澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

十亀有子デビュー40周年記念コンサート 「笛吹きYUKO & 木管6重奏」 

2017年07月16日 09時23分55秒 | 音楽・映画

 東京フィルハーモニー交響楽団フルート奏者・十亀有子さんのデビュー40周年記念コンサート「笛吹きYUKO & 木管6重奏」が今週末(7月22日)東京・新宿で開かれる。

 概要は次のとおり。円熟したフルートの調べを、ぜひ、どうぞ。









アルフレッド・ハウゼ楽団コンサート 2017 

2017年07月15日 19時24分35秒 | 音楽・映画

 「アルフレッド・ハウゼ楽団コンサート」に行く。
 首都圏でのコンサートはほぼ終了し、来週(7.17~)からは名古屋、関西方面でコンサートが開かれる予定のようだ。
 
 「ムード音楽」「イージーリスニング」と呼ばれるジャンルに属するこの楽団は、他の同種の楽団と同様に、マエストロはすでに他界していて、その名前を引き継いだ権利者がミュージシャンを集め、演奏ツアーを催行する。言わば、ネーミングライツと楽団のスコア(楽譜)だけで「商売」が成り立っている。同じ名前の楽団であっても、実際に聴いてみなければ、どんな演奏をするかもわからない。これまでに、マランド、マントヴァーニ、パーシー・フェイス、レイモン・ルフェーブル等々、この種の楽団を聴いてきたが、正直、玉石混交という感じだった。

 だが、いまツアー中の「アルフレッド・ハウゼ楽団」は、ジャック・パウエルという指揮者がまず素晴らしい。この人の経歴は不明だが、ストリングス(弦楽器)の歌わせ方が上手。ドラムとエレキ・ベースの音(つまりリズムの音量)を程よく抑えて、ストリングスと木管楽器のハーモニーを際立たせる。指揮者としての動きも軽やかで、アルフレッド・ハウゼ本人よりも見栄えがする。

 楽団は、29名編成。バイオリン13、ビオラ2、チェロ2、ベース(電気)1、オーボエ2、フルート2、バンドネオン3、ピアノ、ギター、ドラム、パーカッション。次のような配置だった。これは、オリジナル編成よりも、6人ほど少なく、特に木管楽器にクラリネット、ファゴットがないのが、音色の多彩さという点では少々物足りない。


   「アルフレッド・ハウゼ楽団」の楽器編成(2017年ツアー)
  
           〇(電気Bass) 〇ギター 〇パーカッション
〇 〇(ビオラ2) 〇〇(チェロ2)
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(バイオリン13
                   〇ドラムス        〇ピアノ  〇 〇(オーボエ2)                                                           〇 〇(フルート2) 
                〇〇〇(バンドネオン3)                ◎指揮者(ジャック・パウエル)計30名(指揮者含む)


 

  楽団メンバーはかなり若く、タンゴに馴染んだ世代とは思えない。ネット上の情報では、「アルフレッド・ハウゼ楽団」の興行権はポーランド人に買われたと書かれていたので、「安かろう(人件費が)悪かろう(演奏が)」になってしまうのかと心配していたが、それは全く杞憂だった。指揮者・ジャック・パウエルは、弦のアンサンブルをきちんとまとめ上げ、他のセクションとのハーモニーを重視、エンディングの最弱音になるまで、一音もおろそかにしない。その音楽は、アルフレッド・ハウゼの忠実なコピーというよりも、彼自身のタンゴと言うべきかもしれない。

 曲目は、次のとおり。アンコールは3曲。「ミリタリー・タンゴ」(下記に映像を貼付)「ラ・クンパルシータ」「ブラームスの子守歌」だった。



 30曲近いタンゴをレコード(CD)そっくりに演奏されても、コンサートでは面白くもなんともない。タンゴのリズムが強すぎると、かえって退屈に感じてしまうものだ。 そこでこの指揮者は、比較的多くのアルゼンチンタンゴをプログラムに加えたり、コンチネンタル・タンゴの代表曲である「ジェラシー」「碧空」なども、アレンジを変えたりして、プログラムにメリハリをつけた。アルゼンチン・タンゴである「ママ、恋人が欲しいの」では、途中からタンゴのリズムを引っ込めて、ジャズ風のフォー・ビートで演奏した。

 会場の90%は60歳以上の高齢者、車椅子で聴きに来た人が何人もいて、タンゴの時代性を強く感じさせられた。つまり、タンゴはすでに過去の音楽。だが、その愛好者のために、手抜きをせず、最大限の音楽表現を努めた、この「アルフレッド・ハウゼ楽団」には大いに共感するものがあった。

 コンサートには当日券もあったので、もし、気になった方はぜひ足を運んでみたらと思う。上質な演奏会だったことは間違いないので。


会場はPA(Public Address)を使用。まあ、必要悪か…。
聴衆は、ご高齢者ばかり。







ジョージ・グリーリー ベスト・オブ・ポピュラー・ピアノ・コンチェルト

2017年07月13日 23時09分08秒 | 音楽・映画

 今年の上半期、ワーナー・ミュージック・ジャパンが、1960年代にリリースされた「ムード音楽」のアルバム(LP)を21枚、「Take it easy!」シリーズと題してCDに復刻・リリースした。主なところでは、ウェルナー・ミューラーのデッカ録音が7枚、マニュエル&ミュージック・オブ・マウンテンが4枚、ネルソン・リドルが2枚など。



 「ムード音楽」という言葉さえ知らない世代が増える中、往年のオリジナル・アルバムを完全復刻したワーナー・ミュージックに対しては、大いなる感謝を伝えたい。同時に、売れ行きはどうなのだろうかと心配でたまらない。私の友人が後続のリリース予定があるのかどうか、ワーナーにメールで問い合わせたところ、何の返事もなかったという。彼は「そのこと自体がこたえでしょう」と言っている。つまり、案の定、売れ行きは芳しくなく、後続リリースの予定はないということらしい。

 このシリーズの中で私が気に入ったのは、「ベスト・オブ・ポピュラー・ピアノ・コンチェルト」(ジョージ・グリーリーGeorge Greeleyのピアノ ワーナー・ブラザース管弦楽団 1961年録音)。クラシックのピアノ協奏曲風のアレンジで「慕情」「ローラ」などの名曲をG.グリーリーのピアノが奏でる。オーケストラはフル編成で、コンサート・ホールの響きが誇張なく収録されている。古色蒼然、いぶし銀のような音色、いまどきこんなアルバムに、そう巡り合えるものではない。



 ウェルナー・ミューラーなどよりも知名度が低いG.グリーリーのこのCDは、おそらく千枚も売れていないのではないか。興味がある方は、今のうちに入手しておくのもいいかも。再リリースは絶対にありえないので…。


ベスト・オブ・ポピュラー・ピアノ・コンチェルト」(ジョージ・グリーリー)》

発売日:2017年01月25日
価格:¥1,500(本体)+税
規格番号:WPCR-17583 

作曲家、編曲家、指揮者としてもお馴染みのジョージ・グリーリーがピアニストとしての力量を天下に示した傑作。日本初CD化!!(61年作品)
解説付・2016年デジタルリマスター

Take It Easy!

今、イージー・リスニング・ミュージックが新しい! 50年代末から始まったステレオ録音の魅力を最初に 世界に伝えたフル・オーケストラによる魅惑の大人の音楽 が半世紀の風雪に耐えここによみがえる。

  • ステレオ録音(一部除く)/オリジナル・ジャケット(一部除く)/最新デジタル・リマスタリング
  • 日本・世界初CD化作品多数
M-1Love Is A Many-Splendored Thing / 慕情    
M-2Laura / ローラ    
M-3Main Theme(On The Trail) Grand Canyon Suite / 「山道を行く(組曲「グランド・キャニオン」より)」    
M-4An Affair To Remember(Our Love Affair) / 「過ぎし日の恋(映画「めぐり逢い」より)」    
M-5Aloha Oe(Farewell To Thee) / アロハ・オエ    
M-6Three Coins In The Fountain / 愛の泉    
M-7Street Scene / ストリート・シーン    
M-8Hawaiian War Chant / ハワイの戦いの歌    
M-9Moonlight Sonata / 「月光(ベートーベン作曲ピアノソナタ「月光」より)」    
M-10Come Back To Sorrento / 帰れソレントへ    
M-11Love Music / 愛の音楽(リヒャルド・ワグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」より)



マントヴァーニの音楽を愛したH氏の思い出

2017年06月07日 02時37分17秒 | 音楽・映画

 一昨日、突然、兵庫県から電話をいただいた。相手はH氏の奥様。突然だったから、ある予感がよぎった。そして、それは的中していて、H氏の突然の訃報だった。

 H氏は長く開業医をされてきた。職業上、多忙で地元を長く離れられないこともあって、とりわけ音楽を愛されたのだろう。クラシック音楽に造詣が深かったが、その流れを汲む「ムード音楽」、中でもマントヴァーニ楽団(Mantovani and his orchestra)のカスケーディング・ストリングスを愛聴された。

 もう30年近く前になるだろうが、CDが普及し、レコード(LP)がほぼ「過去の遺物」扱いになりかけていた頃、私は、マントヴァーニのアルバム(LP)が一向にCD化されないのに業を煮やして、ポリドール社(当時)に問い合わせたことがあった。それがきっかけとなって、H氏の存在を知ることになり、H氏ご夫妻にもお会いする機会を得た。

 H氏からは、貴重なお話をうかがい、さらには重要な資料をたくさんいただいた。それは、「華麗なるマントヴァーニの世界」(2008年 ユーキャン発売、CD10枚組のマントヴァーニ集)のリリースとして結実した。このCD集は、今なお現役なのが、何よりだ。

 マントヴァーニを知らない世代が多数派になり、H氏が亡くなられた現在、諸行無常の寂寥感を感じざるをえない。けれど、カスケーディング・ストリングスに心をときめかせた共通体験は、私の心の中にはしっかりと刻まれている。心より、H氏のご冥福をお祈りしたい。


往年のマントヴァーニ・オーケストラ(右端の指揮者が、マントヴァーニ)


マエストロ・マントヴァーニ

 
H氏のご尽力でリリースされた「華麗なるマントヴァーニの世界」(ユーキャン)

往年のマントヴァーニ・ショー(BBC)の珍しい映像はこちら↓↓


ウェルナー・ミューラーの新譜CD 「センチメンタル・ジャーニー」

2017年05月18日 20時55分26秒 | 音楽・映画

 ウェルナー・ミューラー(Werner Müller 1920-98)は、ドイツのバンド・リーダー、アレンジャー(編曲者)。1950年代後半、リカルド・サントスの名義でリリースした「真珠採りのタンゴ」が大ヒット、「Holiday In Japan」など「ホリディ・イン~」シリーズのアルバム(LP)も一世を風靡した。

 「ムード音楽」「イージーリスニング音楽」が死語となり、往年の愛好者がますます高齢化する中で、この春、ワーナーミュージック・ジャパンが、このウェルナー・ミューラーのオリジナル・アルバムを最新リマスタリングでCDリリースした。

 先日、そのうちの二枚を購入、聴いてみた。既出のVocalion盤(英国)と比べると、音質が圧倒的に優れている。ワーナー・ジャパンよ、よくぞリリースしてくれた!というのが、率直な感想。

 おそらく、全国で千枚売れるかどうかのCDだろうから、今回、見逃したら、二度と入手できないのかも知れない。興味ある方は、ぜひ、チェックしていただきたい。

センチメンタル・ジャーニー Sentimental Journey」(1977年録音)

