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そもそもの問題

2005-08-25 18:46:11 | Weblog(日記や雑記)
 最近はどのブログを回っても、口を開けば解散総選挙、郵政の是非(その殆どが民営化賛成のようですが)という、矮小な論議に終始する政治談義が多くなっています。
 実際これだけで政治を語るというのは、正直僕は馬鹿らしいと思っています。郵政民営化の賛成、反対とか、構造改革の賛成、反対とか、人権擁護法案の賛成、反対とか――こんなことで政治を語るのは、正直僕は、全くの無意味だとすら感じます。

 その理由はただ一つ、どの政党もどの政治家も「日本の未来像」を、何一つとして示していないからです。

 小泉内閣推し進める構造改革が、破綻寸前の国家財政を立て直そうというのならば、話はまあわかります。しかし、その後にあるビジョンが全く見えてこないのは、これは大問題です。正直、郵政などというものは、「日本の未来像を描く」事に比べれば、ゴミほどの矮小な論旨に過ぎません。
 いろいろな数値を見せられて「これは大問題だー!」「破綻寸前だー!」「利権の温床だー!」などと言われても、正直僕にはピンときません。「問題であることは解った。でも、それを解決した後の事は?」といわれると、誰もが口をつぐむか、或いは「問題を摩り替えるな!」などと非難するでしょう。
 しかし、僕からすれば、当初から一番の大前提にあるはずの事を無視しつづけた今の政治や政治家、そしてその論議をする人のほうが、「初っ端から本質が見えていない」とすら感じます。この点については、マスコミもインターネットもたいした違いはありません。

 小泉政権が改革を推し進めるのが例えば「日本を超先進科学立国にする! 今回の改革は、その為のワンステップだ!」とか言うならまだ話はわかります。明確な目標があり、そのためにまず、地均しをしようとしているのですからね。
 しかしそもそもの問題としてそのビジョンが存在しないのだから、郵政の民営化にしろ、道路公団の民営化にしろ、どうしても一般の国民は二の足を踏むことになります。「郵政を民営化して、今の郵政の便利さがなくなりはしないか? 口じゃあ『なくならない』とか言ってるけど……」とか「道路公団を民営化して、不採算の高速道路は減るかも知れないけど、未整備の国道はガンガン増えるんじゃないか。今でも例えば、地方と都心じゃ雑誌の発売日に思いっきり開きがあるし……」と言う風になるのは、至極当然だと思います。
 そもそも政府が「借金減らすためには民営化しかない!」としか言っていない状況では、あらゆる改革は、改革になりませんし、国の借金はガンガン増加していきます。これまでにもいくつかの国営事業を民営化したにも関わらず(NTT、JA、JR、JTなど)、借金が増えつづけているのがその証左です。

 この状況で民営化などしても、実際には「便利になった」或いは「不便になった」だけで、他は何も変わらないという事になるでしょう。国家経営の健全化などと言っても、それすら果たせずに終わることは、目に見えています。

 僕は今の日本を変えるには、まず政府が「次世代の日本」の具体的なビジョンを出すしか無いと思っています。そのために大きな政府を作るのもいいですし、小さな政府を目指すのもいいでしょう。しかし、それすら語られていない今の政策論は、正直おなかいっぱい、もう聞き飽きた――というのが、僕の印象です。

 ―GET WILD / ALEPHを聴きながら―