文芸評論家・山崎行太郎さんのブログに「何故、本名「木嶋佳苗」と書かないのか?」と題して、次のように書かれていた。
(ブログ「かなえキッチン」の写真)
「女性による前代未聞の大量連続殺人事件・・・。インターネットの「出会い系サイト」を悪用したらしい結婚詐欺殺人事件の「犯人(女)」について、テレビや新聞が、犯人の本名や写真の公開を渋っているようだが、これだけの大事件にもかかわらず、何故、マスコミは本名や写真の公開をためらっているのだろうか。状況証拠だけで物的証拠が見つからないからなのか。しかし、それなら、これまでに逮捕されただけで本名や写真を公開され、激しいバッシングを受け、結果的には裁判で無罪、あるいは冤罪が確定したというような例は数え切れないほどあるはずだが、裁判制度の変更で、何かが変わったというのだろうか。人権尊重? 推定無罪の原則? それにしても不可解である。ところで、現在、逮捕されている犯人・容疑者の名前は「木嶋佳苗」、出身地は北海道の東部、別海町。別海高校から東洋大学へ・・・。祖父は地方議員で、故中川昭一議員の別海地区後援会会長を務めていたこともあるらしい。」
TVのワイドショー番組では、この話題で持ちきり。先日まで酒井法子ネタだったのが、またまたおいしい新ネタが出来たと、内心大喜びなのだろう。表面上、深刻ぶった顔をしている司会者が赤い舌を出しているのが見えるようだ。
それにしても、山崎氏が指摘するように、何故、本人の名前を公表しないのだろう。前科のある女性が犯した凶悪犯罪なのだろうから、氏名公表は人権侵害などには当たらないだろう。
そもそも、睡眠薬と練炭で殺されたという男達の写真、経歴は、堂々と公開されているではないか。被害者の親族には、不名誉で不本意なその死に方を微細に公表などしてほしくない人も多いはずだ。「…これから婚前旅行に行きます」とブログに書いた男性は、よもや実名が公になることなど考えても見なかったはずだ。ブログの匿名性を信じて書き込んだ記事が、面白おかしく公表されるのでは、これは死に損、死者に鞭打つことにならないか?
視聴率のために刺激的な話題を求めて大騒ぎをするものの、何も残らないマスコミの取材。どうせ視聴者はこんなものとソロバンをはじく連中の顔が見えるようだ。