兵庫県の斎藤知事に関する百条委員会の委員を務め、ことし1月に自殺した竹内英明元兵庫県議会議員の遺族は、政治団体「NHK党」の立花孝志党首が街頭演説やインターネット上に配信した動画での発言、それにSNSの投稿で元議員の名誉を傷つけたとして、名誉毀損の疑いで警察に告訴状を提出しました。捜査関係者によりますと、警察は告訴状を受理したということです。
兵庫県議会の竹内英明元議員は、斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発した文書を調査した百条委員会の委員を務めましたが、ことし1月に自宅で自殺しているのが見つかりました。
元議員の妻は8日、神戸市内で記者会見し、政治団体「NHK党」党首の立花孝志氏について、名誉毀損の疑いでことし6月に警察に告訴状を提出したことを明らかにしました。
告訴状によりますと、立花氏は元議員について、去年12月、街頭演説で「警察の取り調べを受けている」などと発言し、死亡した翌日に、SNSに「県警から任意の取り調べを受けていた」と投稿したり、ネット上に配信した動画で「逮捕される予定だったそうです」と述べたりするなど虚偽の内容の発言や投稿で元議員の名誉を傷つけたとしています。
立花党首「しっかりと対応したい」
政治団体「NHK党」の立花党首は記者会見で「まずは改めて、亡くなられた元県議のご冥福をお祈りする。その上で、訴えていただいたことについては、これで有罪か無罪か、白黒はっきりつくので感謝している。逃げも隠れもしないので、私としては警察に呼ばれた場合にはしっかりと対応したい」と述べました。
これまでの経緯
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題を調査する百条委員会の委員を務めていた元県議会議員の竹内英明氏(当時50)。
去年11月、県知事選挙の候補者の1人だった立花氏が街頭演説で、元議員を名指ししたうえで「知事のことが嫌いだから、ありもしないうわさ話を意図的に作り出した」などと発言しました。
元議員の妻は、このころから、事務所に「うその話を作った黒幕だ」とか「責任をとれ」などといった内容の郵便物やメールが届いたり、電話がかかってくるようになったりしたとしています。
県知事選挙のあと元議員は一身上の都合を理由に議員辞職し、同じ会派だった議員は「知事選挙の最中にインターネットでことばの暴力が拡散され、家族を守るために辞職した」としています。
元議員はことし1月18日、姫路市内の自宅で自殺しているのが見つかりました。
その翌日、立花氏は、SNSに「元議員は、兵庫県警から任意の取り調べを受けていた」と投稿したり、自身のユーチューブのチャンネルで「逮捕される予定だったそうです」などと発言したりしました。
この動画は現在は見られなくなっていますが、SNS上では同じような情報が拡散されました。
そして、動画が投稿された翌日の1月20日には県議会の委員会で議員からの質問に答える形で兵庫県警察本部の当時の村井紀之本部長が「元議員について容疑者として任意の調べをしたことはなく、ましてや逮捕するといったような話は全くない。全くの事実無根だ」と述べ、明確に否定しました。
これを受けて立花氏は「元議員がみずから命を絶ったのは、警察の逮捕が近づいていたのを苦にしていたからだというのは間違いでした。これについては訂正し、謝罪します」などと発言する動画を投稿しました。
今回の刑事告訴の対象は
今回の刑事告訴は立花氏が竹内元議員に対して行った、亡くなる前の行為と、亡くなったあとの行為が対象とされています。
このうち、亡くなる前については去年12月に行われた2度の街頭演説で、立花氏が「警察の取り調べを受けているのは間違いない」とか「いま警察に呼ばれていますね」なとど発言し、この様子をユーチューブで配信したことで不特定多数が知り得る状態にし、名誉を傷つけたとしています。
また、ことし1月、立花氏が竹内元議員が亡くなったあと、「任意の取り調べを受けていた」とか「逮捕される予定だったそうです」などと自身のユーチューブのチャンネルなどで発信していたことについては死亡した人の名誉を傷つけたとしています。
亡くなった人に対する名誉毀損罪が成立するかは「虚偽の事実を摘示すること」が要件とされていて、加害者側に発言や発信の内容が虚偽だという明確な認識がなければ罪に問えないとする見解があります。
最高裁判所によりますと、死亡した人に対する名誉毀損の罪に問われ、裁判が開かれたケースは昭和53年以降では確認できないということです。
刑事告訴を受けて死亡したあとの行為についても名誉毀損の疑いがあるとして立件するのかどうか、警察は、捜査を進めて慎重に判断することになります。
元議員の妻「夫の尊厳を守りたい」
竹内元議員の妻は8日の記者会見で「故人に対するひぼう中傷は現在もやみません。私は夫の尊厳を守りたいと思い、声を上げることを決めました。夫はみずから望んで命を絶ったのではなく、兵庫県政の混乱の中で追い詰められて孤立し、社会に絶望してこの世を去りました。デマで人をおとしめ、死者にむち打つ行為が平然と公然と行われていることを私たちはもっと深刻に受け止めなければならないと思います」と述べました。
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