PowerGun ブログ別館

日記、小説と書評、音楽、その他管理人の趣味によって成り立つブログ。

創作総合サイトに参加する時の注意点(2) 創作における冒涜行為(下)

2005-10-30 20:45:44 | ブログ連載コラム
 昨日は予告なしに休んでしまって申し訳ありません。昨日は何故か、少し具合が悪かったもので……。
 最近の寒暖の激しさが、ちょっと胃に来ているみたいです。

 さて、一昨日、一昨昨日と『創作における冒涜行為』と題したコラムを続けていましたが、ここで改めて、『創作総合サイト』を閲覧する意味というのを、考えてみたいと思います。

 基本的に創作総合サイトの目的は、『閲覧者さん達のレベルの底上げ』にあります。
『プロを輩出するためのサイト』とか『小説が上手くなりたいと思う人が集うサイト』という風に、文言は様々なのですが、言い方を悪くするならば『創作総合サイト=低レベルな作品が世に出ないようにするためのサイト』と言い換えてもよいと思います。
 低レベルな作品が世に出ないようにする――その方法論の一つとしてあるのが『創作総合サイト』というものなのだと考えてください。レベルアップを促進する事で、結果的に低レベルな(自己満足に留まっている)駄文が現れないようにする、と言う事なのです。

 ところが時間がたつにつれて、それすら――つまり、創作総合サイトの意味すら忘れてしまう方が、増えていく傾向にあります。つまり『人を傷つけてはいけない』とか『この雰囲気を大事にしよう』などと考えて、結局当初の理念が無くなり(自分では忘れていないつもりなのかもしれないけれど)、馴れ合いのような形になり、そのままになってしまう事があるのです。
 これでは最低レベルの作品を駆逐する事は可能でも、上のレベルに到達する事は到底不可能です。
 もっと上のレベルに行く、それはつまり、自分の目標をワンステップ上に見据える、という事です。しかし、馴れ合いが始まってしまうと、それは要するに「まあまあ、今のレベルでいいじゃないの」という風な考え方に侵されてしまうことになってしまいます。
 そもそも創作レベルの上昇に上限などありません。現時点では『ノーベル文学賞』というものが(一応文学界の最高賞として)存在しますが、これを受賞したからと言っても、まだまだ自分が望む限り、上のレベルというものはあるのです(まあ、ノーベル文学賞が本当に最高峰なのか、実際の話必要かどうかっていう議論もあるにはあるのですが、それはさて置きとして)。

『(果てしないから)それ(上のレベル)を見ないようにする』――それこそが、創作における冒涜行為の根源だと思います。

 余談ですが、サーキットやラリーなどを走っている人が、『本当に運転が上手く(速く)なりたいなら、チューン(改造)は自分より少しだけ上のレベルで』という事を言っていました。
 これはある意味非常に正しく、また、創作の話においても適合する話だと思います。
 自分のレベルを上に上げたいならば、自分の下を見るのではなく、自分より少し上を見ること。
 このことを忘れないようにしなければならない――そう、自分では思っています。

 ―IT ONLY TAKES A MINUTE(Scirccio Hot Mix #2) / TAVARESを聴きながら―

創作総合サイトに参加する時の注意点(2) 創作における冒涜行為(上)

2005-10-27 19:06:32 | ブログ連載コラム
 昨日の記事からの続きです。

 昨日は『創作総合サイトの定義』と『創作サイトには創作そのものを無自覚に冒涜する行為がある』という事について書きました。
 今日は、『創作サイトにおける、創作の冒涜行為』を具体的に挙げてみたいと思います。

 一番目に付く事の一つに、『殆ど間を開けずに連続で作品を投稿する』という行為が挙げられます。
 これは(解っている人なら言わずもがなですが)見直し(推敲)を完全におろそかにしているからです。
 個人的に言うと、そんな人の作品に一々批評したくないどころか、読まずに『あんたの作品は全て駄目!』という風に酷評する事すら考えてしまいます。
 前に某サイトである投稿作品について、「『会話文』と『地の文』を上手く使ったほうがいい」という事を、若干酷評気味に感想をつけました。しかしその作者氏は、それから一日程度しか間を開けず、しかも、その欠点が一切直っていないという、考えられないような事をやっていました(しかもその作者氏は、何度もそれから連投を続けました)。
 これだけでもびっくりしたのに、こう言った、見る人から見れば掟破りのようなことをした作者の作品に対して、何の疑問も持たずに感想をつけている人が居たのには、さらに呆然としました。それ以降僕は『これは駄目だな』と判断し、そのサイトの作品公開場には、足を踏み入れていません。
 また、一部のサイトには、通常の掲示板と同じように、改稿機能をつけた(作品公開目的の)掲示板があったりしますが、僕はこれにも(この昨日を使って何度も改稿する事にも)疑問を覚えます。