M-1I'm In The Mood For Love / 恋の気分に    
M-2I've Got My Love To Keep Me Warm / 恋に寒さを忘れ    
M-3Moonlight Serenade / ムーンライト・セレナーデ    
M-4At Last / アット・ラスト    
M-5Mood Indigo / ムード・インディゴ    
M-6Begin The Beguine / ビギン・ザ・ビギン    
M-7Marie / マリー    
M-8Song Of India / インドの唄    
M-9Satin Doll / サテン・ドール    

M-10Sentimental Journey / センチメンタル・ジャーニー

トップ・ヒッツ・イン・カラー Top Hits in color」(1960年録音)

M-1Love Letters In The Sand / 砂に書いたラヴ・レター    
M-2Venus / ヴィーナス    
M-3I Miss You So / アイ・ミス・ユー・ソー    
M-4Amor, Amor, Amor! / アモール・アモール・アモール    
M-5A Fool Such As I / ア・フール・サッチ・アズ・アイ    
M-6Tammy / タミー    
M-7It's Not For Me To Say / お目あてちがい    
M-8My Prayer / マイ・プレイヤー    
M-9Chances Are / 恋のチャンス    
M-10I Almost Lost My Mind / アイ・オールモスト・ロスト・マイ・マインド    
M-11Easy To Love / イージー・トゥ・ラヴ    
M-12The Hawaiian Wedding Song / ハワイの結婚の歌    
M-13It's All In The Game / 恋のゲーム    
M-14All The Way / オール・ザ・ウェイ

 


「ワイルド・ストリングス」~ウェルナー・ミューラーの新譜CD

2017年03月06日 23時26分25秒 | 音楽・映画

 今年になって、ワーナーミュージック・ジャパンがウェルナー・ミューラー楽団(Werner Müller & his Orchestra)のオリジナル・アルバム(LP)のCD化に乗り出した。3月末までに計7枚のCDがリリースされる。

 ウェルナー・ミューラーが活躍したのは、1950年代後半から70年代まで。高齢者の世代には、リカルド・サントスの別名の方が通りがいいかも知れない。最大のヒット曲であった「真珠採りのタンゴ」(The Pearlfisher)を知らない人はいないと言っていい。



 私は、7枚のうち、次の3枚のCDを購入して聴いてみた。



 上から「ワイルド・ストリングス」(1962年録音)「ベラ・イタリア」(1969年)「ルロイ・アンダーソン曲集」(1964年)。  

 どれもがVocalion社(英国)によってすでにCD化されているが、今回の日本盤CD(ワーナーミュージック・ジャパン)の音質は、英国盤をはるかに凌駕する。2017年に至って、こんな素晴らしい音の新譜CDを手にできるとは夢にも思わなかった。若者はウェルナー・ミューラーの名前さえ知らないだろうから、ジジババがせっせと買わなければ、続くリリースは望めないかもしれない。懐かしいなと思ったり、興味を持った方は、最後のチャンスかもしれないので、購入を考えてみてはいかが?

 「ワイルド・ストリングス」の一曲目は、次の「そよ風と私」(The Breeze and I)。アルバムタイトルどおり、緻密な弦のアンサンブルが疾走する。

 ついでに、ウェルナー・ミューラー自身が登場する珍しい映像が、こちら。

 

 


「ラ ラ ランド」を見た

2017年03月02日 02時50分53秒 | 音楽・映画

  昨日、朝一番で隣県のシネコンに行き、映画「ラ ラ ランド」(La La Land)を見てきた。週日の朝なので、観客の入りは五分の一程度、そのほとんどは中高年だったが、中には大学生風のカップルもいた。

 ほとんど映画を見ない私が、なぜ隣県まで足を伸ばして、この映画を見たのには理由がある。知り合いが松竹の株主優待カードで好きな映画を見るように勧めてくれたからだ。「海賊と呼ばれた男」はとてもいい映画だったが、この「ラ ラ ランド」は、オッサンである私に相応しいチョイスなのかどうか、自分でも疑問に思った。

 「ラ ラ ランド」(La La Land)は、文字通りLa=ロサンゼルスを指し、全米の中では特異な街・ハリウッドに集う、夢見人(Dreamers)のサクセスストーリーを描いた作品。

 その昔、「サウンド・オブ・ミュージック」などのミュージカル映画を見たときは、異国の映画とはいえ、そこに感情移入や一体化をすることができた。つまり、一瞬であっても映画の主人公になったような気分、高揚感に浸ることができた。しかし、「ラ ラ ランド」では、もはやムリ。その結果、枝葉末節な部分が気になってしまった。

 まず、ジャズの現況。主人公であるエマ(ミア・ドーラン)がジャズを「エレベーターの中で流れるBGM」だと言う場面がある。「エレベーター・ミュージック」とは、当たり障りのない、消耗品の音楽というニュアンスが強い。ジャズ・ピアニストを目指すライアン(セバスチャン・ワイルダー)が往年のジャズ巨星をリスペクトしても、LA(ロサンゼルス)にはもはやジャズの居場所はなくなっているのだ。エマとライアンが別々の道を成功裏に歩んだあと再会する場面があるが、このときライアンが弾くこの映画のモチーフとなる曲は、まさにジャズとは程遠い「ラウンジ・ピアノ」(あるいはカクテル・ピアノ)に過ぎない。

 次に、「ラ ラ ランド」の人種構成について。この映画の主要人物は、すべて白人。黒人は音楽に関連して登場するが、基本的には、往年のハリウッド映画を彷彿とさせる白人第一主義の映画だ。アジア人(東洋人)は一人として登場しない。日本をイメージさせるのは、駐車場に並んだトヨタ・プリウスだけ。中国人に関しては、白人ビジネスマンが携帯電話で「謝謝!(Xie Xie!)」と会話する場面、そして「中国がニカラグアで運河を掘ろうとしている」という会話が登場する。

 映画終了時に延々と続く字幕を眺めていたら、この映画には香港資本が関与していることが分かった。バブル期の日本を彷彿とさせる中国の勢い、対する日本は「プリウス」だけかあ、と嘆息。
 まあ、オッサンの感想はこんなものでした。 

 

 


マントヴァーニのカスケーディング・ストリングス

2017年02月09日 19時13分12秒 | 音楽・映画

 カスケーディング・ストリングス(Cascading Strings)とは、マントヴァーニ・オーケストラの代名詞。彼のオーケストラが奏でる、滝が流れ落ちるようなストリングス(弦楽器)の響きを指します。

 「魅惑の宵」(Some enchanted evening)
の冒頭部分。バイオリンが4部に分かれエコー効果が生まれる。

 

 そのカスケーディング・ストリングスの考案者は、ロナルド・ビンジ。

ロナルド・ビンジは、1910年英国のダービー生まれ。貧しかったため正規の音楽教育を受けられず、映画館(当時はサイレント映画)のオルガン奏者として働きながら、独学で作曲・編曲を学びました。
 マントヴァーニとの出会いは1935年、それから長いマントヴァーニ楽団のアレンジャー兼アコーディオン奏者として活躍。1951年には、マントヴァーニの楽団テーマとして知られる「シャルメーヌ」(Charmaine)をヒットさせ、カスケーディング・ストリングスを世界中にとどろかせました。
彼は、マントヴァーニとの関連だけでなく、作曲家としても高く評価されています。マルコ・ポーロ・レーベルからリリースされた「ビリティッシュ・ライト・ミュージック・シリーズ」の中の『ロナルド・ビンジ』(アーネスト・トムリンソン指揮スロヴァキア放送交響楽団 Marco Polo 8.223515)には彼の主要作品が収められています。
 たとえば「The dance of snowflakes」は、カスケーディング・ストリングスの手法で初めて作られた可愛らしい曲です。

彼の伝記「Sailing By」(Mike Carey著 Tranters,Derby 2000)は、マントヴァーニと共に歩んだ彼の足跡をたどるだけでなく、英国のライト・ミュージック(Light Music)の歴史を知る上でも貴重な資料です。このライト・ミュージックというジャンルは、英国では豊かな内容があり、「軽音楽」と直訳されるべきものではありません。ちなみに、「Sailing By]はビンジの代表作として知られた曲です。

ロナルド・ビンジは、「ムード音楽」系の録音も数々手がけました。最近、彼の二枚のアルバム「Summer Rain」 「If you were the only girl in the world」が2in1CDで発売されました。このライナー・ノーツは伝記の著者であるマイク・キャリー(Mike Carey)が書いています。
 

 事実、番組では東京交響楽団がマントヴァーニの「魅惑の宵」を見事に再現しました。

実は1963年マントヴァーニが来日したとき、多くのファンの関心は、レコードと同じようにカスケーディング・ストリングスが再現できるのか、という点に集まりました。
マントヴァーニは、東京文化会館や大阪フェスティバルホールなどのコンサート・ホールで、PAを使わずに見事にこのサウンドを披露しました。

 マ ントヴァーニの音楽の特徴は、「カスケーディング・ストリングス」と呼ばれる、滝が流れ落ちるような、美しい弦の響きにあります。それは、電気的に処理された音響ではなく、マントヴァーニの盟友ロナルド・ビンジ(Ronald Binge)の巧みな編曲によるものでした。 マントヴァーニ楽団は、45人のオーケストラの7割を弦楽器とし、バイオリンを4つのパートに分けました。それぞれがメロディ・ラインを少しずつずらして弾くと、あたかもエコーのような効果が生じます。彼は、この響きを楽団のトレード・マークとしました。

編曲、それともエコー装置の産物

中野雄著「丸山真男 音楽の対話」(文春新書1999)に次のような記述があります。

「マントヴァーニ・オーケストとスイス・ロマンド管弦楽団という英デッカの二大看板オーケストラのLPが、一時、両楽団の来日を境にさっぱり売れなくなってしまった。理由はレコードと実際の演奏の乖離に驚いた愛好家にソッポを向かれてしまった。英デッカの録音というのは世界最高水準で、……出来上がったレコードの音は、ある意味では現実の生演奏より美しい。」 「(両楽団の轍を踏まないように)ポール・モーリア楽団が来日したときには、マイクやスピーカーを縦横に配置して徹底的に事前試聴を行ったそうです。…エンジニアには“どの席で聴いてもレコードと同じように聞えるようにマイク・アレンジやミキシングをチェックしてほしい”と課題を与えた。」(pp.199-200)

 

 

 

 作曲家としてのマントヴァーニ

 

作曲家としてのマントヴァーニの活躍は、あまり知られていません。
実は、1950年代に英国でナンバーワン・ヒットとなった「孤独なバレリーナ」(The Lonely Ballerina)は、マントヴァーニの自作曲でした。.
ですがP.Lambrechtというペンネームが使われています。(左記の楽譜参照)
また、デビット・ホイットフィールド(David Whitfield)が、1950年代末にヒットさせ、’60年代にはジェイとアメリカンズ(Jay & Americans)がリバイバル・ヒットさせた「カラ・ミア」(Cara Mia)もマントヴァーニの自作曲です。
両曲とも作曲者がペンネームで記されているため、マントヴァーニの作品だとは、案外知られていないようです。

マリオ・デル・モナコも「カラ・ミア」を唱っていますが、そのCDのライナーノーツには「作曲者(の経歴)は不明」と記されています。

「マントヴァーニ生誕100年」の年である2005年、Vocalion社(英国)からは"Mantovani by Mantovani+All time romantic hits"がCDでリリースされました。
"Mantovani by Mantovani"は、タイトルどおり彼の自作曲10曲を収録しています。(LPとしては1974年にリリースされた。)

 

 
 
