米・フロリダ 気候変動とは言ってはいけない法

2024年06月22日 11時46分48秒 | 社会・文化・政治・経済

(CNN) 米フロリダ州知事、州法から気候変動への言及削除する法案に署名 海面上昇進む中

  デサンティス知事は15日、州法から気候変動に関する言及を数多く削除する新たな法案に署名した。自身の公式X(旧ツイッター)アカウントで明らかにした。

広範な領域に関連する今回の法律は、州のエネルギー政策に複数の変化をもたらす。

そこでは州法の中から、地球温暖化の影響を削減する重要性について言及した条項が丸ごと削除されるケースもみられる。天然ガスを優遇する一方、洋上風力エネルギーを禁止する措置も盛り込まれているが、現在同州沿岸で風力発電基地建設は計画されていない。

法案では「気候」の文言が8カ所で削除された。さらに州で購入する車両は低燃費車にすべきと求める内容も除かれている。

デサンティス氏はXへの投稿で、「フロリダ州は左派の計画を拒絶する。それは我々のエネルギー供給網の弱体化と急進的な気候政策の追求、外国の敵対勢力の助長を意図している」と説明。当該の法律はフロリダ州を「グリーン狂信者たち」から守るためのものだと主張した。

ジョージ・ワシントン大学のエミリー・ハモンド法学教授は、「フロリダ州の今回の措置はまさしく、気候変動の緩和に寄与するいかなる政策も重要視するつもりはないとの宣言に他ならない」と指摘した。

共和党の政治家が「気候変動」の文言を削除するのはこれが初めてではない。政府のウェブサイトからこの言葉を消すのはトランプ政権下でよく見られた行動だった。

しかし専門家によれば、クリーンエネルギーから脱却し、州法から気候への言及を削除する法案を通した州は、フロリダを除いてほとんどないという。

昨年、フロリダ州は前年に続き史上最高気温を更新。南部は特に厳しい暑さに見舞われ、最高気温は45度に達した。海面の高さは1950年よりも最大で約20センチ上昇しており、既に暴風雨や高潮などによる洪水が増加傾向にある。

デサンティス氏と州議会議員らは、洪水と暴風雨に対する地域の強靭(きょうじん)性を高めるため11億ドル(約1700億円)超の資金を拠出した。知事室が昨年行った報道向け発表で明らかにした。

 

日本の気象予報士たちも気候変動の伝え方に悩んでいる。

気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明】

「日常的な気象と気候変動を関連づけた発信」で命と未来を繋ぐ。

~今こそ気象予報士​・気象キャスターが気候危機解決への架け橋に~

 

【共同声明メッセージ】

 気象予報士・気象キャスターの多くは気候変動に危機感を持っています。天気予報の時間枠に限らず、私たちは「日常的な気象と気候変動を関連付けた発信」を目指し、気候変動問題解決に向けた命と未来を繋ぐ行動を加速させます。専門家や各メディアとの連携、協力を強化し、気象予報士・気象キャスターが気候危機解決への架け橋になります。

 

■ 問題意識の背景、科学的根拠を示すことが可能になった現在

 地球温暖化による異常気象は、猛暑、豪雨、洪水、干ばつなど、既に世界各地で甚大な被害をもたらしており、私たちの食や農、生活を脅かす深刻な問題となっている。IPCC第6次評価報告書*1では「人間の影響が温暖化させてきたことは疑う余地がない」と明記され、極端な気象に対して人間活動の影響が高い確信度で評価された。近年、気象研究所などイベント・アトリビューション*2の研究により、特定の気象や事象と気候変動の因果関係が明らかにされるようになった。

 

■ 情報を届けるメディアの重要性

 米イエール大学の調査*3によると、世界のおよそ70%の人々が、気候変動を解決する方法について情報を求めており、日本では気候変動が「非常に重要/極めて重要」と答えた人は55%。一方「重要ではない」と答えた人はわずか12%だった。別の調査*4では「脱炭素」に向けて行動している人は33.6%に留まり、関心はあるが行動に至っていない状態が続いている。また、内閣府「気候変動に関する世論調査」2023*5では気候変動の影響に関する情報について、9割以上の人がテレビやラジオから情報を取得しており、メディアで正しく情報を伝えることの重要性が伺える。

 

■ 気象予報士・気象キャスターが伝えることの意義と課題

 気象予報士・気象キャスターは視聴者/読者にとって身近な存在であり、日常的に情報を伝えられる立場にある。「誰に呼びかけられると気候危機への関心が高まるか」との調査*6で、科学者や専門機関に次いで気象キャスターの評価が高く、広く社会に共有する重要な役割を担っている。

 全国で活躍する気象予報士・気象キャスター130人にアンケートを行ったところ「90%以上の人が気象情報の中で気候変動に対する危機感を持っている」「80%以上の人が気象情報の中で気候変動についてもっと伝えるべきだ」と答えた。一方で、気候変動を伝える上で難しい理由については「放送時間が限られる」「専門的で難しい」「視聴者/読者や社内の関心がない」等の課題も見えてきた。


■ メディアとの連携など今後の取り組み

国連広報センターとメディアによる気候キャンペーン「1.5°Cの約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」は3年目に入り、全国各地のテレビ/ラジオ/新聞/雑誌/オンラインメディアなど160社が参画している。気候変動の自分事化と解決に向けた発信をしようとするメディアの動きに気象予報士・気象キャスターも賛同・連帯する。今後、放送枠の確保など課題解決のために、関心のあるメディア関係者からの提案を積極的に受け入れ、現場やニュースルーム全体での理解を広げる。また、国内外の専門家と情報連携し、共に「気象と気候変動を関連づけた発信」に取り組み、一般の理解を深め気候危機の自分事化/行動変容に貢献する。

