on-ice off-ice

氷上のスポーツ、カーリングをやっています!カーリング以外のことも書くのでon-ice off-iceです!

田河水泡・のらくろ館

2020-03-07 08:30:00 | 日記
 フロアーカーリングの体験に行ったとき、会場に置いてあった「田河水泡・のらくろ館」のパンフ。



 すぐ近くだったので行ってみました。場所は江東区森下文化センターで、その名も「のらくろード」と名付けられた商店街の先にありました。商店街は、のらくろ一色!



 のらくろは子どもの頃に復刻版と文庫本で読んだことがあり、復刻版の方は重厚な布の表紙でオールカラー、「たいやき」は「たひやき」、「ようがし(洋菓子)」は「やうぐわし」といった文語体で描かれていて読み始めは難儀したものの、お陰で理系なのに古文は得意科目でした。

 田河水泡の名は本名の高見澤をもじったのですが、“たかみざわ”とは読んでもらえず“たがわすいほう”といわれて、そのままペンネームにしたのだそうです。今のアーチストさんが付けそうなネーミングですが、氏が生まれたのは1899年、何と19世紀です。

のらくろは、野良犬だったのらくろが食べるものに困らないようにと軍隊に入隊し、戦いの度に手柄を挙げていくストーリーで、1931年(昭和6年)に連載を始めて、中断と再開を繰り返しながら完結したのが1980年(昭和55年)だから、実に50年越しで描き上げた超長編作品なのです!

氏の奥様のお兄様は作家の小林秀雄氏で、「漫画(画の字は書の下に一)」という作品にのらくろのことが書かれており、その中に田川水泡氏が「のらくろは自分自身のことを描いたもの」と語っていたという記述があるように、1歳で母を亡くし2歳で父が再婚して祖父母宅に預けられて育ったという氏の自伝的な作品だったようです。太平洋戦争の勃発、敗戦、軍国主義からの転換、戦後復興、高度経済成長期・・・激しく揺れ動いた時代の中で物語の中ののらくろも軍人(犬?)から大陸に渡って資源開拓、喫茶店のマスターと変化し、文語体だった文章も口語体に変わっています。おそらく作者さえ予想もしていない展開だったのでしょう。

展示されていた最終回の最終コマは「ものには始まりがあれば終わりがあるものです」と書かれていて、記念写真を撮ろうとしているシーンでした。中断をはさんで50年越しのゴールがホントに充実感に溢れていたことを窺わせていました。

再現された書斎の椅子に敷かれた座布団には「吾唯知足」の文字、ホントに充実した漫画家生活を送った氏にピッタリの言葉でした。

 館内に併設された「のらくろ広場」、田河氏にゆかりの漫画の本が置かれているとのことですが、その数にびっくり!!小さな図書館並みの蔵書でした。漫画好きの方にはお勧めです!
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