 
 
 
 

    

 
 
 
 


マントヴァーニの音楽人生 Musical Life of Mantovani

2017年02月09日 14時45分14秒 | 音楽・映画

 アヌンツィオ・パオロ・マントヴァーニは、1905年11月15日イタリア・ベネツィアに生まれ、1980年3月20日英国ウエールズのタンブリッジで死去した。
バイオリン、ピアノを演奏し、音楽監督、指揮者、作曲者、編曲者として活躍。楽団リーダーとしては最高の成功者であり、ポピュラー音楽の歴史上、最もレコード・セールスを記録した人でもある。

彼の父親はミラノ・スカラ座の首席バイオリン奏者をつとめ、トスカニーニやマスカーニ、リヒター、サン・サーンスのもとで、後にはコベント・ガーデン劇場管弦楽団(ロンドン)で演奏した。

マントヴァーニ自身は、父親よりもむしろ母親から音楽家になるよう励まされたと言われる。最初にピアノを習い、後にバイオリンを学んだ。1912年、家族そろって英国に移住し、16歳になったとき、ブルッフのバイオリン協奏曲第1番を弾き、プロとしてのデビューを果たした。その4年後、ロンドン・メトロポール・ホールで自分の楽団を立ち上げ、ラジオ放送にも乗り出した。

1930年代初頭、ティピカ楽団を結成し、ロンドン・ピカデリーの有名レストランからランチタイムのラジオ音楽番組を放送するとともに、リーガル・ゾノフォンにレコード録音を始めた。

1935年から36年にかけて、彼は米国で2曲のヒットを放った。「夕日に赤い帆」と「夜のセレナーデ」である。このころの代表作を集めたものに「The Young Mantovani 1935-39」がある。
1940年代にはいると、マントヴァーニはロンドン・ウェスト・エンドのショー「Lady behave」
「Twenty to one」「Met me Victoria」などの音楽監督を務めた。彼は、ノエル・カワードの「パシフィック1860」や「クラブのエース」にも加わり、オーケストラ・ピットの指揮者としてルビー・レイン、パット・カークウッド、メリー・マーチン、サリー・グレイ、レスリー・ヘンソンなどを伴奏した。

このころ、英国デッカに録音したレコードには、「緑のオウム」「Hearmy song Violetta」「Tell me Marianne」(ヴォーカル:Val Marrall)がある。
レコード・セールスが期待できるアメリカ市場を目標に定め、彼はさまざまなアレンジを試みたが、たどり着いたのが、編曲者ロナルド・ビンジが思いついたという「カスケーディング・ストリングス」「タンブリング・ストリングス」「カスケーディング・バイオリン」などと呼ばれる手法だった。
「カスケーディング・ストリングス」は、彼の楽団のトレード・マークとなったが、1951年録音の「シャルメーヌ」で初めて使われた。この曲は、もともと1926年のサイレント映画「栄光何するものぞ」のために書かれたものだった。

マントヴァーニは、「ワイオミング」「グリーンスリーブス」「ムーラン・ルージュの歌」「スウェーデン狂詩曲」「孤独なバレリーナ」などをシングル盤でミリオンセラーにした。
彼自身の作品には、「愛のセレナータ」「ロイヤル・ブルー・ワルツ」「赤いソンブレロ」「ブラス・ボタン」「カラ・ミア」などがある。
「カラ・ミア」は、1954年デビット・ホイットフィールドがマントヴァーニの伴奏で歌ってミリオンセラーを記録し、UKチャートで10週間1位を記録した。彼はこの自作曲を自ら弾くピアノをフィーチュアして再録音している。40名のオーケストラにピアノが加わるというアレンジは、当時異例のことだった。

マントヴァーニは、アルバム・アーティストとしても優れていた。デッカの優れた録音技術にも助けられ、100万枚のステレオLPレコードを売った最初の人となった。1955年から1966年の間、彼は28枚のアルバム(LP)を米国チャート・トップ30に送り込んだ。
ロシアを含めて世界中を演奏旅行したが、最も人気が高かったのは米国で、彼の音楽は「ビューティフル・ミュージック」と呼ばれた。

21年間彼のマネージャーを務めたジョージ・エリックによると、米国ツアー中にマントヴァーニが病気になり、キャンセルもやむを得ないと思われたが、聴衆は決してチケットを払い戻しせず、翌年のコンサートを待ち望んだという。
 (参考;"The Guinness Encyclpedia of popular Music" )


「ビルボード」ヒット・チャートとマントヴァーニ

2017年02月09日 11時27分00秒 | 音楽・映画
 
 
マントヴァーニのアルバムは、本国のイギリスよりもむしろ米国で大ヒットしました。 1964年、ビートルズが登場するまで、彼ほど多くのヒットを放った英国人アーティストは皆無でした。
「ビルボード誌」(The Billboard Book)のヒット・チャートで、その足跡をたどってみると……。

 

1. 年代別トップ・アーティスト

(1955―1959)

   

2. 年代別トップ・アーティスト

(1960―1969) 

3.トップ・アーティスト  (1955-1986)

4.「ビルボード」にチャート・インしたアルバム

   

 

   
       

 

《表の見方》 (G):ミリオンセラー・アルバム
      日付:そのアルバムが最高位を付けた年月日
       週:「ビルボード誌」アルバム・アルバム・トップ40に
         チャート・インした週の数

       注:注1および注2はモノラル録音。ステレオ録音とは別テイク。 

出典:「ビルボード・トップ40アルバム」
    (J.ホイットバーン著 音楽の友社 1989)
    Joel Whitburn "The Billboard Book of Top 40 Albums"

トップ40に入ったマントヴァーニのアルバムは30枚、うち6枚がミリオンセラー。パーシー・フェイスの9枚(※2枚)、ビリー・ヴォーン18枚(※3枚)、ローレンス・ウェルク24枚(※2枚)などと比較しても圧倒的である。
日本では有名なポール・モーリアは、わずかに1枚(1枚)である。
                                       ※ミリオン・セラー(内数)

1955年から86年までの32年間に、「ビルボード」誌の「アルバム・トップ40」にチャート・インしたアーティストをポイント順にランキングしている。すべてのジャンルが対象である。オーケストラ演奏は、ヴォーカルのように個性を際立てさせることが難しい。にもかかわらず、マントヴァーニは8位を占めている。
これからも破られることのない記録と言えるだろう。

1958年にステレオ・レコードが発売され、Hi-Fiブームが起こった。そのため、オーケストラやインストルメンタルのアーティストが上位にランクインしている。マントヴァーニを筆頭に、4・7・10・11・13・16が、そうしたアーティストである。18はクラシックのピアニスト、20はジャズというように、すべてのジャンルを含めたランキングである。

60年代に入ると、オーケストラ演奏のアルバムの人気は次第に下火になったが、マントヴァーニのアルバムは、コンスタントにチャート・インした。ビートルズやローリング・ストーンズの登場にもかかわらず、美しい旋律を求めるファンは変わらなかった。

The top 20 artists by decade 1955-59

The top 20 artists by decade 1960-69

The top artists 20 (1955-86)

Mantovani's albums on the Billboard charts

 
フランク・シナトラ Frank Sinatra ジョニー・マティス Johnny Mathis マントヴァーニ Mantovani ミッチ・ミラー Mitch Miller ハリー・ベラフォンテ Harry Belafonte エルビス・プレスリー Elvis Presley ロジャー・ウィリアムス Roger Williams テネシー・アーニー・フ ォード Tennessee Ernie Ford パット・ブーン Pat Boone 10 ローレンス・ウェルク Lawrence Welk 11 ジャッキー・グリースン Jackie Gleason 12 キングストン・トリオ The Kingston Trio 13 レイ・コニフ Ray Coniff 14 ペリー・コモ Perry Como 15 ナット・キング・コール Nat ”King” Cole 16 ビリー・ヴォーン Billy Vaughn 17 フォア・フレッシュメン Four Freshmen 18 ヴァン・クライバーン Van Cliburn 19 リッキー・ネルソン Ricky Nelson 20 デイブ・ブルーベック Dave Brubeck Quartet
フランク・シナトラ Frank Sinatra ビートルズ     The Beatles   エルビス・プレスリー Elvis Presley アンディ・ウィリアムス Andy Williams ハーブ・アルパート&  ティファナ・ブラス Herb Alpert & The Tijuana Brass レイ・コニフ Ray Coniff キングストン・トリオ The Kingston Trio ローリングストーンズ The Rolling Stones ミッチ・ミラー Mitch Miller 10 レイ・チャールズ Ray Charles 11 バーブラ・ストレイザンド Barbra Streisand 12 ジョニー・マティス Johnny Mathis 13 シュープリームス The Supremes 14 テンプテーションズ The Temptations 15 イノック・ライト Enoch Light 16 ビーチ・ボーイズ The Beach Boys 17 ヘンリー・マンシーニ Henry Mancini 18 ピーター・ポール&マリー Peter,Paul & Mary 19 ビリー・ヴォーン Billy Vaughn 20 マントヴァーニ Mantovani 21 ローレンス・ウェルク Lawrence Welk
フランク・シナトラ Frank Sinatra エルビス・プレスリー  Elvis Presley ローリングストーンズ The Rolling Stones バーブラ・ストレイザンド Barbra Streisand  ビートルズ The Beatles ジョニー・マティス Johnny Mathis ミッチ・ミラー Mitch Miller マントヴァーニ Mantovani キングストン・トリオ The Kingston Trio 10 レイ・コニフ Ray Coniff 11 ボブ・ディラン Bob Dylan 12 テンプテーションズ The Temptations 13 エルトン・ジョン Elton John 14 アンディ・ウィリアムズ Andy Williams 15 ハーブ・アルパート& ティファナ・ブラス Herb Alpert & Tijuana Brass 16 ローレンス・ウェルク Lawrence Welk 17 ビーチ・ボーイズ The Beach Boys 18 ハリー・ベラフォンテ Harry Belafonte 19 ヘンリー・マンシーニ Henry Mancini 20 シカゴ Chicago

マントヴァーニが紡いだ不朽の旋律

2017年02月09日 10時49分06秒 | 音楽・映画

 

Ⅰ.マントヴァーニをめぐって

シャルメーヌ   Charmaine

 ♭♪あなたと会ったあの晩は忘れない 愛していると言ってくれたのに そのあなたはもういない 私をどこかで待ち続けているのか シャルメーヌ…

 これは、1926年のアメリカ映画「栄光」(原題「What price glory」)の伴奏音楽として使用された「シャルメーヌ」(Charmaine)の歌詞の一部である。甘い歌詞とメロディを持つこの曲は、1951年マントヴァーニ楽団の演奏で大ヒットし、日本においても同年の年間ヒットチャートで3位を記録した。1958年にはマントヴァーニのアルバム「ワルツ・アンコール」(Waltz Encores) の中に再録音され、そのストリングスの美しさとステレオ録音の素晴らしさでファンを熱中させた。
 作曲はエルノ・ラペエ(Erno Rapee)、作詞はリュウ・ポラック(Lew Pollack)である。
 シャルメーヌはこの映画に登場するフランス人の少女の名前である。「ライムライト」の「テリーのテーマ」と同じように、この「シャルメーヌ」もサイレント映画のテーマ曲であったため、かえってひとびとに強い印象を残したのだろうか。マントヴァーニだけでなく、多くのシンガー、楽団がレコーディングをおこなっている。ボーカルではフランク・シナトラ、ジャズ系ではトミー・ドーシー楽団、エロール・ガーナー、ムード音楽ではヘルムート・ツァハリアスジョージ・メラクリーノ、ジャームス・ラスト楽団など40種類以上のバージョンがある。
 またこの曲は意外なところで使われている。ジャック・ニコルソン主演の「カッコーの巣の上で」では、精神病院の中で患者の気分を和ませるために、このレコードがかけられるシーンがあった。英国の風刺コメディである「モンティ・パイソン・フライングサーカス」では、、エキサイトしたサッカー試合のバックに全く場違いなこの曲が流された。

