競輪仲間の寺田さんから「あの男が階をウロウロしていたよ」と聞かされる。
利根輪太郎は、金がなくなったので、自宅のテレビで競輪を観戦していた。
「あの男が、帰りのバスでも一緒だった」と寺田さんが言うのだ。
刑務所帰りで、現在は保護観察の身。
つきまとい男は、取手駅周辺で、利根輪太郎と出会い、酒にありつく執念なのだ。
思えば、酒を奢ったことが裏目に出た。
次、2月5日が生活保護費の支給日なのだ。
それでま利根輪太郎に、まとわりつき酒にありつく魂胆なのだ。
利根輪太郎は、昨年のある時期から、300円の指定席へ逃れる。
その指定席は、その後に300円から400円に値上がりしたが、代替え措置として300円の食事券付きだった。
愚かにも、利根輪太郎はその食事券600円を、つきまとい男に渡してしまう。
当然、男は次の施しを期待して、さらに、つきまとうのであ。
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