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トランプ関税ショック

2025年04月11日 12時14分28秒 | 社会・文化・政治・経済

トランプ関税【8日の動き】米中の貿易摩擦が激化する懸念

アメリカのトランプ政権は、貿易赤字が大きい国や地域を対象にした「相互関税」を日本時間の9日午後に発動する方針です。貿易摩擦の回避に向けた交渉の動きもみられますが、中国との間では追加関税や対抗措置の応酬となり、両国の貿易摩擦は一段と激しさを増すことも懸念されています。

“トランプ関税”に関係する4月8日(日本時間)の動きをまとめています。

 

中国外務省 50%追加関税「WTOのルールに違反 断固反対」

トランプ大統領が、中国に対して相互関税の対抗措置を撤回しなければさらに50%の追加関税を課すとしたことについて、中国外務省の林剣報道官は記者会見で「WTO=世界貿易機関のルールに違反しており、多国間貿易のシステムを損ない世界の経済秩序の安定を著しく揺るがすものだ。中国は強く非難し、断固として反対する」と述べて強く反発しました。

その上で「アメリカが国際社会の利益を顧みず、かたくなに関税戦争と貿易戦争を仕掛けてくるなら、中国はとことんつきあう」と述べ、アメリカの対応しだいではさらなる対抗措置をとる考えを示しました。

また、トランプ政権と何らかの対話や交渉が行われているのかどうかについては「アメリカ側の行動には真剣に対話したいという意思が表れていない。もしアメリカが本当に話し合いたいのであれば、平等、尊重、互恵の態度を示すべきだ」と述べました。

 

日本の自動車メーカー各社の経営トップ 武藤経産相と意見交換

 

武藤経済産業大臣と日本自動車工業会の会長を務めるいすゞ自動車の片山正則会長やトヨタ自動車の佐藤恒治社長などメーカー各社の経営トップらが意見交換会に参加しました。

この中で武藤大臣は「米国の関税措置で自動車のサプライチェーンにも大きな影響が懸念され、政府としても特別相談窓口の設置や資金繰り支援等の対応策を打ち出したところだ」と述べました。

その上で「中堅・中小の部品メーカーに影響が及ばないよう、適正な取引を確保する観点からも目配りをお願いしたい」と述べ、賃上げの機運をそがないためにも、関税措置による影響が取引先の中堅・中小企業に及ばないよう、協力を求めました。

これに対して片山会長は「サプライヤーとともに築き上げてきた産業基盤が根底から瓦解しかねない危機に立たされている。追加関税の除外に向け、米国に粘り強く交渉いただくとともに、サプライチェーンに対する支援や日本の基盤を守るための各種支援策をお願いしたい」と述べ、関税措置の影響を受ける国内企業への政府の支援を求めました。

また、日本自動車部品工業会の茅本隆司会長も「関税措置は、中堅・中小企業にとっては死活問題だとの声も上がってきている。米国と粘り強い交渉をお願いしたい」と述べ、関税引き上げの回避に向け、アメリカと粘り強く交渉するよう求めました。

 

“マスク氏がトランプ大統領に関税撤回を訴えた” 米報道

 

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは7日、トランプ政権で要職を務めるイーロン・マスク氏がトランプ大統領に対して新たな関税を撤回するように個人的に訴えたと報じました。

今のところトランプ氏の考えを変えるには至っていないとしています。

マスク氏はアメリカの電気自動車メーカー テスラのCEOを務めますが、アメリカと中国の両方を製造や消費の拠点とするテスラにとって、関税は有害であると見ていたと伝えています。

マスク氏は4月5日にイタリアの右派政党「同盟」の集会にオンラインで参加した際にも関税について「最終的にヨーロッパとアメリカの双方が関税がゼロの状態に移行し、ヨーロッパと北米の間に自由貿易圏をつくることで合意することを願っている」と述べ、アメリカとヨーロッパの間の関税が将来的に無くなることが望ましいという考えを示していました。

 

“アップル インドからのiPhone輸入を増やす計画” 米報道

 

アメリカの有力紙 ウォール・ストリート・ジャーナルは7日、IT大手のアップルがインドで生産したスマートフォンの輸入を増やすことを計画していると報じました。

報道によりますと、アップルはアメリカで販売する「iPhone」のほとんどを中国で生産していることから、トランプ政権による中国への高い関税を避けるための短期的な措置だとしています。