 現在でも米国ではこの曲と映画を愛するファンが多いとみえ、インターネットを検索すると「シャルメーヌ・クラブ」というホームページを見つけることができる。そこにはこの映画の出演者やシャルメーヌの歌詞、演奏者リストなどの詳しいデータのほかに、シャルメーヌという名前を持つ女性に入会を呼びかけるページまである。シャルメーヌという名前は、彼らにとってまさに古きよき時代を思い起こさせる甘美な響きを持つのかも知れない。

 マントヴァーニ楽団のテーマ曲がこのシャルメーヌであることはよく知られている。思えば私自身も35年前この曲のシングル盤を買い、その美しさに心をひかれマントヴァーニのファンとなったのだった。シャルメーヌは、それ以来私の心の片隅にずっと潜んでいたような気がする。そのシャルメーヌにこのたび初めて出会った。HPの中に掲載されているポスターである。
 この可憐なシャルメーヌとともに、マントヴァーニとその時代を振り返ってみよう。


マントヴァーニの音楽歴

 マントヴァーニの本名はアヌンツィオ・パオロ・マントヴァーニ(Annunzio Paolo Mantovani)といい、1905年イタリアのベネツィア(ベニス)に生まれた。彼の父親は、アルトゥーロ・トスカニーニのもとミラノ・のスカラ座管弦楽団のコンサートマスターをつとめ、マスカーニ、サン・サーンスなどにも仕えた経歴を持つ。のちにはコベントガーデン管弦楽団を指揮した有名な音楽家であった。
 だがマントヴァーニが音楽家になるよう励ましたのは、その父ではなく、むしろ母親であったといわれる。彼は最初ピアノを習い、のちにバイオリンを学んだ。1912年に家族が英国に移り住んだ後、彼は16歳でブルッフのバイオリン協奏曲第1番を演奏して、音楽界にデビューした。
 その4年後、彼はポピュラー音楽に転向する。ロンドンのメトロポール・ホテルで自分の楽団を始め、ラジオ放送にものりだした。つづく’30年代の初期、彼は当時流行のティピカ楽団を組織し、ロンドン・ピカデリーにある有名レストランからランチタイム放送をおこなうとともに、レコード録音を開始した。もちろん当時はSPの時代である。このころ、彼は米国で「夕日に赤い帆」(Red Sails in the sunset)「夜のセレナーデ」(Serenade in the night)の2曲をヒットさせた。
 ’40年代の彼は、音楽ディレクターとしてノエル・カワードの「パシフィック1860」「クラブのエース」に関わり、劇場のオーケストラ・ピットではL・レーン、メリー・マーティンなどの伴奏者として活躍した。このころに彼は後述する
ロナルド・ビンジ (Ronald Binge)と出会うことになる。
 当時アメリカの音楽市場は、英国とは比較にならないほど大きく有望だった。その音楽市場に目標を定め数々の編曲を試すうちに、彼は、ロナルド・ビンジのオリジナル・アイディアとされる「カスケーディング・ストリングス」にたどりついた。それは彼の楽団のトレード・マークとなり、あの「シャルメーヌ」ではじめて使われたのである。’50年代初期にはこの曲以外にも「グリーン・スリーブス」「ムーラン・ルージュの歌(Moulin Rouge theme)」(英国ナンバーワンヒット)、「スウェーデン狂詩曲」「孤独なバレリーナ」(Lonely Ballerina)などのヒットをとばしている。ただしこの時期はモノラル録音のシングル盤が中心であった。マントバーニが世界中で名をあげたのは、アルバム(LP)・アーティストとしてであり、とりわけ1958年にステレオLPが登場してからが彼の独壇場であった。
 のちに述べるが、彼は英国デッカ(Decca Records : 米国・日本では「ロンドン」レーベル)の優れた録音技術に助けられ、最初に百万枚のステレオLPを売ったアーティストとなった。1955年から1966年の間に彼は、米国トップ30に28枚ものアルバムを送っている。「ビルボード」誌のチャートについては、のちに詳細にふれたいと思う。
 「ある年の米国ツアーの最初にマエストロ(マントヴァーニ)が病気になり、予定されたコンサートをキャンセルしなければならなくなった。ミネソタ大学とミネアポリスのコンサートでは切符を買っていた聴衆が払い戻しを拒否し、翌年のツアーに切符をまわすよう望んだ。」こういうエピソードを長年マントヴァーニのマネージャーをつとめた人物が記している。彼が米国でいかに人気があったかを物語るものである。その彼は、1963年たった一度だけ来日公演を行った。

 彼の音楽の最大の特徴は、’60~70年代においてもずっと変わらない音楽傾向を続けたことである。
 1980年3月30日英国ケント州タンブリッジ・ウェルズで死去した彼は、その生涯で767曲※の録音を残し、全世界で一億枚以上のアルバム(LP)を売り上げたといわれる。

                              (※ マントヴァーニはSP時代の録音を含めると、767曲をはるかに超える録音を残している。)


栄光のデッカサウンドとマントヴァーニ  Decca Sounds and Mantovani

 
 マントヴァーニの成功は、①ロナルド・ビンジが編曲したカスケーディング・ストリングス、②英国デッカ(ロンドン)社の優秀な録音という二つの要素によるところが大きい。
 デッカの名を世界的に轟かせたのは、FFRR、FFSSで知られる優秀録音である。1950年にはFFRR(モノラル録音)のLPレコードを発売、1954年にはステレオ録音を開始、1958年にはFFSS(ステレオ録音)のLPを発売し、その録音技術は他社を圧倒してきた。
 デッカは1952年に最初のステレオ録音を実験した。そのとき演奏したのはマントヴァーニの楽団だったことが、
R・ムーン著『Full Frequency Stereophonic Sound』(1990)には記されている。録音の重要性を理解していたマントヴァーニらしい試みであり、レコードの歴史を考えるうえでも彼の存在が予想以上に大きいことがわかる。
 デッカ録音といえば、ゲオルグ・ショルティ指揮ウィーン・フィルのワグナー「ニーベルングの指輪」が筆頭に挙げられる。これは「ハイファイ愛好家に喜んで受け入れられ、一方アコースティックな音空間の中でオーケストラのバランスを取るデッカ特有のアプローチ」の最高傑作とされるレコードである。当時のデッカ録音の特徴は、ホール・トーンを適度に捉えつつ、個々の楽器や声をクローズアップして、両者を上手にブレンドする音づくりにあると言われた。これは、ワン・ポイント・マイクによるテラークのデジタル録音などとは対照的である。デッカがパッションフルーツ・ジュースだとすれば、テラークは蒸留水といった感じである。

 のちにふれるが、マントヴァーニのサウンドは、人工的に作られたものという見方があった。ところが、実際にはクラシック音楽と同様のポリシーで録音が行われていた。
ジョセフ・ランザ著「エレベーター・ミュージック」(岩本正恵訳 白水社 1997: Joseph Lanza "Elevator Music - A Surreal History of Muzak , Easy-Listening, and other Moodsong" 1994 Picador USA) には、そのことを裏付ける次のような記述が見られる。
 「マントヴァーニの成功は、初期の頃からずっと録音技師をつとめたアーサー・リリーの力によるところが大きい。たとえば、耳をつんざくロックンロールを録音するためにデッカのスタジオにカーペットが敷かれていたような場合、マントヴァーニが録音の準備をしているあいだに、リリーは率先してカーペットをはがし、エコーの効果を高めた。…残響効果を得るために、彼はストリングスだけでも最低九本のマイクを使った。」 

 アーサー・リリー(Arthur Lilly)は、プロデューサーのトニー・ダマート(Tony D'Amato)とともに、フェイズ4クラシックスやロンドン・フェスティバル管弦楽団などの録音にも携わっている。彼が録音したフェイズ4クラシックスには、「展覧会の絵」(レオポルド・ストコフスキー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)、「シェエラザート」(L・ストコフスキー/ロンドン交響楽団)、「ローマの松」(シャルル・ミュンシュ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)、「カルミナ・ブラーナ」(アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団)など数々の名盤がある。


フェイズ4録音とマントヴァーニ Phase 4 recordings and Mantovani


 このフェイズ4録音(Phase4 Recordings)は、1962年に開始された、デッカが誇るマルチ・チャンネル録音であった。やや遅れて流行した4チャンネル録音とは異なるものである。同時期に定評のあった「マーキュリー・リビング・プレゼンス」(Mercury Living Presence)と比較すると、前述のテラークとの関係と同じことが言えるだろう。マーキュリーのほうは、優秀なワンポイント録音技術が売りものだった。たとえば、チャイコフスキー「大序曲1812年」をレオポルド・ストコフスキーのフェイズ4録音とアンタル・ドラティのリビングプレゼンスで比べてみよう。音の華麗な点ではデッカに、音場感ではマーキュリーに軍配が上がるだろう。
 クラシック録音と並行して、デッカは多数のポピュラー・アルバムをフェイズ4で録音した。スタンリー・ブラック(Stanley Black)指揮ロンドン・フェスティバル管弦楽団による 「フィルム・スペキュタクラー(Film Spectacular)」などのアルバム、ロニー・アルドリッチ (Ronnie Aldrich)の2台のピアノによる数々のアルバムをはじめとして、フランク・チャックスフィールド(Frank Chacksfield)、テッド・ヒース(Ted Heath)、エドムンド・ロス(Edmund Ros)、ウェルナー・ミューラー(Werner Muller)など枚挙にいとまがないほどである。
 ところが、マントヴァーニについては「キスメット(Kismet)」(1964年)ほか数えるほどしかない。「キスメット」と同時期のアルバムには「アメリカン・ワルツ集(American Waltzes)」(1962年)、「マリオ・デル・モナコと共に(With Mario del Monaco)」(1962年)、「ラテン・ランデブー (Latin Rendezvous)」(1963年)、「マンハッタン(Manhattan)」(1963年)などがあるが、どれもフェイズ4録音ではない。デッカの一枚看板であった彼に、何故この録音が少ないのかは謎である。

 これは私の想像だが、彼はフェイズ4録音を好まなかったのではないだろうか。いま手元にボブ・シャープレス制作の一連のフェイズ4録音のCD(吹奏楽)があるが、これを聴くと左右に金管楽器がめまぐるしく移動し、音場がいわゆる「中抜け」となっている。確かに音質はいいのだが、今となっては音作りが不自然で時代遅れに聴こえる。ステレオ効果を意識しすぎて、音楽性が希薄に感じられるのである。マントヴァーニは、このことに早くから気づいていたのではないだろうか。
 1973年録音の「An Evening with Mantovani」はフェイズ4録音ではあるが、そのような不自然さは感じられない。木管、金管楽器がクローズアップされ、ドラムスが控え目に入っているところが当代的であるが、独自のスタイルを崩すというほどではない。「静かに音楽を奏で続けた」マントヴァーニの一貫性をここでも確かめることができる。


