西野哲人は、勉強もしないで高望みであった。
中学校に近い東京工業大学へ友人たちと遊びに行く。
当時の大学の研究員たちは大らかで、実験室を覗かせてくれたのだ。
旧友の浜田直樹の兄は、日比谷高校から東京工業大学へ進学していたので、校内へ出入りすることに躊躇していなかった。
「お前ら、勝手に校内を歩き歩き回るな」たまたま出会った浜田の兄の勇作が目くじらを立てるが、弟は無視するのだ。
「我々も将来は、ここへ来ようぜ」西野が言うのである。
彼は、クラスでも一番、成績が悪いのに、高望みである。
西野は家庭が貧しく塾へは行けなかったし、勉強嫌いでもあった。
結局、彼はどの都立高校へも進学できずに、二流の私立大学の付属高校へ進学する。
また、親友の浜田は開成高校へ進学した。
西野が惚れていた中西玲子は兄と同様に日比谷高校へ。
高校2年となった西野は文化系のクラスに選別される。
理科系は上位成績の100人が選択される。
西野は、ますますやる気を無くしていくのだ。
東京工業大学のあのワクワク感に満ちた研究室が遠い幻の光景となってゆく。
彼はエジソンを想ってみた。
<独自・独学で何かを発明・発見して見せるぞと!>とから元気となるのだ。
「黒い花」は出来ないものか?
「台風」を破壊することはできないか?
「空飛ぶ自動車は?」
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