがフェンス内に囲まれているため、その施設だとは気がつかないかもしれないが、フェンス内に入りゲートの脇まで歩んでみると真下にこの分水が現れるのである。かんがい期に何度かのぞいたことはあったが、まさか堰窓で区切られた分水工があるとは今まで知らなかった。円筒ではないが、四角い水槽の中に部屋が区切られて機能的には同じ構造の分水工とされているのだ。水路橋と開渠との摺り付け区間にあるこの施設も、中央自動車道の建設とともに造られたものなのだろう。おそらくかつては円筒分水工だったのではないだろうか。

 この松島8号乙分水工から灌漑されるのは中部電力松島変電所の北側区域にあたり、すぐ南側にある松島9号が東側を回り込んでカバーする。したがって9ヘクタール余ほどが該当区域である。


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