PowerGun ブログ別館

日記、小説と書評、音楽、その他管理人の趣味によって成り立つブログ。

ユーロビート再考 ~真の「ユーロビートブーム」の為には~

2005-08-17 22:24:31 | 音楽ネタ(Eurobeat主体)
 Disco赤シャツというブログがあります。
 このブログのタイトルだけで「ああ、あの人のブログだ」と理解できた人は、ある程度のディスコ/クラブマニアだと言えると思いますが……知らない人の為にちょっとだけ解説しておきますと、このブログのWebmasterはあの「松本みつぐ」氏です。
 彼はディスコ/クラブDJとして30年という、極めて長いキャリアを有する人です。葬式以外では常に赤いシャツを着ている事から「赤シャツDJ」という異名を持っています。リミックス・チームMSTの代表であり、近年では専門学校で音楽批評の講師もしているそうです。

 まあ、それはさておき。
 このブログの7月15日、8月4日付けの記事で、SEB160の発売に際した内容が取り上げられているのですが……う~ん。
 正直、ユーロビートのCDが売れていない事を知ってはいましたが、ここまでとはちょっと知りませんでしたね。最近またパラパラブームが再燃しているので、それなりに売上は安定しているのかな? という風に感じていたのですが……。

 個人的な印象ですが、今のユーロビートのCDが売れないというのは、小さな複合的要因が集まっていて、一概に「これが原因だ!」と断言できないところがあります。
 まあ、ざっと挙げてみると、
(1)長く続きすぎたSEBシリーズ
(2)パラパラブームの弊害
(3)CDのセールス戦略の問題
 他にもいくつかありますが、解決策を見つけられるところと言えばまあ、こんなところでしょうかね。

 まず(1)についてですが、SEBは世界にも類を見ないシリーズの長さと、月に一度という驚異的なペースでの出版を続けています。ところがこれが問題で、気まぐれにSEBを手にとった人が「お、これいいじゃん」と思っても、シリーズ・コンプリートをしようと思わないようになっているのです。
 実際今から「『グイン・サーガ』シリーズを集めよう」とか「『ローダン』シリーズを通読しよう」とか思っても、気が滅入るのと同じです。さらに言うならCDは本と比べて単価が高いので、その傾向はさらに高まります。
 実際の話、SEBとその周囲にあるシリーズをコンプリートしようと思ったら、おそらく60万円ではきかないと思います。単純な計算(CD一枚3000円とした計算)でもSEB単体だけで48万円用意しなければなりません。これだけで中古車の本体価格に届きます。
 さらに言うなら、あまりにペースの早いシリーズ路線が、レーベル側を圧迫しているということも挙げられます。つまり、どのレーベルも薄利多売の路線を取らざるを得なくなっていると言うことです。
 どんな小説家でも一月に千枚のペースで書いたら、その小説の質が落ちるのと同じです。一月に三曲(あるいはそれ以上)も作るとなると、質が落ちてしまうのは当然であり、じっくりと腰を据えた音楽作りが出来なくなっているということもあります。
(2)については、「ユーロビート=パラパラを踊る音楽」という認識が既に、日本人に周知されてしまったというところがあります。このため、純粋に音楽としてユーロビートをききたい、という人が現れなくなってきているのです。
「パラパラが好きな人ばかりが聞く音楽=初心者お断り!」という風な状況が完全に出来上がっており、これがクラブ/ディスコでの普及に、歯止めをかける原因であると思います。これは、あまりよくないですね。
(3)が一番問題で且つ、一番解決しやすい問題だと思います。一例をあげるとするなら、今のSEBシリーズはエクステンデット派とノンストップ派のどちらも斬って棄てるような状況です。エディット収録で18曲というのは、少々リスナーを馬鹿にしていないですか? という印象ですね。

 こう言った私的に思う問題点から解決策を打ち出すとするなら、
(1)と(3)について…SEBは170あたりでもう終了(キリのよさから言えば200がベストかも)にして、新しいユーロビートシリーズを立ち上げる。その前にこれまでのベスト楽曲集とか、そう言ったものをリリースする事で、歴史を途切れさせる事の無いシリーズという事を印象付ける(2~3ヶ月に一度とかのリリースにするのがベスト)。その際には、ノンストップとエクステンデットで完全な住み分けできるものを。
(2)…敢えてクラブやディスコでの「パラパラ講習会」を止める。タイアップについては今より少し拡大するくらいの気持ちで。一般リスナーを取り込むような戦略を。なお、この際に下手な歌手によるカヴァーソングなどは止める。

 こんなところでしょうかね。
 個人的にはこれを実行するだけで、十分にユーロビート人気の復活に役立つと思いますが……どうでしょうか?

 ―Masterbation / Skazi を聴きながら―