カスケーディング・ストリングスの秘密 The secret of Cascading Strings

 マントヴァーニの特徴は、カスケーディング・ストリングスと呼ばれる弦楽器の奏法にある。初期のマントヴァーニのアルバム(英米盤)には「いかなるエコー・マシーンも使っていない」との注意書きがあった。これはカスケーディング・ストリングスが編曲によるもので、人工的な音ではないことを示す目的があったと思われる。
 カスケーディング・ストリングスとは、文字どおり「滝が流れ落ちる」ような弦の響きであり、ロナルド・ビンジの才覚によって生まれたと言えよう。具体的には「シャルメーヌ」や「魅惑の宵」のストリングスを思い起こしてほしい。
 ここに「題名のない音楽会 (The untitled concert)」(1994年9月11日、テレビ朝日で放送)で黛敏郎が採り上げた「カスケーディング・ストリングスの秘密」の記録があるので、再現してみたい。当日は三十周年記念の番組であり、過去の企画を回顧するなかでこのテーマが採り上げられた。「魅惑の宵」(Some Enchanted Evening) の冒頭部分のスコアが客席に向かって掲示されたステージ上で、黛敏郎は次のように解説した。

 《黛敏郎の解説》
マントヴァーニがアレンジした場合には、バイオリンを4つの部分に分ける。その4つのグループどれ が演奏しても、メロディそのものは出てこない。
(オーケストラ=東京交響楽団が、バイオリンのA~Dの4パートのうち、パートAを演奏する。)
全然メロディを感じませんね。
(次にパートBが演奏される。)
有名なメロディとは似つかわしくない。
(パートCを演奏)
 …やっと片鱗は聴こえるが、満足はできない。
(パートDを演奏)
お聴きのように、4つの部分がメロディの一部らしきものをやっているけれども、実際のメロディは出てこない。それは何故かといえば、分散してやっているからです。どう分散してい るかというと交互に(A~Dの)違ったグループに行ったり来たりする。それが一緒になると、他の音 が余韻となっているので、エコーのように聴こえる。これを多用したのが
マントヴァーニのアレンジの秘 密である。当時、石丸さんはこんな解説をしておられた。

 
ここで演奏された「魅惑の宵」は、福田一雄による編曲だった。おそらくロナルド・ビンジによるオリジナル・スコアは、著作権の関係で使えなかったのだろう。しかし、東京交響楽団が奏でた音は、マントヴァーニ楽団と全く変わらないものであった。クラシックの楽団はPA(Public Address; 増幅装置)を使用しないので、ここで生まれたサウンドはすべて編曲によるものであることが実証された。

 マントヴァーニの唯一の来日は1963年5月であった。30年前に同様の解説をしたと黛敏郎は語っているので、それがオン・エアされたのは、1964年のことだと推測される。マントヴァーニの弦の秘密は、そのころこの同じテレビ番組で初めて解明されたのである。
 黛敏郎も、このとき指揮した石丸寛も今はもういない。ムード音楽にこだわりを持つ世代が次第に少なくなっていることを実感する。




編曲者ロナルド・ビンジ  The arranger Ronald Binge

 では、カスケーディング・ストリングスを考案したロナルド・ビンジ(Ronald Binge)とは、どんな人物だったのだろうか。
 彼は1910年英国のダービーに生まれ、1979年に死去している。ほぼマントヴァーニと同世代である。父親を早く失ったため苦労を重ねたが、ダービーのセント・アンドリュース教会のオルガン奏者件合唱指揮者だった人物からピアノのレッスンを受け、音楽に目覚める。
 しかし、貧しかったため音楽学校に進む夢は叶わず、17歳にして映画館のオルガニストとなる。もちろんサイレント映画の時代である。映画の場面に応じて音楽を供給するという経験は、彼の作曲活動に大いに役立つことになった。
 アコーディオン奏者兼ピアノ奏者として彼は、1935年にマントヴァーニのティピカ・オーケストラに加わり、同時にすべてのアレンジを担当した。当時のマントヴァーニ楽団は、のちのような大編成ではなく、バイオリン(マントヴァーニが担当)、ピアノ、ウッド・ベース、トランペット、クラリネット、アコーディオンといった編成であった。ちなみに、この頃の演奏は
「Vintage Mantovani」(Hallmark 302422)ほかで聴くことができる。

 1951年デッカ・レコード社長のヘンリー・サートンは「ビクトリア・パレス・クレージー・ギャング・ショー」に出演中のマントヴァーニのために編曲するようR.ビンジに依頼した。それに応えて彼は、少数の木管楽器をちりばめ、大編成の弦楽器がメロディを奏でるという新しいアレンジを考案した。「シャルメーヌ」のあのサウンドである。これはのちに「カスケーディング・ストリングス」(Cascading Strings)として世界中に知られるようになった。 
 このストリングスの技法を駆使した彼の作品に「粉雪の踊り」(The Dance of the Snow flakes)という曲がある。そこで彼は、バイオリンを6つのパートに分けて粉雪が舞うパノラマ的な情景を演出している。これは
CD「British Light Music~Ronald Binge」(マルコポーロ、8.223515)に収められている。演奏はスロバキア放送交響楽団であるが、確かにマントヴァーニ楽団のような音を出している。
 このビンジの技法は、いわばコロンブスの卵であった。誰でもできそうで、誰も試みなかった、そんなスタイルである。マントヴァーニのアルバムを聴くと、どの曲にも必ずカスケーディング・ストリングスを誇示するパートがあり、彼とその他の楽団を区別するスパイスの役割を果たしていることがわかる。

 ロナルド・ビンジは編曲者としてだけではなく、作曲家としても有名だった。マントヴァーニ楽団のヒット曲として知られる
「エリザベス朝セレナーデ」(Elizabethan Serenade)」は、彼の代表作である。また、50年代後半にデビット・ホイットフィールド(David Whitfield)がマントヴァーニ楽団の伴奏で唱い、60年代に入ってからは米国のポップ・グループ「ジェイとアメリカンズ」で大ヒットした「カラ・ミア」(Cara Mia)は、実は彼とマントヴァーニの共作であった。ペンネームで書かれたこの曲が二人の作品であることは、案外知られていない。
 このようにマントヴァーニは不可分の関係にあった彼だが、カスケーディング・ストリングスの編曲者として語られることを好まなかったという。「あれは技術的な仕事に過ぎず、十分な報酬はいただいた。作曲の仕事とは異なる分野だ」というのが口癖だった。マントヴァーニとともに築いた彼のサクセス・ストーリーを人々が早く忘れるよう願っていたとも言われる。


ビルボード・チャートにみるマントヴァーニ Mantovani on the Billboard's Charts


 
米国の有名な音楽雑誌「ビルボード」 (The Billboard Book)には、アルバム・チャートという部門がある。アルバム(LP)のセールスに基づき順位をつけているのだが、1955年から1986年までの記録を見ても、マントヴァーニが同種の数ある楽団の中でダントツの人気を誇っていたことがわかる。次に楽団名と、それに続くかっこ内には(トップ40に登場したアルバムの枚数)を示してみよう。

 
《トップ40に登場したアルバム数》
 【米国系】
 
 アンドレ・コステラネッツ(1)  カーメン・ドラゴン(2)  モートン・グールド(2)
  アーサー・フィードラー&ボストンポップス(7)  ローレンス・ウェルク(24)  ビリー・ヴォーン(18)
  レイ・コニフ(28)  イノック・ライト(11)  パーシー・フェイス(9)   ネルソン・リドル(2) 
  クインシー・ジョーンズ(4) ジャッキー・グリースン(10) リビング・ストリングス(1)

 【英国系】

  マントヴァーニ(30)  スタンリー・ブラック
(2)  ジョージ・メラクリーノ(2)
  ロニー・アルドリッチ(2) フランク・チャックスフィールド(1)

 
【その他】
  ベルト・ケムプフェルト(8)  ポール・モーリア(1)  101ストリングス(2)

 
マントヴァーニのアルバムは実に30枚がランク入りしていている。これに続くのが、レイ・コニフ(Ray Coniff)、ローレンス・ウェルク('Lawrence Welk)、ビリー・ボーン(Billy Vaughn) である。彼らの音楽は、楽天的で単純明快なのが特徴である。レコードで聴く限り、それほど音楽性が高いとは思えない。同時期のパーシー・フェイス (Percy Faith) のほうが音楽性に優れ、ずっとエレガントで日本人好みである。だが彼らは、米国ではTVショウなどを通じて大衆的な人気があったのだろう。ローレンス・ウェルクは「シャンパン・ミュージック」の王様といわれ、自分のTV番組を持っていた。
 一方、クラシック音楽にも造詣が深く、アルバムの内容も優れたアンドレ・コステラネッツ (Andre Kostelanetz) やモートン・グールド(Morton Gould) が予想外に振るわないのをみると、音楽性とレコードセールスが必ずしも一致しないのがわかる。
 ちなみにアンドレ・コステラネッツは1955年NHK交響楽団を指揮するため来日したが、その際「マントヴァーニをどう思いますか」という問いに対し「スクールが違う」と答えたというエピソードを残している。(細野達也「昭和なかばのN響」)
 「スクール」(School)という言葉は、通常音楽上の「流派」を指すが、出身校のこととも解される。どちらの意味であったとしても「マントヴァーニなどと比較されたくないよ」という気持ちだったのだろう。いかにもプライドの高そうな彼の言葉ではある。だがアルバム・チャートを振り返ると、これは案外彼の本音だったかも知れない。 


年代別トップチャート


 英国人であるマントヴァーニは、ライバルがひしめく米国市場に売り込みをかける必要があった。ジョセフ・ランザは次のように記している。
 「…アメリカで聴き手の心をつかむにはどうすればいいか考えた、というマントヴァーニは、40人編成のオーケストラ(うち28人は弦楽器)をデッカの最新スタジオシステムで処理して、中世の教会の音響を20世紀によみがえらせた。」 (「エレベーター・ミュージック」)
 その成果はどれほどのものであったのか。
 「ビルボード・アルバム・チャート・トップ40」
(”The Billboard Book of Top 40 Albums” 1987 日本語訳は音楽之友社刊)の著者であるジョエル・ホイットバーン(JoelWhitburn)は、年代別のチャートも作成しているので、少し紹介したい。彼は1955年から1986年までのビルボード・チャートを調べ上げ、次のようにポイント化した。

 
① トップ40に入ったアルバムは、順位に従い、1位40点、2位39点…40位1点とする。
 ② 最高位が1位~5位のアルバムに25点、5~10位に20点、11~20位に15点、21位~30位に10点、30位~40位に5点を加える。
 ③ アルバムがトップ40に入っていた週を点に加える。
 ④ 1位となったアルバムは、1位の週数も点に加える。

  この方法でポイント化したチャートが次のふたつの表である。

 
 《1955~1986年のトップ20アーティスト》
  フランク・シナトラ   (Frank Sinatra)     3571点
  ②
エルビス・プレスリー (Elvis Presley)      3081点
  ③ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones) 2554点
  ④バーブラ・ストレイザンド(Barbra Streisand)  2318点
  ⑤ビートルズ        (The Beatles)     2316点
  ⑥ジョニー・マチス     (Johnny Mathis)    2279点
  ⑦ミッチ・ミラー      (Mitch Miller)      2055点

  ⑧マントヴァーニ    (Mantovani)       1929点
  ⑨キングストン・トリオ (The Kingston Trio)   1772点
  ⑩レイ・コニフ       (Ray Conniff)      1678点 
     

