歌舞伎町のダンスホールへ通っていた

2021年06月08日 04時31分52秒 | 創作欄
2015-06-27 02:59:34 | 創作欄
 
日本の課題は何か?
世界をリードするような人材の育成である。
日本が変われば、世界が変わるはずだ。

------------------------------------

都市センタービル地下1階のレストランで沼田一郎がカツカレーを食べていると「沼田さん、前の席に座っていいですか?」と後輩の西毅君が柔和な笑顔を見せた。
人を食ったような口もきくが如何にも真面目で善良そうな新人であった。
「我々の新聞は、比較的広告が取りやすいんですが、病院新聞は大変ですね。苦戦しているようですね」
「創刊してまだ2年だしね」沼田は弁解するように言った。
だが、救いは購読者が伸びてきてきることであった。
西が勤務する公益事業新聞社と沼田が勤務する病院新聞社は衝立で分離されていた。
公益新聞側は30坪ほどで、会議をするためのテーブルスペースもあったが、病院新聞は15坪ほどで5つの机とスチールの戸棚で目いっぱいであった。
両社は衝立で隔てられているだけなので、互の声は筒抜けであった。
沼田は、後輩の西から「沼田さんの夢はなんですか?」と唐突に尋ねられ、言葉に窮した。
カツカレーを食べるスプーンが止まった。
西は和食の定食を食べていた。
「私に師匠と呼べる人がいます。学生時代から薫陶を受けてきました。沼田さんに師匠と呼べる人はいますか?」
スポーツ刈りの頭で体育会系に見えた西は、見た目以上に生活態度が真摯なのだと想われた。
「師匠ね。いないね。必要性も感じないけどね」沼田はお目当てのウエートレスに目を転じた。
沼田は当時、社交ダンスのレッスンに新宿の歌舞伎町のダンスホールへ通っていた。
お目当てのウエートレスと踊ることを夢想したりしていた。
“彼女は猫のように柔らかい身体をしているのではないか?”などとも想ってみた。
先輩のように気軽にナンパができないものかと考え、赤坂、銀座界隈で模倣もしたが失敗していた。






















 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