 本来、作品を公開するのは一発勝負です。しかし、改稿機能などが存在していては、その『一発勝負』という作品に対する(本来作者が絶対に持たなければならない)スタンスすら崩壊させているという風に考えています。

 はっきりと言えば、どんな修正であれ、一度公開した作品を改稿して再公開するなど、作者の質を悪化させるだけとしか、考えていません。
 作者の質を悪化させるようなシステムと規約――本来これは、管理者さんの手落ちです。そう言った場所でいくら書いても、結局は自分のレベルと落としてしまうだけで、結局何のためにもならない、という事です。恐らくは最後には、前にも触れた『無自覚な荒らし』に荒らされて終わりでしょう。でなければ、馴れ合いの場所となって、細々と運営するか。

 創作における冒涜は、まだまだありますが、今回はこの辺で。
 次回は『質問』のことについて考えてみたいと思います。

 ―C'MON C'MON C'MON / DEE DEEを聴きながら―

創作総合サイトに参加する時の注意点(1)

2005-10-26 20:07:21 | ブログ連載コラム
 本来この項目は、『キマイラシリーズ総まとめ』の為に興したカテゴリーなんですが、どうしても『定期的に必ず言わないといけない』という事を痛感したので、これから数回に分けて、この事を書き留めておきます。

 また、この項目は特定個人の批判ではなく、『純粋に小説の技術向上のためには?』という目的で書かれていますので、その点を誤解しないよう、お願いいたします。

 さて、この項目の本題に入る前に、この『創作総合サイト』というものの定義を、ここで話しておきたいと思います。
 僕の考える『創作総合サイト』の定義は、以下のようなものです。

 ○掲示板の一部(或いは全て)で、創作に関する技術的/心理的な相談所がある。
 ○(BBSなどのプログラムによる)創作物を展示し、批評をするコンテンツが存在する。
 ○基本的に管理者主導ではなく、参加者主導でのサイト運営が成されている。

 この三つが同時に満たされるサイトであれば、基本的には『創作総合サイト』と断言していいでしょう。
 さて、基本的にはこう言ったサイトには、明文化されている、いないに関わらず、ある程度のローカル・ルールが存在します。ルールの中身は様々ですが、しかし、その中に共通項として『創作技術の向上に役立てたい』という事が、目的として存在するのは、論を待たないところです。
 考えてみたら解りますが、例えば小説にしても漫画にしてもイラストにしても俳句にしても詩にしても、人に見られなければ技術や方法論の向上すらしないわけです。この点に置いて、不特定多数の人が見てくれる『創作総合サイト』というのは、非常に便利なものであり、また、同好の士が集まる場所でもあるので、馴れ合い拒否の辛口批評はあったにしても、心の底から『お前のようなうざい奴は来るな!』などと思われる事は稀なケース(もしくは存在しない)であると思います。

 ところが、こう言った『創作総合サイト』の問題点として、多数の人が来てくれるからこそ、そのサイトの趣旨にそぐわない、或いは創作行為そのものを冒涜する行為を、無自覚に行う人間が必ず現れます。
 自覚的に行う人間は『荒らし』として片付ければいいのですが、しかし、無自覚に行う人間こそ厄介です。彼らは無自覚に行うからこそ厄介であり、無自覚であるからこそ『自覚的に意識改革しよう』という気持ちも無いままに、そのまま進んでいってしまうのです。
 また、そう言った人間すらも暖かく迎えたりする一部の人間にも、僕は疑問を覚えます。それは言ってみれば『無自覚な荒らし』に積極的に荷担する行為でしかないわけで、逆に言うなら『コイツの質問には答えたくない!』という気持ちにさせられるのです。