インドにも相互関税として26%が課されますが、中国より関税率が低いことからインドからの調達を増やしコストの抑制につなげるねらいだと伝えています。

東南アジアの国々に高い関税率 インドネシアは

トランプ政権が9日に発動する「相互関税」では、東南アジアの国々に高い関税率が示されています。

32%と高い関税率が課されるインドネシアは、「報復関税」で対抗することはせず、交渉を通じた解決を目指す考えを示しています。

インドネシアのアイルランガ経済担当調整相は7日、記者団に対し、アメリカ側の貿易赤字を減らすため、アメリカからの輸入を拡大する方針を明らかにし、来週にもアメリカを訪れて交渉に臨む意向を示しました。

具体的には、大豆や小麦などの農作物やLNG=液化天然ガスなどの輸入を増やすことを計画しているということです。

また、アメリカからの輸入品に対する付加価値税の軽減なども検討しているとしています。

 

カンボジア・ベトナムの対応

49%もの相互関税が課されるカンボジアは、フン・マネット首相が今月4日、適用の延期と早期の交渉を要請したと発表しています。

その上で、アメリカからの輸入品に対する大幅な関税率の引き下げも発表し、現状の35%を5%まで引き下げるとしています。

また、46%の相互関税が課されるベトナムは輸出全体の3割をアメリカが占めていることなどから経済成長の減速への懸念が高まっていて、最高指導者のトー・ラム共産党書記長が4日トランプ大統領と電話会談し「ベトナムはアメリカからの輸入関税を0%に引き下げるための協議の準備ができている」と呼びかけた上で、ベトナムへの関税も0%にするよう訴えています。

また、国内に緊急対策チームを立ち上げていて、7日夜には、アメリカからの防衛品などの輸入を拡大すると表明した上で、関税の導入を45日間延期するよう求めています。

 

赤澤経済再生相 米との交渉「できるだけ早く顔を合わせたい」

 

アメリカの関税措置をめぐり、政府は、8日、日米両国の協議を担当する閣僚に、赤澤経済再生担当大臣をあてることを決めました。

これを受けて赤澤大臣は、記者団に対し「国難とも言える状況を何としても乗り越えていかなければならない。わが国の国益に何が資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的かを考えながら、全力で取り組みたい」と述べました。

その上で「交渉ごとなので人間関係が大事になる。信頼関係を築くことは、実りある成果を上げるための重要な前提になるので、できるだけ早く顔を合わせたい」と述べ、なるべく早期にアメリカを訪れ、ベッセント財務長官やUSTR=アメリカ通商代表部のグリア代表との協議を始めたいという考えを示しました。

そして協議の見通しについて「ウィンウィンの関係でないとまとまらない。アメリカにはアメリカの国益があり、わが国にはわが国の国益があるので、両方にとっていい結果をどう実現していくかにすべてがかかっている。できるだけ早く成果が上げられるよう取り組む」と述べました。

 

日商 小林会頭 中小企業への支援策充実を政府に求める

 

日本商工会議所の小林会頭は会見で、アメリカのトランプ政権による一連の関税措置について「弊害が起こりうる政策を強権的に出してきたことは極めて遺憾だと言わざるを得ない。中小企業のサプライチェーンへの影響や、国内景気の動向を含め、国にとっては最悪を想定してセーフティネットを張ることが第一だ」と述べ、政府に対し、中小企業への支援策を充実させるよう求めました。

その上で「賃上げに影響を及ぼすことを心配している。不安心理がまん延していくことは日本経済にマイナスで、賃上げの勇気が鈍ることを懸念している」と述べ、アメリカの関税措置によって中小企業での賃上げの機運がそがれることへの懸念を示しました。

 

米の世論調査 “関税に反対“が半数に

大手調査会社ユーガブは、トランプ大統領が「相互関税」を発表した翌日の3日から6日にかけてトランプ政権の関税政策について世論調査を行いました。
それによりますと「アメリカ政府が発表した関税措置に賛成か反対か」との質問に「強く反対だ」「やや反対だ」と回答した人があわせて50%にのぼりました。

