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続・長野県民俗地図作成に向けて(行政枠・河川)

2022-11-06 23:09:38 | 民俗学

長野県民俗地図作成に向けて(行政枠)
長野県民俗地図作成に向けて(河川)より

 

昭和55年行政区域図

 

 国土地理院のデータを利用して行政枠を作成しているが、図に示したのは令和2年と昭和55年の「行政区域」データである。図では昭和55年の枠を薄く示し、令和2年の枠を濃く示した。解像度が高くないので見づらいかもしれないが、なんとなく理解できると思う。ところがこの図を見ていると違和感のある個所がある。とりわけすぐに目につくのが松本市と塩尻市の境界域にある昭和55年行政枠の薄いラインである。実はこの部分は現在の松本市内田のエリア。松本市は昭和55年以降に市域の変更は合併以外にはないと思う。ということは、現在の松本市内田が、昭和55年行政区域では塩尻市になっているというわけで、明らかに間違いだと思う。同じような変更はないはずなのにラインが整合しない箇所が何か所か見られる。このままで良いものなのかどうか、一応公なデータとして捉えると修正を加えるのもどうかと思うが、両方表示するとこのような不整合が現れてしまう。

 実は県史では「地域名図」なるものを掲載している(『長野県史民俗編第五巻総説Ⅰ概説』「調査地の地域名と地名略称」ⅩⅤ頁、及び『長野県史民俗編第五巻総説Ⅱさまざまな暮らし』「地域名略称と地域名図」Ⅳ頁)。できればこの図を表示したいのだが、このようなものは国土地理院のデータにはない。したがって現在作成している基本データへこれを掲載しようとすれば、作図して載せるしかない。ところが前述したような不整合があると、厄介なわけである。そもそもこの図を作成するにはけっこうな手間である。QGIS上で地物を作成したり修正することもできるようだが、それに適したソフトではない。したがってキャドソフトを利用して作図し、インポートするか、あるいはポリゴン化されたものが良いとなれば、他のGISソフトで作図してインポートするか、そこまでわたしは慣れていない、というかできるかどうか調べるにも容易ではない。そもそも行政枠や地域名図が必要なのかどうなのか。とはいえ、県史ではこの地域名をもって資料編など括られている。

 加えてここに示した図であるが、行政区域名が全て表示されていない。この図の作成方法は、QGIS上でレイアウトして画像でエクスポートした。レイアウトした段階で、既に画面から消えている行政区域名は、エクスポートしても表示されない。以前にも触れたとおり、画面に表示されている大きさに順応するようで、画面が縦長でもう少し大きく表示すれば全て表示されるのかもしれないが、わたしの利用している15.6インチ画面では限界のよう。ちなみにここに示した図には、「麻績村」とか「山形村」「長門町」といったところが表示されていない。そもそもこうした図をあえて見せることもないかもしれないが、例えば調査時の市町村名をすべて表示した図を添付したいと思えば、やはり全て表示された図を作成したい。もちろんエクスポートのやり方があるのだろうが、ちょっと試作を繰り返さないと意図通りにはできそうもない。

 もうひとつ河川については、ここに示したように主要7河川に整理してみた。これは先日も触れたとおり、安室知さんが記述された『長野県史民俗編第五巻総説Ⅱさまざまな暮らし』の第四章第三節年取り魚で利用された図に表された河川である。ただし、添付図に表示されている河川はもっと多く、意図的にこれら河川以外の河川を「表紙させたい」と考えることはあるだろう。とはいえ簡単に消したり加えたりとはいかないので、民俗地図としてはこのくらいがいいところだろう。

 


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