 《1955~1959年のトップ10アーティスト》
   ①フランク・シナトラ   (Frank Sinatra)   1390点
   ②ジョニー・マチス     (Johnny Mathis)   1178点 
   ③マントヴァーニ    (Mantovani)       1140点     
   ④ミッチ・ミラー      (Mitch Miller)      965点
   ⑤ハリー・ベラフォンテ   (Harry Belafonte)  880点 
   ⑥エルビス・プレスリー (Elvis Presley)     842点
   ⑦ロジャー・ウィリアムス(Roger Williams)   753点
   ⑧テネシー・アーニー・フォード           656点
             (Tennessee Ernie Ford)
   ⑨パット・ブーン       (Pat Boone)     619点
   ⑩ローレンス・ウェルク  (Lawrence Welk)   609点 

 まず最初の表を見てみよう。「1955年~86年」の32年間を通算したこのチャートでマントヴァーニは8位にランクされているが、インストゥルメンタルの演奏は数少ないことに注目したい。聴きてにとってインパクトが大きいのは、やはり楽団演奏よりボーカルなのだろう。また米国人以外のアーティストは、マントヴァーニのほかザ・ローリング・ストーンズとザ・ビートルズに過ぎない。ザ・ビートルズが登場したのが1964年であったから、それ以前に英国人が米国の音楽市場を席巻した事例はマントヴァーニをおいてなかったのである。
 特に「1955年~59年」のマントヴァーニの活躍は顕著だった。彼がゲットした得点の半分以上はこの期間のものである。
 しかも、このチャートはすべてのジャンルを含んでいる。たとえば「1955年~59年」の18位にはチャイコフスキー・コンクールで優勝したヴァン・クライバーン(チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番ほか)がチャート・インしている。ジャズの古典ともいえる「タイム・アウト」(「テイク・ファイブ」を所収)を演奏したデイブ・ブルーベックが20位に入っている。23位のマリオ・ランツァはクラシックのテノール歌手という多彩さである。


ロングセラー・アルバム

 
さらにジョエル・ホイットバーンはトップ40に60週以上チャート・インしたアルバムを「ロングセラー・アルバム」としてまとめている。
 マントヴァーニのアルバムは、第7位に
「フィルム・アンコール第一集(Film Encores Vol.1)」 (1959年~173週)、39位に「不朽の旋律(Gems Forever)」(1958年~95週)、100位に「シュトラウス・ワルツ集 (Strauss Waltzes)」(1958年~ 60週)が入っている。
 ベスト3は「マイ・フェア・レディ」(オリジナル・キャスト盤 311週)、「オクラホマ」(サントラ 262週)、「ジョニー・マティス・グレイテスト・ヒッツ」(236週)である。マントヴァーニ以外の「ムード楽団」は、このチャートにはひとつもでてこない。強いてあげれば19位にイノック・ライト(Enoch Light)の「Persuasive Percussion」があるが、これは当時急速に普及したステレオ再生装置に対応した、多少マニアックなアルバムだった。

 ロングセラー・アルバムとなるために必要な基本条件は、聴いていて飽きないことである。歌唱力が抜群なジョニー・マティス(Johnny Mathis) が3位に入っているのは、その意味で十分納得ができる。ミュージカルが上位を占めるのもステージの楽しさを繰り返し味わえるからであろう。
 マントヴァーニの「フィルム・アンコール第1集」は、オーソドックスな演奏もさることながら、「慕情」「旅情」「ハイ・ヌーン」などのアカデミー賞受賞の映画主題歌を集めた親しみやすさから驚異的なロングセラーを続けた。一方、「不朽の旋律」には「トゥルー・ラブ」「踊り明かそう」「サマータイム」など往年のヒット曲が収められていて、誰でも耳を傾けたくなる魅力がある。もちろんこれらの曲には、マントヴァーニのトレードマークであるカスケーディング・ストリングスがちりばめられていることは言うまでもない。
 このように、楽団演奏だけでロングセラーを続けた事例は希有といってよい。マントヴァーニが「ビルボード」に残した記録は空前絶後であり、今後とも破られそうにない。

 

 

 


マントヴァーニ・ディスコグラフィ 日本盤CD Mantovani's Discography Japanese CDs

2017年02月09日 03時53分05秒 | 音楽・映画

1983年から日本でリリースされたマントヴァーニ楽団のCD(ただし、オリジナル・アルバムのCD。コンピレーション盤は含まない。)

Year Label Description

The following CD albums were released through Polydor Records, Japan: When an album is connected to an original recording, it will be hyper linked to the original recording elsewhere in the discography so that you can see the album selections. Please press your browser's "Back" button to return to this page. 

1983 London Immortal Classics* (same as "Classical Encores" Deram POOL 20119)
1983 London Classic Encores* (same as "Concert Encores" Eclipse POCD 1504)
1983 London Strauss Waltzes (3122-9)
1983 London Operetta Memories (3122-10)
August 1985 London Golden Hits  (P33L 50003)
August 1985 London Memories (P33L 50005)
December, 1986 London Hollywood(P33L 20032)
November, 1987 London Mantovani's Christmas Favourites (P30L 20055)
November, 1989 Deram Mantovani's Christmas Favourites (P25L 20125)
  *These albums were named by Polydor Records, Japan

The following are part of the Original Mantovani Series released through Polydor Records, Japan:

July, 1988 London Golden Hits (P28L 20071)
July, 1988 London Memories (P28L 20072)
July, 1988 London Magic (P28L 20073)
July, 1988 London Song Hits From Theatreland (P28L 20074)
July, 1988 London Great Melodies From The Operas (P28L 20075)
Nov. 1988 London Golden Hits Vol. 2 (P28L 20081)
Nov. 1988 London Mantovani Presents His Concert Successes (P28L 20082)
Nov. 1988 London Gems Forever (P28L 20083)
Nov. 1988 London Broadway Encores (P28L 20084)
Nov. 1988 London Mr. Music (P28L 20085)
April, 1989 London Continental Encores (POOL 20101)
April, 1989 London Mantovani Touch (POOL 20102)
April, 1989 London Strictly Mantovani (Mantovani Favourites)(POOL 20103)
April, 1989 London To Lovers Everywhere (POOL 20104)
April, 1989 London From Monty With Love (POOL 20105)
Sept. 1989 Deram Waltz Encores (POOL 20111)
Sept. 1989 Deram Italia Mia (POOL 20112)
Sept. 1989 Deram Film Encores Vol. 2 (POOL 20113)
Sept. 1989 Deram American Scene (POOL 20114)
Sept. 1989 Deram Gypsy Soul (20115)
Dec. 1989 Deram Film Encores Vol. 1 (POOL 20116)
Dec. 1989 Deram Strauss Waltzes (POOL 20117)
Dec. 1989 Deram Manhattan (POOL 20118)
Dec. 1989 Deram Classical Encores (POOL 20119)
Dec. 1989 Deram Tangos (POOL 20120)
June, 1990 Eclipse Concert Encores( POCD 1504)
June, 1990 Eclipse Incomparable Mantovani (POCD 1505)
June, 1990 Eclipse Hollywood (POCD 1506)
June, 1990 Eclipse Latin Rendezvous (POCD 1507)
June, 1990 Eclipse Kismet (POCD 1508)
Feb. 1991 Eclipse Songs To Remember (POCD 1524)
Feb. 1991 Eclipse Music From Exodus And Other Great Hits (POCD 1525)
Feb. 1991 Eclipse Mantovani Ole! (POCD 1526)
Feb. 1991 Eclipse American Waltzes (POCD 1527)
Feb. 1991 Eclipse Operetta Memories (POCD 1528)

The following were part of the "Clascique Fantaisie" series released through Polydor Records, Japan

1995 London Operetta Memories (POCL 3751) Same as Eclipse POCD 1528.
1995 London Music From The Films (POCL 3752)

The following was released through King Records, Japan.

1995 London Mario del Monaco with Mantovani (KICC 8430) Released through King Records, Japan.
 2001  DECCA  Mario Del Monaco Song Album  (UCCD-7100). This is a double album, the other 12 songs being with Ernesto Nicelli and his Orchestra.
 
2004.5.21
 DECCA  Incomparable(UICY1566)
Mantovani Magic(UICY1567)
Mantovani Touch(UICY1568)

 Layout and other features of the discography pages are copyright c2001 Wesley W. Stillwagon, Sr. All rights reserved. Discography detail content Copyright c 2001 Dr. Hidehisa Habe and Akima Toru. All rights reserved.

 


マントヴァーニ・ディスコグラフィ(1960年代・その2)Mantovani's Discography '60s

2017年02月09日 03時45分39秒 | 音楽・映画

1960年代・その2

1962

American Waltzes (LL 3260/PS 248)

*with female chorus

No Decca Equivalent

The Waltz You Saved For Me; Beautiful Ohio*; When The Moon Comes Over The Mountain; The Sidewalks Of New York; Marcheta*; The Wiffenpoof Song; Let Me Call You Sweetheart; Missouri Waltz*; Sweetheart of Sigma Chi; Meet Me In Saint Louis, Louis; Clementine*; Alice Blue Gown

1962

Great Films - Great Themes (LK/SKL 4500)

Moon River and Other Great Film Themes (LL 3261/PS249)

LL 3261/PS 249 has a different track order; LL 3261/PS 249: Barabas

Barrabbas; Fanny; Advise and Consent; Goodbye Again; Judgment at Nuremburg; The Apartment; Never on Sunday; The Four Horsemen of the Apocalypse; Breakfast at Tiffany's (Moon River); Rocco and His Brothers (Nadia's Theme); Return to Peyton Place; The Big Country

1963

Classical Encores (LL 3269/PS 269)

"The Decca album was issued very briefly in UK in 1965 as SKL 4603 (although recorded in 1962) and never appeared in any of the company's catalogs, for what reason I cannot say. I'm looking at the covers of the London and Decca albums as I write - they differ in design in small ways, but the wordage on the reverse of the cover is the same, written by Robert Sherman." Colin MacKenzie. Thanks also to Mr. Kookchew Chung a Mantovani Fan from Korea.

 

Slavonic Dance No. 2; Etude No. 3; Tango in D; Barcarolle From Tales of Hoffmann; On Wings of Song; Hungarian Dance No. 5; Solveig's Song from Peer Gynt; Air on the G String; Cradle Song; None But The Lonely Heart/ Ave Maria; Largo from Xerxes.

1962

Stop The World -- I Want to Get Off, Oliver (LL 3270/PS 270) No Decca equivalent

Introduction -- I'd Do Anything -- Pick a Pocket or Two; Consider Yourself -- Where is Love -- ?--OOM-PAH--PAH -- Reviewing the Situation --Oliver -- Who Will Buy ?; As Long As He Needs Me; Introduction -- Lumbered; Someone Nice Like You; Meilincki Meilchick -- Once In A Lifetime --Gonna Build A  Mountain -- I Wanna Be Rich; What Kind of Fool Am I ?

 
1962-1963 A Song For You (LK/SKL 4510) The World's Greatest Love Songs (LL 3280/ PS 280)

with Mario Del Monaca (vocal) and *Male Chorus

LL 3280/PS 280Parlami D'Amore Mariu (an alternative title to "Love's Last Word is Spoken) and Core N'Grato (an alternative title for Catari, Catari) 

Serenade From The Student Prince*; Musica Proibita; Love's Last Word Is Spoken; Te Voglio Tante Bene;Tonight* ; Catari, Catari; Be My Love; Girls Were Made to Love and Kiss*; Cara Mia; Lolita

1963

 

Latin Rendezvous (LK/SKL 4528)

Latin Rendezvous (LL 3295/PS 295)

LL 3295/PS 295 has a different track order: Granada; Estrelita, and Amapola replace Perhaps, Perhaps, Perhaps, a Garden In Granada, and La Golondrina

Malaguena; Perhaps, Perhaps, Perhaps; Be Mine Tonight; Cielito Lindo; La Paloma; Siboney; A Garden in Granada; Perfidia (Tonight); Andalucia (The Breeze and I); La Golondrina; Maria Elena; Espana

1963

A Song For Christmas (LK/SKL 4557)

Christmas Greetings From Mantovani and His Orchestra (LL 3338/PS 338)

*with Mike Sammes Singers (vocals). Reissued on DGS 8 in 1979 As "Christmas with Mantovani" No London equivalent.

