KOfyの「倍行く」人生

バイクで人生を“2倍”楽しみたい。勝手気ままな日記代わりの備忘録。

誠実な経営(Integrity Management)

2013年12月12日 | お仕事あれこれ
健康社会学者の河合薫さんが、日経ビジネスオンラインに素晴らしい文章を書かれている。
東日本大震災の津波で大打撃を受けた宮城県女川のかまぼこメーカー「蒲鉾本舗高政」さんの事例など、
読んでいて、目頭が熱くなりました。


私が入社した時の社長が、入社式でこのようなことを仰ったのが記憶に残っています。
「私は、人さまから我が社の社員がどんくさい、のろまやと言われても気にならない。
  それよりも、お宅の社員はずるい、だまされたと万が一でも言われたら腹が立つ。
  君ら新入社員は、このことをしっかりと心にとめておいて、仕事をしてもらいたい。」

それが誠実さの一つと思っていましたが、河合薫さんの文章はもっと奥深いものだと教えてくれました。
勝手に要約して、記録としてブログに残します。


**************************************

企業の不祥事が問題になる度に、スポットを浴びるのが、「誠実な経営(Integrity Management)」である。
1990年代に入ってから、雪印の食中毒事件、三菱自動車のリコール隠ぺい事件、耐震偽装疑惑の姉歯事件などの
不祥事をきっかけに、CSR(企業の社会的責任)が問われ始め、コンプライアンス遵守が
企業の生命線とばかりに注目されるようになった。そのCSRの中核に存在するのが、「誠実な経営」である。
法令や各種規則などのルール、さらに社会的規範などを守る「コンプライアンス(法令遵守)」をした上で、
自社の理念・価値観によって、より高い次元での経営をし、そして、物事を判断し行動する価値観を
社員と共有できたときに、「誠実な企業」となることができる。


組織コンサルタントとしても活躍するリチャード・ベックハードは、以下のように整理している。
誠実な経営を行う組織では、組織の利害関係者であるオーナーと従業員、供給業者、中間取引先、
製品やサービスの最終顧客、メディアなど、組織が活動するすべてを1つの共同体(コミュニティー)と考えている。
誠実な経営には、「共同体=コミュニティーの意識」が必要不可欠なのだ。


経営陣が現場の従業員と一体化できたなら、そして、社員が会社を我がことと思える会社なら
お客さま目線でなく、お客さまと一体化した気持ちに立つことができる。
そして、社会全体を我がこととして、社会の利益になるように思える、社会とも一体化できる会社、
これらがすべて“当たり前”のこととして振る舞える、空気のようなものが誠実な会社には存在する。
そして、その温かい空気の産物が、商品だったり、サービスだったりするのではないだろうか。

大切なものは目に見えない。空気、希望、愛……、すべて目で確かめることができないものばかりだ。
だが、その目に見えないものを、企業が大切にしない限り、誠実にはなりえない。
一体化できる空気。それは会社と社員、社員同士、会社と社会、それぞれを“つなげる”空気でもある。

日本における誠実な経営の原点は、江戸時代の近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の
「三方よし」の理念に通じている。
他国へ行商する近江商人にとっては、行商の人々との間に信用関係を築くことが重要だった。
商品を売るのに精を出すだけでなく、絶えず社会の人たちと心の距離感を縮めることにも精を出す。
自分の利益だけを考えず、絶えず世の中全体を意識して行動する。それが商売であり、
社会から受け入れられる商人に求められるとしている。


マニュアルにないことでも、お客さまの状況を理解し、思いやりの心で、
さりげない、温かい言葉がでる社員がいる会社こそ、「誠実の経営」をしている会社。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする