国語教師であり、文芸評論家であった竹中啓介先生に刺激された西野哲人は、俳句や短歌、詩に興味を示していく。
当時、高校生向けの雑誌があり、その中には「ペンフレンド」の応募欄があった。
哲人は、最初に四国の大三島の16歳の秋野順子に手紙を出してみた。
その彼女は、夏目漱石のファンであり、俳句も好んでいた。
「どぶ川に 威張って咲ける 彼岸花」哲人はそんな俳句を順子に送ってみた。
だが、文通は発展しなかった。
次に、和歌山の17歳の前野郁子に、自身の心境を綴る詩を送ってみた。
だが、「あなたは、堕落しているのね」との思わぬ心外な返信であったのだ。
次は、新潟の村上在住の18歳の雪村愛であった。
哲人に興味を示した愛とは、好意的な返信が来て、夏休みに彼女と新潟駅で出会い、デートをした。
「あなたには、詩の才能を感じるわ」思わぬ誉め言葉であった。
彼女は中原中也のファンであった。
だが、彼女には既に親が決めた<いいなずけ>の人の存在だあったのだ。
さらに、北海道の知床の16歳の大空直美との文通もあった。
その彼女とは、修学旅行の途次に、東京の本郷で会った。
彼女は太宰治ファンであったが、面食いの哲人は、その人の容姿にがっかりするのだ。
だが哲人は、その人の心の優しさに好意を抱き、2年余り文通を続けた。
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