 話が長くなりつつあるので次回へ。

 これから一週間くらいは、このブログはこの話題だけで行きたいと思います。

 ―Jungle Boy / ken Martinを聴きながら―

キマイラシリーズ総まとめ(3)キマイラ餓狼変

2005-07-11 20:13:43 | ブログ連載コラム
◆あらすじ
 台湾に渡った雲斎の目的は、もう一人のキマイラであり、今は捕われの身になっている巫炎に逢う事であった。弟子であり、九十九三蔵の兄である乱蔵と巫炎を捕らえた猩猩の話によれば、巫炎は台湾でいくつかの村を焼き尽くし、人を何人も食い殺してきた為、自ら猩猩の下に、捕われたと言うことであった。
 そして日本では、円空山を大鳳が訪れ、雲斎と九十九に別れを告げに来ていた。九十九は大鳳を止めることが出来ず、さらにはそこに訪れた異相の外人フリードリッヒ・ボックに敗れた事から、自暴自棄の道へと進んでいくのであった。
 そこに帰ってきた雲斎は、九十九の暴挙を止めさせるが、しかし九十九は、かつての力強さを取り戻す事が出来なかった。雲斎は九十九に更なる強さを掴ませるべく、「この石を割れ」と巨大な石を持ち出すのであった。
 そして九十九は、龍王院弘の呼びかけに応じて、新宿へと向かう事になる。龍王院弘は新宿で大鳳の姿を見たというのだ。九十九と龍王院弘は闘う事になるが、全く手も足も出ず、そこを通りかかった脇田涼子に救ってもらうのであった……。

◆新登場キャラ
 ★猩猩……台湾に住む玄道師。雲斎の友人。
 ★巫炎……キマイラを体内に有する三人目の男。大鳳と九鬼麗一の父親。
 ★斑孟……猩猩の弟子。九十九乱蔵に心酔する青年で、巫炎に両親を食い殺されている。
 ★フリードリッヒ・ボック……「ルシフェルの座」を求める謎の男。鬼剄を使う異相の外人。
 ★脇田涼子……フリーのデザイナー。後に、九十九の初体験の相手になる。

◆この巻の見所
 九十九三蔵、石フェチになる。
 前半は巫炎と会いに行った雲斎の話がメインですが、それ以降は九十九の話になってきています。かなり面白くなりそうです。
 そしてまた、キマイラを狙う第三勢力の存在が見え隠れし始めました。フリードリッヒ・ボックの登場です。これは結構重要な役割を担ってくれそうなキャラクターで、ファンは少ないようですが、かなり頑張って、今後も出演してくれています。
 主役が大鳳や九鬼ではなく、九十九ではないかと思わせるようになった原因がこの巻です。正直この後、九十九はマジで出ずっぱりになります。
 この巻ではかなり九十九がヤサグレています。ダルマのボトルを何十本もあけてしまったり、無意味な喧嘩を繰り広げたり、挙句の果てには深雪をレイプしようとするなど、不良まっしぐらなところですが、そこから立ち直るきっかけとなったのが……これは、ちょっとネタバレですね。いや、もうネタバレは十分にしているのですが。
 このあたりから、物語の核心に向かって、どんどん面白くなっていきます。アクションシーンもこれ以降の作品に通じるものになったり、今まで硬くなりすぎていたものがようやく取れてきたりと、十分読み応えのある内容です。

 ―WITH MY OWN EYES(TANDU & McLOUD REMIX) / SASH!を聴きながら―

キマイラシリーズ総まとめ(2)キマイラ朧変

2005-07-10 20:06:00 | ブログ連載コラム
◆あらすじ

 大鳳は己の中にあるキマイラの目覚めに対抗するため、夏休みの期間を使って、山ごもりによる精神修行を行う事とした。精神力でキマイラを抑えれば、日常的な生活が送れるものだと思っていたのである。
 ところがその頃、九十九の耳に、ただならぬ情報が入ってきた。小田原の暴力団菊水組が、大鳳の事を狙っているというのだ。やがて大鳳の行方を追って、円空山に訪れたのは、昇龍の技を持つ年齢不詳の武術家、龍王院弘であった。龍王院弘はその後、深雪を拉致し、大鳳を追う為に丹沢山中にまで出向くことになる。
 そして九十九は、深雪の行方を探るために、箱根にある九鬼玄蔵の別荘に、亜室由魅と共に忍び込む。そこにいたのは、見るも無残に痩せ細り、動く事すら出来ない九鬼麗一であった。深雪はそこに居らず、九十九は大鳳に、深雪が攫われた事を伝えるために、龍王院弘を追って、丹沢山中に向かう事になるが……。

◆新登場キャラ
 ★亜室健之……亜室由魅の父親。華僑とのつながりが深いらしい。キマイラに何か関係がある?
 ★龍王院弘……足技に長けた武術の使い手。極めて美麗な青年。伯爵病に罹っている。
 ★九鬼玄造……九鬼麗一の父親?(後に、九鬼麗一とは親子関係ではなく、おじと甥の関係にあることが判明)

◆ この巻の見所
 かなり鬼気迫るアクションシーンと、最後のほうで出てくる大鳳のキマイラ化シーンが最高です。そのときに深雪が九十九をかばって出た言葉は、キマイラ名台詞を集めても、屈指のものになるでしょう。
 それから忘れてはならないのが、夢枕小説の中で一番優遇されている美形キャラ(笑)、龍王院弘の登場。なんだかんだ言っても、西域編を除く殆どの巻で出演しているキャラとあって、登場シーンも他のキャラに比べて優遇されています。
 個人的には将来的に、円空山サイドとの共闘を望むのですが……。

