財産移転先"ダミー教団"の名
■旧統一教会が東京高裁に即時抗告する前からしていること 東京地方裁判所は3月25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散命令を下した。法令違反による解散命令は戦後3例目。
今後、高裁や最高裁での審理が続く可能性は残るものの(教団側は4月7日、「国家による明らかな信教の自由の侵害だ」と批判し、東京高裁に即時抗告)、教団は法人格を失う可能性が高い。
それにより法人税や固定資産税など、税制上の優遇措置が撤廃される。だが、新たな問題が生じる危険性も秘めている。
「ダミー教団」への財産の移し替え、宗教法人格の再取得への動きなどだ。
まず、旧統一教会問題の流れを整理しよう。統一教会は1954年に韓国で文鮮明によって設立されたキリスト教系新宗教である。
日本では1964年に宗教法人として認可された。
1970年代に入り、信者らにたいして「先祖からの因縁」などと脅し、高額な壺や印鑑などを売る霊感商法問題が社会問題化する。法外な金額の献金を強要されたなどの被害相談が相次いだ。
強引かつ巧妙な勧誘方法にも批判が集まった。教団を母体とする「原理研究会」「国際勝共連合」などの関連組織が大学などに入り込み、信者獲得を拡大させていった。
国際勝共連合の発起人には岸信介元首相や、笹川良一氏、児玉誉士夫氏ら大物が名を連ね、政治的影響力も増していった。教団と自民党との関係も、この頃から強まっていった。
1995年には、一連のオウム真理教事件が勃発。カルト宗教への批判が巻き起こる。旧統一教会に関しても多数のカップルが一同に結婚する「合同結婚式」などがワイドショーなどで取り上げられた。
1996年には旧統一教会の教団名を「世界平和統一家庭連合」に変更(認証は2015年)。悪化する教団のイメージを刷新するための「目くらまし」との批判も起きた。
■過去40年間でおよそ1600人、204億円もの被害額が生じた 旧統一教会に関するトラブルは、2000年以降も止むことはなかった。多数の民事訴訟が提起され、多くで教団の責任が認定されていく。2022年には安倍晋三元首相の暗殺事件が起き、それを契機にして教団と政治家との関係や、異常な活動実態、宗教2世問題などが次々と浮上。文部科学省が東京地裁に解散命令請求したのが2023年10月のことであった。 東京地裁は、過去40年間でおよそ1600人、204億円もの被害額が生じたと認定した。その上で、「(旧統一教会に)法人格を与えたままにするのは極めて不適切。解散命令はやむを得ない」とした。被害規模はあまりにも甚大であり、同教団は反社会的な集団と言っても過言ではない。 宗教法人法における宗教教団の活動の目的は「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」である。同教団の場合は、宗教活動はあくまでも「手段」であり、集金こそが「目的」であったと言われても仕方がない。東京地裁の判断は、妥当だと思う。 旧統一教会は東京高裁に即時抗告する方針を示した。最終的には最高裁の判断となる見通しだが、宗教法人の認証が取り消されると、固定資産税や法人税などの優遇措置が受けられなくなる。ただ、任意団体として宗教活動を続けることは可能だ。 旧統一教会の田中富広会長は会見で「解散後、法人の全ての財産は没収される。10万人の信者が集う教会も施設も失う。信者らの宗教活動の自由は、事実上、重大な制限を受けることになる。国家による明らかな信教の自由への侵害で、この決定は宗教全体の危機の始まりだ」などと訴えた。 本当にそうだろうか。統一教会側は、すでに「抜け道」を用意している可能性がある。
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