この映画は1940年代から国共内戦を経て、文化大革命後までのある夫婦の物語といった趣きの作品です。歴史を庶民の視点から描くものも、ホームドラマの背景に歴史を絡めるものも両方ありますが、これは一応前者に属するものと言っていいでしょう。かつて日本でもおびただしい数のそうした歴史ドラマが作られました。かつてのNHKの朝の連続ドラマは空襲などの戦時下の生活と戦後の復興を軸にストーリーができていたような気がしますが、最近では太平洋戦争自体が遠い昔になりすぎたのか少なくなりました。
中国人のチャン・イーモウ監督が94年にこの映画を撮ったのも、中国が「自らの過去を振り返る」歴史段階に来たということなのかもしれません。特に文化大革命の自己批判や紅衛兵運動の怖さや花束の代わりのように毛沢東語録が何十冊と送られる愚劣さを簡潔に表現する技術はなかなかのものです。ただ日中戦争についてはなぜか描かれていません。
3時間にわたる特別版ですが、影絵人形芝居の道具をうまく使って家族の変化を表わしています。麺や餃子やマントウといった料理がやたら出て来るんですが、そこもホームドラマの味わいを深めています。ただ家の跡継ぎ(そうしたものは社会的には否定されているはずですが)はいるものの主人公の子どもが2人とも死んでしまってもハッピーエンドっぽいのは我々の感覚と違っているような気がしました。
あるいは我々とよく似た顔つきなのにこの作品の登場人物が日本のドラマのようにはホンネを洗いざらい語ったりしないのに戸惑っているのかもしれません。常に党や革命を賛美する演説をぶつ町長を私は体制迎合派だなと軽侮してたんですが、最後に淡々と「自己批判」に向かう姿に深い内面を感じました。
中国人のチャン・イーモウ監督が94年にこの映画を撮ったのも、中国が「自らの過去を振り返る」歴史段階に来たということなのかもしれません。特に文化大革命の自己批判や紅衛兵運動の怖さや花束の代わりのように毛沢東語録が何十冊と送られる愚劣さを簡潔に表現する技術はなかなかのものです。ただ日中戦争についてはなぜか描かれていません。
3時間にわたる特別版ですが、影絵人形芝居の道具をうまく使って家族の変化を表わしています。麺や餃子やマントウといった料理がやたら出て来るんですが、そこもホームドラマの味わいを深めています。ただ家の跡継ぎ(そうしたものは社会的には否定されているはずですが)はいるものの主人公の子どもが2人とも死んでしまってもハッピーエンドっぽいのは我々の感覚と違っているような気がしました。
あるいは我々とよく似た顔つきなのにこの作品の登場人物が日本のドラマのようにはホンネを洗いざらい語ったりしないのに戸惑っているのかもしれません。常に党や革命を賛美する演説をぶつ町長を私は体制迎合派だなと軽侮してたんですが、最後に淡々と「自己批判」に向かう姿に深い内面を感じました。
その映画がそういう作り方なのか、それとも熱く見える部分が私たちとは実は別のところにあるのでしょうか。
政治体制を別にすれば同じ人間だからなんでもわかりあえると安易に思わない方がいいのかなって思います。。