 

2024年6月5日 気象予報士・気象キャスター呼びかけ人、賛同人一同

*1  https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/IPCC_AR6_WGI_SPM_JP.pdf

*2 イベント・アトリビューション(EA)とは、ある年に起きた特定の異常天候や極端現象などの地域的気象イベントに関して

 人間活動の影響を評価する試みである(Christidis et al. , 2013) 

*3 https://climatecommunication.yale.edu/wp-content/uploads/2023/11/international-public-opinion-climate-change-2023-appendix.pdf

*4 https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/108914/

*5 gairyaku.pdf (gov-online.go.jp)(2023)

*6 国連とメディアによる気候変動対策キャンペーン「1.5℃の約束」インパクト調査

 

 

【気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明】賛同人一覧

呼びかけ人・賛同人:

井田 寛子   気象キャスターネットワーク

正木 明    朝日放送「 おはよう朝日です」

 

賛同人:

近藤 肇    北海道放送 ウェザーセンター

児玉 晃    北海道放送 ウェザーセンター

伊藤 真梨子  北海道放送 ウェザーセンター

菅井 貴子   北海道文化放送

今野 桂吾   東北放送報道制作局tbc気象台 

斉田 季実治  NHK「ニュースウオッチ9」出演中

片山 美紀   NHK「首都圏ネットワーク」出演中

伊藤 みゆき  NHKラジオセンター

福田 寛之   NHKラジオセンター

寺川 奈津美  NHKラジオセンター

南 利幸    南気象予報士事務所 代表取締役

広瀬 駿    南気象予報士事務所

渕岡 友美   南気象予報士事務所

山神 明理   日本テレビ「Day Day.」出演中

服部 由佳   日本テレビ「日テレNEWS24」「ストレイトニュース」

森田 正光   TBS「Nスタ」出演中

増田 雅昭   TBS「THE TIME,」出演中

國本 未華   TBS「Nスタ」出演中

天達 武史   フジテレビ「めざまし8」出演中

今村 涼子   テレビ朝日「スーパーJチャンネル」出演中

水越 祐一   テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」出演中

河津 真人   ウェザーマップ

東海林 克江  J-WAVE

名倉 直美   気象キャスターネットワーク

久能木 百香  気象予報士

渡部 圭吾   静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」

寺尾 直樹   NHK名古屋「まるっと!」

桜沢 信司   CBCテレビ「チャント!」

福島 智之   東海テレビ「ニュースONE」

吉田 ジョージ 東海テレビ「スイッチ!」

長村 真里   北陸朝日放送「ふむふむ」

蓬莱 大介   読売テレビ気象キャスター

片平 敦    関西テレビ「newsランナー」

塩見 泰子   南気象予報士事務所

塚原 美緒   広島テレビ

岩永 哲    中国放送ウェザーセンター

中島 望    NHK岡山放送局

石川 博康   山陰放送

津村 研太   愛媛朝日テレビ 

吉竹 顕彰   NHK福岡ニュース「ロクいち!福岡」出演中

浅川 かがり  鹿児島放送

山崎 秀樹   日本気象予報士会


合計44名

※個人連名の声明であり、媒体や所属団体は本声明に関係するものではありません。

<<<今後の展開>>>

気象予報士アンケートで見えてきた課題や悩みを解決していきたいと思います。

まずは、気象予報士間で何ができるのかを共有したり勉強したりする場をつくっていくこと。

そして、放送枠の確保など具体的な課題解決のために、関心のあるメディア関係者からの提案を積極的に受け入れて参りますので、連携を検討いただける全国のメディア関係者はぜひご連絡いただければと思います。

また、国内外の専門家と情報連携し、勉強会やイベントを開催するなど、共に「気象と気候変動を関連づけた発信」に取り組みたいと思います。

また、今回の声明発表を機会に、賛同いただける気象予報士・気象キャスターの皆さま、そして、専門家やメディア関係者の皆さま、この動きを支援してくださる様々なステークホルダーの皆さま、ご連絡お待ちしております。

 

声明 問合せ先:

weatherforecaster.climate[at]gmail.com(気象キャスター呼びかけ人 井田寛子 宛)


〜 気象キャスター呼びかけ人 〜

「ニュースウオッチ9」(NHK)「あさチャン!」(TBS)など様々なテレビ番組で経験を持つ気象キャスター井田寛子や、1990年から30年以上に渡って朝日放送の朝のワイド番組「おはようご朝日です」にて天気予報を担当している正木明など、気候変動に関心の高い気象予報士・気象キャスターを中心に参画している。気象キャスター呼びかけ人からの声かけにより【気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明】に44名の賛同者が集まった。

 

〜 記者会見 協力:一般社団法人Media is Hope 〜

気候変動を解決できる社会を実現するために、気候変動報道強化に繋がるさまざまなサポートを行う非営利型一般社団法人。「メディアをつくる側もえらぶ側もお互いに責任を持ち、公平で公正かつ自由なメディアと持続可能な社会の構築」をビジョンに掲げ、気候変動の本質的な解決を目指して、メディアや市民、企業やあらゆるステークホルダーが共創関係を築く架け橋となる。また、媒体や系列を超えたメディア連携プラットフォーム【気候メディアイニシアチブ】を運営している。http://media-is-hope.org

 

記者会見 問合せ先:

weatherforecaster.climate[at]gmail.com(気象キャスター呼びかけ人 井田寛子 宛)

contact[at]media-is-hope.org(一般社団法人Media is Hope 西田吉蔵/名取由佳 宛)


 

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