Deck The Halls With Boughs of Holly*; Once In Royal David's City*; Jingle Bells; Toy Waltz; The Holly And The Ivy*; O Thou That Tellest Good Tidings; It Came Upon The Midnight Clear*; The Twelve Days of Christmas*; While Shepherds Watched; Christmas Bells; Mary's Boy Child*; I Saw Three Ships*

1963-1964

Mantovani Manhattan (LK/SKL 4561) 

Manhattan (LL 3328/PS 328

LL3328/PS 328 has a different track order

Give My Regards to Broadway; Autumn in New York; The Bowery; Harlem Nocturne; Slaughter on Tenth Avenue; Manhattan Serenade; Take the "A" Train; Manhattan Lullaby; West Side Story; Maria -- Somewhere; Belle of New York; Tenement Symphony. 

 1964

Kismet (LK 4578/PFS 4035)

Kismet (PM 55001/SP 44043)

1= Kenneth McKellar (vocals); 2=Robert Merrill, Adele Leigh (vocals);  3= Robert Merrill (vocal); 4= Adele Leigh and the Sammes Chorus (vocals); 5=Regina Resnik, Ian Wallace and the Sammes Chorus (vocals);  6= Adele Leigh and Kenneth McKellar (vocals): 7= Ian Wallace and the Sammes Chorus (vocals); 8= Ian Wallace, Regina Resnik, Robert Merrill, and the Sammes Chorus (vocals);  9= Kenneth McKellar  and the Sammes Chorus (vocals): 10=Regina Resnik, Robert Merrill, and the Sammes Chorus (vocals); 11= Robert Merrill, Adele Leigh, Ian Wallace, and Kenneth McKellar (vocals); 12= Kenneth McKellar and the Sammes Chorus (vocals); 13 = Kenneth McKellar and the Sammes Chorus; 14=  Robert Merrill, Kenneth McKellar, Adele Leigh (vocals).

Overture; Sands of Time1; Rhymes Have I2;Fate3; Baubles, Bangles, and Beads4; Not Since Nineveh5; Stranger in Paradise6; He's in Love7; Gesticulate8; Night of My Nights9; Was I Wazir?7; Rahadlakum10; And This Is My Beloved11; The Olive Tree3; Zubbediya12; Samaris Dance13; Finale, Act 214.

 1964

Folk Songs Around the World (LK/SKL 4611)

Folk Songs Around the World (LL 3360/PS 360)

Aura Lee; Skip To My Lou; The Streets of Loredo-Shenandoah; The Blue Tail Fly; Red River Valley; Oh! Susanna; Au Clair de La Lune-Frere Jacques; Du Du Leigst Mir Im Herzen introducing Lieber Augustin; Addio A Napoli; Rosa; Greensleeves introducing When Love Is Kind; Early One Morning; Annie Laurie; Wi A Hundred Pipers; All Through The Night; The Minstrel Boy; Two Guitars; Moon On The Ruined Castle; Hava Nagila 

 1964

The Incomparable Mantovani and his Orchestra (LK/SKL 4640)

The Incomparable Mantovani and his Orchestra (LL 3392/PS 392)

I Wonder Who's Kissing Her Now; As Time Goes By; Catch a Falling Star; Where Are You; I Left My Heart in San Francisco; I'll Be Seeing You; Yesterdays; Fly Me To The Moon; I'll Get By; September In The Rain; Long Ago; More

 1965-1967

 The Mantovani Sound (1967)(LK/SKL 4859)

The Mantovani Sound (1965)(LL 3419/PS 419)

Dear Heart; People; Charade; Fiddler On The Roof; Who Can I  Turn To; Hello Dolly; What Kind of Fool Am I?; As Long as He Needs Me; I Have Dreamed; The Sweetest Sounds; I've Grown Accustomed To Her Face; Climb Every Mountain

 1965

 Mantovani Ole (LK/SKL 4712)(LL 3422/PS 422)

Note: LK/SKL 4712 album cover: Spanish Gypsy Dance

El Relicario; Adios; Tico-Tico; Ay-Ay-Ay; Piccolo Bolero; Mexican Hat Dance; Jealousy/ Valencia; The Green Cockatoo; Spanish Gypsy Dance; Perhaps, Perhaps, Perhaps; Carmen Fantasy 

 1966

 Mantovani  Magic (LK/SKL 4749)(LL 3348/PS 448) 

Note: LK/SKL 4749, LL 3448/PS 448 album covers: Love Me With All Your Heart; The Most Beautiful Girl In The World; reissued in double album format as "Mantovani's magic touch" on DDS 1 with LK/SKL 4921 in 1970 - no London equivalent.

Misty; Red Roses For a Blue Lady; Chim Chim Cher-ee; Love Me With All Your Heart; Goodnight Sweetheart; Cara Mia; I Wish You Love; Lover; Stardust; Mona Lisa; Most Beautiful Girl In The World; Auf Weidershen Sweetheart;  

1966 

Mr. Music...Mantovani (LK/SKL 4811) 

Mr. Music...Mantovani (LL 3474/PS 474)

Smile; Ebb Tide; Softly As I Leave You; Spanish Flea; Theme From The Oscar; How Soon; Yesterday; Strangers In The Night; From Russia With Love; Love and Marriage; The Shadow Of Your Smile (Love Theme from the "Sandpiper"); Three O'Clock In the Morning  

 1967

 Mantovani's Golden Hits (LK/SKL 4818)

Mantovani's Golden Hits (LL3483/PS 483)

Note: LL3483/PS 483: Games That Lovers Play instead of True Love

Charmaine; Moon River; The Moulin Rouge Theme; Summertime in Venice; Diane; Exodus Main Theme; Greensleeves; True Love; La Vie En Rose; Around the World; Some Enchanted Evening; Swedish Rhapsody 

 1967

 Mantovani/Hollywood (LK/SKL 4887)

 Mantovani/Hollywood (LL 3316/PS 516)

Born Free; Lara's Theme; Goldfinger; Ben Hur; A Taste of Honey; This is My Song; You Only Live Twice; The Magnificent Seven/ Tara's Theme; Lawrence of Arabia; Zorba The Greek/ The Bible 

 1967-1968

 Old and New Fangled Tangos (LK/SKL 4893)

Mantovani Tango (PS 532)

PS 532: Red Petticoats instead of Music Box Tango; PS 532: Whatever Lola Wants and Orange Vendor; PS 532 album cover only: Blauer Himmel (Blue Sky) and Besame Mucho (Kiss Me)

Whatever Lola Wants (Lola Gets); Blue Tango; Tango Delle Rose; A New Fangled Tango; Music Box Tango; Adios Muchachos; Besame Mucho (Kiss Me); Hernando's Hideway; Blau Himmel (Blue Skies); Takes Two to Tango; The Rain in Spain; The Orange Vendor 

 1968

 The Mantovani Touch (LK/SKL 4921)

The Mantovani Touch (LL 3526/PS 526)

Note: LK/SKL 4921 album cover: On A Clear Day, The Days of Wine and Roses; reissued in double album format as "Mantovani's Magic Touch on DDS 1 with LK/SKL 4749 with no London Equivalent

 On A Clear Day You Can See Forever; Alfie; Release Me; A Man and a Woman; Almost There; What Now My Love; Edelweiss; A Day In The Life of a Fool; My Cup Runneth Over; Days of Wine and Roses; The Impossible Dream; Puppet On a String

 1968

The World of Mantovani (PA 1/SPA 1)

No London Equivalent 

*with the Michael Sammes Chorus

 Some Enchanted Evening; Hava Nagila; Cara Mia; Jealousy; Fiddler on the Roof; The Merry Widow Waltz; Onward Christian Soldiers*; More; The Big Country; Ebb Tide; Perhaps, Perhaps, Perhaps; Catari, Catari; Village Swallows; Can-Can from La Boutique Fantasque

 1968-1973

 Gypsy! (LK/SKL 4950) (1968)

Gypsy Soul (XPS 900) (1973)

The Heart of Budapest; Czardas; Golden Earrings; Theme from Villa Rides; Carmen: Gypsy Dance; Gypsy Carnival; The Singer Not The Song; Hejre Kati; Gypsy Flower Girl; Hora Staccato; Zapateado; Hungarian Rhapsody No. 2 

1968-1969

 Mantovani ...Memories (LK/SKL 4977)(1969)

Mantovani...Memories (PS 542)(1968)

*With chorus

 Smoke Gets In Your Eyes; What a Wonderful World*; The Trolley Song; Sweet Leilani; Try to Remember; Sunrise, Sunset*; The Anniversary Waltz; In The Still of the Night; Once Upon a Time; Embraceable You; How are Things in Glocca Morra; You'll Never Walk Alone*

 1969

The Mantovani Scene (LK/SKL 4989)

 The Mantovani Scene  (PS 548)

 Delilah; Those Were The Days; By The Time I Get to Phoenix; Chitty Chitty Bang Bang; Both Sides Now; A Man Without Love; Love is Blue; Honey; If I Were a Rich Man; Come September (I'll Remember); For Once In My Life; Les Bicyclettes De Belsize 

 1969

The World of Mantovani, Vol. 2 (SPA 36) 

No London Equivalent 

 Those Were the Days; Lara's Theme; Take the "A" Train; Beautiful Dreamer; Hernando's Hideway; The Legend of the Glass Mountain; Tonight; Secret Love; What Now My Love; April In Portugal; Air on the G String; Exodus Main Theme

 1969 

 The World of Mantovani, (PS 565)

No London Equivalent

Where is Love; Windmills Of Your Mind; My Way; Theme from Romeo and Juliet; My Cherie Amour; Theme from the Virginian; Where Did Our Summers Go; Theme from Elvira Madigan; I'm A Better Man; Aquarius; Quentin's Theme; Tonight

1969 

Verzaubter Klang aus Germany (SKL 16862-P)

 Issues only on German and Australian Decca. No US Decca or London equivalent. Also issued in 1975 on German Phase 4 Stereo (6.21483 AS)

Wenn Der Weisse Flieder Wieder Bluht; Ich Tanze Mit Dir In Den Himmel Hinein; Capri-Fischer; Du, Du, Du; Melodia; Der Frohliche Wanderer; Eine Schwarzwaldfahrt; Der Sommerwind; Mid Siebzehn Hat Man Noch Traume; Junge, Komm Bald Wieder; Heidschi Bumbeidschi; Auf Wiedersehn 


マントヴァーニ・ディスコグラフィ(1960年代)Mantovani's Discography '60s

2017年02月09日 03時41分27秒 | 音楽・映画

「Mantovani Fan Website Japan」に掲載されていたマントヴァーニのディスコグラフィを転載します。


Key for album #'s: LK/SKL: Decca (UK); LL/PS London (USA); MS/SS: London (Samples); LXT Decca, Julius Katchen LP; PM/SP: London Kismet; SPA: Decca (Samples); XPS/APS: London; SLK: German Decca; R: London/RCA Music Club; FOS: Decca Compilation; BP: London. More information to follow. 