キマイラシリーズ総まとめ(1)幻獣少年キマイラ

2005-07-05 19:04:37 | ブログ連載コラム
 今日のブログから16回に分けて、僕が小説好きとなった原点とも言うべき小説『キマイラ』シリーズのことについて、あらすじや登場人物、見所などを語っていきたいと思います。
 個人的には本当に、キマイラ大好きなんですよ。もう、あの小説に出会ってから十年以上が経過するんですが、唯一不満を述べるとするなら、新刊を出す速度が異様に遅いと言う事くらいですかね……。それほど好きなわけです。
 大鳳や九十九三蔵、真壁雲斎、九鬼麗一、亜室由魅、龍王院弘……マジでキャラの名前を書いていくだけで高揚してしまう小説というのも、マジで珍しいものです。
 因みに、朝日ソノラマの隔月漫画雑誌「ネムキ」にて現在「キマイラ青龍変」が連載中です。

 前置きはさておき、早速行きましょう。キマイラシリーズ総まとめ(1)「幻獣少年キマイラ」編、スタートです。

◆登場キャラクター
 ★大鳳吼……西城学園に入学したばかりの一年生。龍眼を持ち、体内にキマイラを飼う。
 ★九鬼麗一……西城学園を裏で仕切っている男。実は華道部の部長。龍眼を持ち、体内にキマイラを飼う。
 ★真壁雲斎……九十九と九鬼の師匠。自らの興した体術流派「円空拳」の使い手。実はPCの達人。
 ★九十九三蔵……身長195センチ、体重130キロの巨漢。兄は『祟られ屋』九十九乱蔵。
 ★織部深雪……大鳳のクラスメイト。
 阿久津……西城学園の空手部主将
 西島……西城学園の剣道部主将。
 灰島……空手部に籍を置く不良
 ★菊地良二……空手部に籍を置く不良。「恐怖の不気味人間」
 坂口……西城学園一年生。西城学園の番長になろうとたくらんでいる。トンファーの使い手。
 ★亜室由魅……九鬼麗一の恋人? キマイラを呼び起こすために、九鬼や大鳳に近づく。

 ※ ★マークは、今後もストーリーに深く関わってくるキャラクター。
 キャラクター紹介には、後に明かされる事も幾つか含んでいます。

◆あらすじ
 西城学園に入学した少年、大鳳吼は、空手部の不良である坂口と菊地に因縁をつけられた事から、九十九三蔵や九鬼麗一と出会う。大鳳は九鬼に近しいものを感じながら、しかしその個性に反感を覚えた事から、九十九に「武術を教えて欲しい」と教えを請う事になる。その事から、九十九は大鳳を、自身の師匠である真壁雲斎と引き合わせる事にしたが、雲斎は大鳳の瞳に「龍眼」を持つ事を認め、自分の弟子として鍛える事となった。
 そしてその頃から、九鬼と大鳳の身体に、次第にその兆候が現れるようになった。大鳳は自分の中にある暴力性を抑えられないようになっており、九鬼は自分の右腕に牛肉を食わせる現場を、西島に目撃されてしまう。そして大鳳は、自身の暴力性に次第に恐怖を抱くようになり、自分に対して好意を持つ少女、織部深雪に対して、冷たく接するようになる……。

◆この巻の見所
 何と言ってもまず、今となっては忘れられているかも知れない設定の一つである、真壁雲斎の生計を立てる術が、実はエロゲー作りだったと言う事でしょう(笑)。まあ、「レイプごっこ」なんていうタイトルはちょっとアレなんですが……。
 いや、そんなことはさておき、極めて壮大な物語の始まりです。
 この話の見所は、大鳳と九鬼という、キマイラを体内に有する二人の出会いから始まります。互いにその個性に惹かれながらも反発する二人。その二人を取り巻く友情と恋愛と人間模様。しかしその一方で、大鳳のキマイラを目覚めさせようと暗躍する亜室由魅……。
 めちゃめちゃ面白くなりそうな予感ビンビンな、壮大な序章。はっきり言って、今のライトノベルでこれをやらせてくれ、と言っても、まず無理だと思います。
「この物語は、絶対に面白い」
 こう言った作者の言葉は、嘘ではないと言う事が実感できる一冊です。


 では次回はまた、ブログのネタが無いときにでも(^^;

 ―HEVEN / DJ SAMMY & YANOU feat. DO を聴きながら―――