これに対して「強く賛成だ」「やや賛成だ」と回答した人は、あわせて39%となっています。

一方で、共和党の支持者に限ると「強く賛成だ」「やや賛成だ」と回答した人はあわせて73%にのぼっています。

また「アメリカに輸入される外国製品に対する関税のコストを負担するのは誰か」との質問には「アメリカの企業と国民」と回答した人が67%にのぼり、貿易摩擦によるインフレなど関税措置が、国民生活に影響を及ぼすことに不安が広がっているものとみられます。

 

ウォール街からも懸念の声

ウォール街の重鎮として知られる、大手銀行JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは7日、株主に宛てた手紙の中で「新しい関税政策には多くの不確実性がある。それは他の国による報復措置の可能性、信頼への影響、投資と資本フローへの影響、企業の利益への影響、そしてアメリカの通貨ドルへの影響の可能性である。この問題は早く解決されるほど良い。なぜなら、悪影響は時間の経過とともに累積的に増大し、元に戻すのが難しいからだ」と記しています。

そして同盟国との経済的な分断は、長期的には悲惨な結果をもたらす可能性があると指摘しています。

また、大手資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOは7日、ニューヨーク経済クラブでの昼食会で「私が話しているCEOのほとんどは現時点でおそらく景気後退に陥っていると言うだろう」と述べました。

そして、数週間前から消費者の慎重な行動が今後の航空券の予約やその他の指標に表れているとしたうえで「さまざまなセクターが本当に減速している」と述べ、関税政策によって景気が減速することに警戒感を示しました。

 

韓国 サムスン電子 スマホ販売好調も今後の業績は“不透明”

韓国の大手電機・半導体メーカーのサムスン電子は8日、ことし1月から先月までの3か月間の決算の暫定値を発表しました。

それによりますと、売り上げは79兆ウォン、日本円で7兆9000億円あまりで、前の年の同じ時期より10%近く増えました。

また、本業のもうけを示す営業利益は6兆6000億ウォン、日本円で6600億円あまりで、前の年の同じ時期とほぼ横ばいでした。

市場の予想では営業利益が5000億円台になるとの見方も出ていたため韓国メディアは「市場の予想より善戦した」と伝えています。

要因については新型のスマートフォンの販売が好調だったほか、アメリカのトランプ政権による関税措置の導入を控え、記憶用の半導体などの出荷量が急増したことを挙げています。

ただ、今後の業績の見通しについては、スマートフォンの生産で半分を占めるとされるベトナムに対してアメリカが46%の相互関税を課すと表明したことなどを踏まえて韓国メディアは「本格化する関税の影響で不透明な状況だ」と指摘しています。

 

東京都 中小企業を支援へ 特別相談窓口を設置

 

東京都はアメリカの関税措置で影響を受けるおそれがある都内の中小企業を支援しようと、都庁などに特別相談窓口を4月4日から設置し、支援員などが対応にあたっています。

これまでに、資金繰りが厳しくなることが懸念される中で、具体的な支援策について尋ねる問い合わせがあったということです。

都金融部の小野木一貴融資制度・債権管理担当課長は「都内の下請け企業などに幅広く影響が出ることが懸念されるので、相談があればしっかり支援していきたい」と話しています。

中国 “アメリカ 50%追加関税を実行すれば対抗措置”

トランプ大統領が、中国が「相互関税」への対抗措置を撤回しなければ中国にさらに50%の追加関税を課すと自身のSNSに投稿したことについて、中国商務省の報道官は「断固として反対し、アメリカがこのような措置を実行に移すのであれば、自国の利益を守るために対抗措置を講じる」とするコメントを発表しました。

また、中国がこれまで取ってきた対抗措置については「国家の主権、安全、発展上の利益を守り、正常な国際貿易秩序を維持するためのもので、完全に正当な行動だ」としています。

そのうえで「アメリカが対中関税をエスカレートさせるという脅しは、間違いを重ねるものであり、中国はこれを決して受け入れない。アメリカが独断専行を続けるのであれば、中国は最後までつきあう」とし、徹底的に対抗する考えを示しました。

政府 日米協議担当閣僚に赤澤経済再生相を起用

 