Year

Title(s), Issue # and Notes

Selections
1960/1959

American Scene (LK 4323/SKL 4073)(1959)

The American Scene (LL 3136/PS 182)(1960)

LL 3136/PS 182 subsequently re-titled "The Music of Stephen Foster and other songs of The American Scene"

My  Old Kentucky Home; Camptown Races; I Dream Of Jeanie; Old Folks At Home; Ring De Banjo; Beautiful Dreamer; Home On The Range; Grandfather's Clock; Yellow Rose of Texas; Just a Wearyin' for You; Turkey In The Straw; Goodnight Irene 

1960

Songs To Remember (LK 4339/SKL 4086)

Songs To Remember (LL 3149/PS 193)

*with Edward Rubach (Piano)

With These Hands; Faraway Places; A Very Precious Love; Jamaica Farewell; Tenderly; Blue Star*; Gigi; When I Fall In Love; No Other Love; Vaya Con Dios; Two Different Worlds; Tonight

1960

Mantovani Operetta Memories (LK 4347/SKL 4093)

Operetta Memories (LL 3181/PS 202)

LK 4347/SKL 4093 album insert notes: Waltz From The Merry Widow, Oh Maiden, My Maiden, Waltz From The Gipsy Princess; Waltz From The Gipsy Baron, Overture - Die Fledermaus; LL 3181/PS 202; The Gipsy Baron - Waltz (Your Eyes Shine In My Own); in a later re-issue of SKL 4093 The Gipsy Baron - Waltz is retitled Waltz From Music Of The Spheres

The Merry Widow - Waltz; My Hero; Play Gipsies, Dance Gipsies; O Maiden, My Maiden; The Gipsy Princess - Waltz; The Count of Luxembourg - Waltz; Serenade - Frasquita; Gipsy Love - Waltz; The Gipsy Baron - Waltz; Die Fledermaus - Overture

1960

Mantovani Plays Music From Exodus and Other Great Themes (LL 3231/PS 224)

No Decca equivalent; LL 3231/PS 224 subsequently re-titled "Great Theme Music."

Main Theme From Exodus; Karen; Theme From A Summer Place; The Green Leaves of Summer; Song Without End; 76 Trombones; Theme From The Sundowners; Irma La Douce; I Love Paris; Mr. Wonderful; The Carousel Waltz; The Sound of Music

1960

Mantovani Concert Spectacular (LK 4377/SKL 4118)

No London equivalent

 

Stars and Stripes Forever; Estrellita; Theme From A Summer Place; Granada; Forgotten Dreams; Thunder and Lightning Polka; Zapateado; Londonderry Air; By The Sleepy Lagoon; A Trumpeter's Lullaby; The Green Leaves of Summer; The Parade of the Wooden Soldiers

1961

Mantovani Broadway Encores (LK 4387/SKL 4129)

No London equivalent; LL 4396/SKL 4129 album cover Till Tomorrow

Do-Re-Mi; My Heart Is So Full Of You; I Love Paris; Ascot Gavotte; Till There Was You; The Carousel Waltz; You Are Beautiful; I  Feel Pretty; Mr. Wonderful; Til Tomorrow; Shall We Dance; 76 Trombones

1961

Italia Mia (LK 4396/SKL 4135)

Italia Mia (LL 3239/PS 232)

LL 3239/PS 232 = E Bersaglieri

Catari, Catari; Theme From Capriccio Italien Op 45; Italia Mia (My Italy); Vissi D'Arte - Love and Music; Mattinata; Variations On Carnival of Venice; Bersaglieri March; Come Back to Sorrento (Torna A Sorriento); Return To Me; Nussum Dorma (None Shall Sleep); Italian Fantasia Medley; Tarantella - O Sole Mio - A Frangesa - Santa Lucia-Maria, Mari !Funiculi Funicula

1961

Theme From Carnival of Venice and Other Great Broadway Hits (LL 3250/PS 242) 

No Decca equivalent; LL 3250/PS 242 album cover: Till Tommorow; LL 3250/PS 242 subsequently re-titled "Themes From Broadway"

Theme From Carnival; I Feel Pretty; You Are Beautiful; Shall We Dance; Till There Was You; I Know About Love; Do-Re-Mi/ Till Tomorrow; So In Love; Ascot Gavotte; If Ever I Would Leave You; My Heart is So Full Of You

1961

Songs of Praise (LK 4420/SKL 4152)

Songs of Praise (LL 3251/PS 245)

* With the Michael Sammes Chorus

LL 3251/PS 245 has a different track order: Rock Of Ages (with the Michael Sammes Chorus) replaces "All People That On Earth Do Dwell

A Mighty Fortress Is Our God; Whispering Hope*; Nearer My God, To Thee*; The Lord's My Shepherd (Crimond); Abide With Me; Onward Christian Soldiers*; The Holy City; Eternal Father, Strong To Save*; Beautiful Isle Of Somewhere; Jesu Lover of My Soul (Aberystwyth); Jesu Joy Of Man's Desiring; Little Brown Church In The Vale; All People That On Earth Do Dwell (Old Hundreth)


マントヴァーニ・ディスコグラフィ(1950年代・その2)Mantovani's Discography '50s

2017年02月09日 03時37分25秒 | 音楽・映画

「Mantovani Fan Website Japan」に掲載されていたディスコグラフィを転載しました。「1950年代その2」です。

1958

Mantovani Concert Encores (LK 4241/SKL 4021)

Concert Encores (LL 3004/PS 133)

LL 4241/SKL 4021 album cover: Spanish Dance No 5

Claire De Lune; Spanish Dance; La Boutique Fantasque - Can-Can; Chanson De Matin; Gipsy Airs (Zigeunerweizen); Autumn; Song of India; Schon Rosmarin; Meditation from Thais; Perpetuum Mobile

1958-1959

Mantovani and Music By... (LK 4253) 1958

Gems Forever (SKL 4035) 1959

Gems Forever (LL 3032, PS 106) 1958

All the Things You Are; True Love; I Could Have Danced All Night; You Keep Coming Back Like A Song; A Woman In Love; This Nearly Was Mine; Summertime; Something To Remember You By; Love Letters; The Nearness Of You; An Affair To Remember; Hey There!

1958

Strauss Waltzes (SKL 4010) 

Strauss Waltzes (PS 118)

a stereo re-recording of LK 4054/LL 685; SKL 4010 album cover: "Accelerations Waltz:

Blue Danube; Voices of Spring, OP 410; Roses Of The South; Emperor Waltz, OP 437; A Thousand And One Nights; Treasure Waltz (from The Gipsy Baron); Village Swallows; Wine, Women, and Song, OP 333; Acceleration Waltz; Tales From The Vienna Woods; Morgenblatter; Du Und Du (from Die Fledermaus)

1958

Mantovani Waltz Encores (PS 119)

No Decca equivalent; PS 119 album cover: Love Makes the World Go Round (La Ronde) (an alternative title for La Ronde De L'Amour); Lonely Ballerina

Charmaine; Wyoming; La Ronde De L'Amour; Love, Here Is My Heart; Lovely Lady; The Moulin Rouge Theme; Greensleeves; The Lonely Ballerina; The Kiss In Your Eyes; Dear Love, My Love; I Live For You; Dream, Dream, Dream

1958

Mantovani Film Encores (SKL 4002)

Mantovani Film Encores Volume 1 (PS 124)

A stereo re-recording of LK 4200/LL 1700; SKL 4002 album cover: Love is a Many-Splendoured Thing

My Foolish Heart; Unchained Melody; Over The Rainbow; Summertime In Venice; Intermezzo; Three Coins in the Fountain; Love Is A Many-Splendored Thing; Laura; High Noon; Hi-Lili, Hi-Lo; September Song; Theme from Limelight 

1958

Song Hits From Theatreland (SKL 4037) 

Song Hits From Theatreland (PS 125)

A stereo re-recording of LK 4112/LL 1219

 

If I Loved You; Wunderbar; I've Never Been In Love Before; Bewitched; I Talk To The Trees; Some Enchanted Evening; Out Of My Dreams; Strangers In Paradise; C'est Magnifique; Almost Like Being In Love;  Hello Young Lovers; They Say It's Wonderful

1958

Mantovani Christmas Album (SKL 4022)

Mantovani Christmas Carols (PS 142)

stereo re-recording of LK 4235/LL 913; PS 142: The First Nowell as track 1 side 1 and Adeste Fideles as track 7 side 1; SKL 4022 album cover: The First Nowel

Adeste Fideles;  Hark! The Herald Angels Sing; God Rest Ye Merry Gentlemen; White Christmas; Good King Wenceslas; O Holy Night;  The First Nowell; Joy To The World; Silent Night, HolyNight; O Tannenbaum; Midnight Waltz; Nazareth; O Little Town of Bethlehem; The Skaters Waltz.

1959

Mantovani Continental Encores  (LK 4297/SKL 4044) Mantovani Continental Encores c

More Than Ever (Come Prima); La Vie En Rose; Under Paris Skies (Sous Le Ciel De Paris); O Mein Papa; April In Portugal (Avril Au Portugal; Arrivederci Roma; Anema e Core (To Be Or Not To Be); La Mer; I Only I Love  You (Na Voce, Na Chitarra,  E'O Poco E' Luna); Autumn Leaves (Les Feuilles Mortes); Answer Me  (Mutterlein) Poppa Piccolino (Papaveri E Papera)

1959

More Mantovan Film Encores (LK 4316/SKL 4067)

Mantovani Fillm Encores Vol 2 (LL 3117/PS 164)

The High and Mighty; A Certain Smile; Friendly Persuasion (Thee I Love); Whatever Will Be, Will Be; Tammy; Be My Love; April Love. When You Wish Upon a Star; Separate Tables; Around The World; Fascination; Secret Love

1959

Mantovani Showcase (MS 5/ SS 1)

No Decca Equivalent

Theme From Limelight; Village Swallows;Tammy; Come Prima (For The First Time); Greensleeves; Shon Rosmarin; I could Have Danced All Night; Some Enchanted Evening

1959

All American Showcase (Album 1: Best of Sigmund Romberg and Best of Victor Herbert; Album 2: Best of Rudolf Friml  and Best of Irving Berlin) (LL 3122/PS 165)(LL 3123/PS 166)

No Decca equivalent of this double album issue; the stereo double album cover was numbered PSA 3202. the labels PS 165 and PS 166; The double album format was eventually replaced by two single albums entitled "The Music of Victor Herbert and Sigmund Romberg" and " The Music of Irving Berlin and Rudolf Friml.

Lover, Come Back To Me; When I Grow Too Old To Dream; Softly, As In a Morning Sunrise; The Desert Song; Will You Remember; Serenade From The Student Prince; Ah! Sweet Mystery of Life; A Kiss In The Dark; Sweethearts; I'm Falling In Love With Someone; Indian Summer; Kiss Me Again; The Girl That I Marry; Marie; (You Forgot To) Remember; Always; For The Very First Time; What'll I Do; Love Everlasting; Rose Marie; Only A Rose; The Donkey Serenade; Sympathy; Indian Love Call

1959/1960

American Scene (LK 4323/SKL 4073)(1959)

The American Scene (LL 3136/PS 182)(1960)

LL 3136/PS 182 subsequently re-titled "The Music of Stephen Foster and other songs of The American Scene"

 

My  Old Kentucky Home; Camptown Races; I Dream Of Jeanie; Old Folks At Home; Ring De Banjo; Beautiful Dreamer; Home On The Range; Grandfather's Clock; Yellow Rose of Texas; Just a Wearyin' for You; Turkey In The Straw; Goodnight Irene