Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「分水工を探る」其の18

2016-04-25 23:11:20 | 分水工を探る

「分水工を探る」其の17より

 ■木下18号支線円筒分水工

 久保田賀津男さんが『伊那谷自然友の会報』の183号(2月1日発行)と184号(4月1日発行)へ「西天竜用水と円筒分水工群」を寄稿されている。もちろん自然に関する研究団体であるから、自然に関することをおり交ぜながらの記事である。とりわけ183号では円筒分水工を中心に報告されていて、文末には久保田さんが鑑賞をするのに勧める分水工として「木下17号」と「木下18号支線」をあげられている。木下17号については「分水工を探る」其の8で紹介したもの、そして今回久しぶりに紹介する西天竜の分水工として久保田さんが勧める木下18号支線にある円筒分水工を取り上げてみた。どちらも見た目は新しく見えるわけであるが、木下17号は平成6年に補修されている。

2012年4月20日撮影

 

2015年7月14日撮影

 

2011年11月17日撮影

 

 木下18号支線にある円筒分水工は、数少ない支線水路途中にある円筒分水工であり、幹線用水路から下ること470メートルの位置にある。「木下」であるから箕輪町にあたるが、南箕輪村境に近い。幹線水路に付帯した分水工も円筒分水工で、ここで4方向に分水される。そのうちの1本が本円筒分水工に導水されるわけであるが、西天竜の特徴である東側半分を潤すために導水される専用用水路で、470メートルの間分水はひとつもない。そして本分水工で南北と傾斜方向にあたる東の3方向に分水する。幅15センチ、高さ25センチの堰は最も多い北方面に12箇所、次いで南方面に11箇所、最も少ないのは東方面の3箇所である。支線水路の途中にある円筒分水工では最も大きな分水工である。現在受け持つかんがいエリアは約18ヘクタールほど。

 見ての通り現在の分水工は真新しく、平成23年に更新されたもの。横にある水槽にプレートが埋め込まれていて、そこには「木下支線水路18号 支線2号 円筒分水 改築平成24年3月 事業主体 上伊那郡西天竜土地改良区 施工者 清野建設株式会社」とある。西天竜にある円筒分水工で、完全更新されたものはふたつだけで、そのうちのひとつである。平成23年度に更新され間もなく撮影した写真でもわかるように、分水工の周囲には真新しい土のうがいくつも置かれている。これは窓の数を調整するために置かれている。ようは12:11:3という堰の数を土のうによって調整するわけである。ちなみに3枚目の写真は更新前の円筒分水工である。

続く


コメント    この記事についてブログを書く
« 赤子石 | トップ | 一面枯れ葉の中にキランソウ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

分水工を探る」カテゴリの最新記事