アメリカの関税措置をめぐり、政府は、日米両国の協議を担当する閣僚に赤澤経済再生担当大臣をあてることを決めました。

林官房長官は、閣議のあとの記者会見で「赤澤大臣の所管分野の状況や本人の手腕、経験などを踏まえ、石破総理大臣が判断した」と述べました。

また赤澤大臣がアメリカを訪問する時期については「今後必要に応じて適切なタイミングで、いろいろなことが行われていく」と述べました。

一方、為替分野については加藤財務大臣とアメリカのベッセント財務長官との間で引き続き議論が行われると説明しました。

石破総理大臣としては、みずからに近く、経済や通商分野に精通した赤澤大臣を担当とすることで、交渉の糸口を見いだしたい狙いがあるものとみられます。

加藤財務相「対応に万全」

 

トランプ大統領の関税政策をめぐり、加藤財務大臣は閣議の後の会見で財務省と金融庁に総合対策本部をそれぞれ設置したことを明らかにしたうえで「必要な検討を行い、今回の関税措置の対応に万全を期したい」と述べました。

また、金融機関による事業者の資金繰り支援について「いまは既存の仕組みの中で対応していただきたいが、これからいろんな影響がさらに出ることも十分あり得るので、まずは分析や情報把握をし、必要があれば対策を講じていく」と述べました。

一方、関税政策や物価高への対応をめぐって、加藤大臣は「政府として補正予算の策定を検討しているという事実はありません」と述べました。

石破首相 政府挙げて対応を指示 総合対策本部

 

アメリカの関税措置を受けて、政府はすべての閣僚による総合対策本部の初会合を開きました。石破総理大臣は、措置の見直しを求めるための外交交渉や、国内産業への支援など、政府を挙げて対応を進めるよう指示しました。

「アメリカに工業製品への関税 互いにゼロを提案」EU委員長

 

EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は7日、アメリカのトランプ政権に「工業製品への関税を互いにゼロにすることを提案した」と述べ、貿易摩擦の回避に向けて具体的な提案を行ったことを明らかにしました。

アメリカのトランプ政権は輸入される鉄鋼製品とアルミニウム、それに、自動車への25%の関税措置を発動したほか、9日からEUからの輸入品に対して「相互関税」として20%の追加関税を課すとしています。

こうしたなか、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長は7日、記者会見でアメリカのトランプ政権に「私たちは工業製品への関税を互いにゼロにすることを提案した。私たちは常によい取り引きをする準備がある」と述べ、貿易摩擦の回避に向けて具体的な提案を行ったことを明らかにしました。

一方、EUは今月15日に鉄鋼製品とアルミニウムの追加関税への対抗措置を発動する予定です。

フォンデアライエン委員長は「対抗措置をとり、私たちの利益を守る準備もできている」と述べ、追加の対抗措置も辞さない考えを示しました。

トランプ大統領 “中国 対抗措置撤回なければ50%の追加関税”

 

トランプ大統領は7日、中国が「相互関税」への対抗措置として発表した、アメリカに対する34%の追加関税について自身のSNSに投稿しました。

このなかで「撤回しなければ、アメリカは中国に対して、さらに50%の追加関税を課すことになる。9日に発動する」としています。

その上で「中国が求めている会談についての交渉は、すべて打ち切られる。同じように会談を求めているほかの国々との交渉は直ちに開始される」と投稿し、中国以外の国々に対しても報復措置を講じるべきではないとけん制しました。

このあと、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し「関税以外にも話し合いが必要な議題がある。中国は基本的に閉鎖的な国だ。私たちはどの国とも公平でよい取り引きをするつもりだ。そうでなければ、その国とは関わりを持たない」と述べて、中国に非関税障壁なども撤廃するようにあらためて求めました。

トランプ大統領 各国との交渉には応じる考え示す

 

トランプ政権は9日からアメリカにとっての貿易赤字の大きさなどをもとにイスラエルや日本を含むおよそ60の国や地域を対象に「相互関税」を発動する方針です。

この措置をめぐり、トランプ大統領は7日、イスラエルのネタニヤフ首相との会談後、記者団から発動を一時停止する考えがあるか問われたのに対し「それは考えていない。多くの国々が交渉するために来ているので、それらの国々とは公平な取り引きを行うつもりだ」と述べ、各国との交渉には応じる考えを示しました。

相互関税によってイスラエルには17%の関税が課されることになっていますが、ネタニヤフ首相は「アメリカが抱える貿易赤字を解消すると伝えた。さまざまな貿易上の障壁も撤廃するつもりだ」と述べ、トランプ政権の要請に応える方針を示しました。

 

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