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長野県民俗地図作成に向けて(河川)

2022-10-30 23:25:05 | 民俗学

長野県民俗地図作成に向けて(標高1000メートル)より

 『長野県史民俗編』の総説Ⅰにおいては、民俗地図(分布図)が多用されている。ただざっと見た感じでは行政枠の入ったものは1枚もなく、基本スタイルは長野県枠のみの白図に記号を落としたもの。標高ラインや河川が入ったものも無い。しかし、「民俗分布図」ではなく「民俗地図」を作るという意図から捉えると、そうした付属のデータが欲しいのはいうまでもなく、せっかくのデジタル処理なのだから当然そうした付属要素を用意しなければならない、というのは当初からの意見だ。

 これまで「行政枠」「標高1000メートル」について触れたが、「行政枠」は基本的に利用していないのが今までの「長野県民俗地図」である。この行政枠も、地図として仕上げていく段階での付属的要素と捉えた方が良いのだろう。

 いっぽう標高ラインについては『長野県史民俗編』の総説Ⅱにおいて採用されており、例えば「餅なし正月の伝承地」(542頁)という図には、標高800m以下」と凡例が示され、図には標高800m以下をハッチングしてある(白黒印刷を基本とすれば、色付けではなくハッチングやトーンで表現しながら図化していくことになるのだろう)。800mに設定したのは、800m以下の地域に「餅なし正月」が分布しているからである(南佐久地域には800mを越えた地点にも分布は認められる)。

 また河川を図に挿入しているのは同書の「年取り魚」(535頁)と「さけの自然分布」(536頁)の2枚である。「魚」に関する記述のため「川」が必須だったともいえるが、そもそも総説Ⅱで地図を利用しているのは、安室知氏と倉石忠彦氏、そして福澤昭司氏であって、今回民俗地図を作ろうと声を上げられた方々。とりわけ多用されている安室氏が民俗地図に積極的なこともうなずける。

 

図1

 

 さて、図1は調査地点と河川を入れたもの。この河川も国土地理院のデータを利用しているが、ダウンロードしたものは河川がもっとたくさん表示されていた。等高線同様にデータが重いため、属性テーブルで適当にまとめて削除した。したがってよく見ると川と川が繋がっていないところもあるが、小さく表示すればわからないこと。これでもまだ川が多すぎる。例えば「さけの自然分布」では千曲川、犀川、姫川、梓川、奈良井川、天竜川、木曽川が表示されているのみ。QGIS上でシェープファイルを編集できないこともないようだが、簡単ではないようだから、このあたりも課題である。

 

続・長野県民俗地図作成に向けて(行政枠・河川)

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