Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

新野女夫岩の亡霊塔

2019-03-26 23:42:05 | つぶやき

 

 先日「高路沢の亡霊塔」について触れた。新野に高路沢と同じように背後地の沢に入ったところに、同じような空間がある。大村から巣山湖までの道は、センターラインのある比較的広い道である。大村から少し入ったその道沿いに、この空間はある。実は高路沢もそうだったが、ここも同じようにこれら石碑が向いている谷に用水路の取水口がある。どちらも取水口の近くというところに意味があるのかないのか、そのあたりははっきりしない。

 同じような空間と述べたのは、同じように主尊を馬頭観音とし、その脇に亡霊塔が立つ。この空間に祀られているのはほぼ馬頭観音。大きな「馬頭観世音」の碑が主尊であることは容易にわかる。この碑の裏側に塔婆が立っている。最も新しいものは平成30年4月のもの。高路沢のものと同じような文字が塔婆に見える。「女夫岩馬頭観世音菩薩専祈国土安穏五穀豊穣所願成就如意吉祥修」とある。国土安全や五穀豊穣を願うという多様な祈願対象は、高路沢と同じだ。

 女夫岩の亡霊塔も高路沢同様に下平武氏が『長野県民俗の会会報』41号へ「三遠南信の亡霊塔-怨霊信仰と供養の形を探る-」と題して報告しているが、いわれについては「詳細不明」とある。「昭和十三年五月」に建てられたもの。

 これら馬頭観音群はほとんど文字碑であるが、いくつか像碑がある。写真は「寛政九巳」(1797)に建てられた比較的古いものだ。ほとんどが明治以降の碑の中に、このような1800年以前のものが混じる。長い年月丁重に祀られてきた空間だとわかる。「女夫岩」とあるように少し離れた背後地に大きな岩がある。

 

 


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